表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

雪のランタン

 (ふゆ)夕方(ゆうがた)、リリは(まど)(そと)(しず)夕日(ゆうひ)()つめていた。

 (ゆき)(あわ)いオレンジ(いろ)()まり、屋根(やね)()たちの(えだ)()もった(ゆき)(ひかり)反射(はんしゃ)して、まるで(ちい)さなランタンのようにきらきら(かがや)いている。


「リリ、今日(きょう)(もり)(ゆき)のランタンを(さが)そう」

 ふいに(ちい)(こえ)(みみ)(とど)き、リリが()()くと、(ゆき)妖精(ようせい)のキラがふわふわと()っていた。


(ゆき)のランタン……?」

 リリの(こころ)好奇心(こうきしん)でいっぱいになった。

 キラはにっこり(わら)うと、(ゆき)(もり)(おく)(ゆび)()けた。

(ゆき)(なか)(かく)された(ひかり)のことだよ。(ふゆ)(もり)だけに()られるんだ」


 リリは(うれ)しくて、(ゆき)(うえ)()()した。

 足元(あしもと)(ゆき)はぎゅっ、ぎゅっと(おと)()て、(つめ)たい空気(くうき)(ほお)をくすぐった。

 キラも(ゆき)()(なか)でくるくると(まわ)り、(ひかり)(つぶ)()らした。


 (もり)(はい)ると、()たちの(えだ)()もった(ゆき)がランタンのように(ちい)さく(ひか)っている。

 リリは(いき)をのむ。(ゆき)(しろ)(ひかり)のオレンジ(いろ)()ざり、(もり)はまるで(ひかり)迷宮(めいきゅう)になっていた。


()て、リリ。あそこに(ひかり)のランタンがある」

 キラは(ゆび)をさす。(ちい)な雪の(あな)(なか)で、オレンジ(いろ)(ひかり)()れていた。

 リリはそっと(ちか)づき、()()()べると、(ゆき)のランタンは(やさ)しい(あたた)かい(ひかり)(はな)した。


「わぁ……きれい……」

 リリは言葉(ことば)(わす)れるほど感動(かんどう)した。

 (こおり)結晶(けっしょう)(なか)(ひかり)()れるたび、(ゆき)(もり)全体(ぜんたい)()きているようにきらきらと(かがや)いた。


「リリ、もっと(さが)そう」

「うん、きっとたくさんあるね」

 二人(ふたり)(もり)(おく)(すす)んだ。

 (ゆき)(うえ)(ある)くたびに、キラの(ひかり)(ゆき)反射(はんしゃ)して(ちい)さな虹色(にじいろ)(つく)った。


 (もり)(おく)では、(ゆき)のランタンがまるで(ちい)さな(むら)のように点々(てんてん)と(かがや)いていた。

 リリは一つひとつの(ひかり)(さわ)ろうと()()ばすが、ランタンはふわりと()かび、(ゆき)(なか)(ただよ)う。


「キラ、これって……魔法(まほう)なの?」

「そうだよ。(ゆき)(なか)(ひかり)は、(ふゆ)(もり)だけが(つく)れる魔法(まほう)なんだ」

 キラはくるくると()いながら(わら)った。

 リリも(わら)(かえ)すと、(むね)(おく)にぽかぽかと(あたた)かい気持(きも)ちが(ひろ)がった。


 (ちい)さな(ひかり)()いかけながら、リリは(もり)(おく)秘密(ひみつ)()づいた。

 ランタンの(ひかり)(たん)なる(ひかり)ではなく、(もり)()動物(どうぶつ)たちや(ゆき)息吹(いぶき)(うつ)()(ちい)さな魔法(まほう)だったのだ。


「リリ、()て……あそこにもランタンが!」

 キラが(こえ)をあげると、()(あいだ)(ちい)(ひかり)()れた。

 リリは()()ると、(こおり)(うえ)(ちい)(ひかり)(おど)っているのを()て、(こころ)(そこ)から(よろこ)んだ。


 夕日(ゆうひ)(もり)()め、(ゆき)(あわ)金色(きんいろ)(かがや)く。

 リリは深呼吸(しんこきゅう)をし、今日(きょう)(ひかり)魔法(まほう)(むね)(きざ)んだ。


明日(あした)も、(ゆき)のランタンを(さが)そうね」

「うん、きっともっときらきらがあるよ」

 二人(ふたり)()をつなぎ、(ゆき)(もり)(あと)にした。

 その(ひかり)(ふゆ)魔法(まほう)は、リリとキラの(こころ)(やさ)しく(のこ)った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ