雪のランタン
冬の夕方、リリは窓の外に沈む夕日を見つめていた。
雪は淡いオレンジ色に染まり、屋根や木たちの枝に積もった雪が光を反射して、まるで小さなランタンのようにきらきら輝いている。
「リリ、今日は森で雪のランタンを探そう」
ふいに小な声が耳に届き、リリが振り向くと、雪の妖精のキラがふわふわと舞っていた。
「雪のランタン……?」
リリの心は好奇心でいっぱいになった。
キラはにっこり笑うと、雪の森の奥に指を向けた。
「雪の中に隠された光のことだよ。冬の森だけに見られるんだ」
リリは嬉しくて、雪の上を駆け出した。
足元の雪はぎゅっ、ぎゅっと音を立て、冷たい空気が頬をくすぐった。
キラも雪の舞う中でくるくると回り、光の粒を散らした。
森に入ると、木たちの枝に積もった雪がランタンのように小さく光っている。
リリは息をのむ。雪の白と光のオレンジ色が混ざり、森はまるで光の迷宮になっていた。
「見て、リリ。あそこに光のランタンがある」
キラは指をさす。小な雪の穴の中で、オレンジ色の光が揺れていた。
リリはそっと近づき、手を差し伸べると、雪のランタンは優しい暖かい光を放した。
「わぁ……きれい……」
リリは言葉を忘れるほど感動した。
氷の結晶の中で光が揺れるたび、雪の森全体が生きているようにきらきらと輝いた。
「リリ、もっと探そう」
「うん、きっとたくさんあるね」
二人は森の奥へ進んだ。
雪の上を歩くたびに、キラの光が雪に反射して小さな虹色を作った。
森の奥では、雪のランタンがまるで小さな村のように点々(てんてん)と輝いていた。
リリは一つひとつの光を触ろうと手を伸ばすが、ランタンはふわりと浮かび、雪の中を漂う。
「キラ、これって……魔法なの?」
「そうだよ。雪の中の光は、冬の森だけが作れる魔法なんだ」
キラはくるくると舞いながら笑った。
リリも笑い返すと、胸の奥にぽかぽかと温かい気持ちが広がった。
小さな光を追いかけながら、リリは森の奥の秘密に気づいた。
ランタンの光は単なる光ではなく、森に住む動物たちや雪の息吹を映し出す小さな魔法だったのだ。
「リリ、見て……あそこにもランタンが!」
キラが声をあげると、木の間で小な光が揺れた。
リリは駆け寄ると、氷の上で小な光が踊っているのを見て、心の底から喜んだ。
夕日が森を染め、雪は淡い金色に輝く。
リリは深呼吸をし、今日の光の魔法を胸に刻んだ。
「明日も、雪のランタンを探そうね」
「うん、きっともっときらきらがあるよ」
二人は手をつなぎ、雪の森を後にした。
その光と冬の魔法は、リリとキラの心に優しく残った。




