冬の森のきらめき
冬の朝、リリは窓の外に広がる雪景色を見ながら、深呼吸をした。
空気は冷たく、胸を通って全身に冬の清すがしさが染み込む。
昨日見た凍った湖の光がまだ目に残っていて、リリの心はわくわくと高鳴っていた。
「リリ、今日は森を探検しよう」
小さな声がリリの耳に届いた。
リリが振り向くと、雪の妖精キラがふわふわと光を散らしながら舞っていた。
「森……? なんだか楽しそう」
リリの胸は喜びでいっぱいになった。
森の中には雪に包まれた木たちや、冬にしか見られない光があるとキラは言った。
森への道は雪が深く、リリの足はぎゅっ、ぎゅっと沈んだ。
踏みしめるたびに雪が軋む音が響き、空気は静かで凛と張りつめている。
キラは嬉しそうにくるくる舞い、雪の粉をちらちら舞わせた。
「リリ、見て! あの木の枝に氷の花が咲いてる」
「わぁ……本当だ、まるで小さな星みたい」
リリは手を伸ばし、氷の花をそっと触った。
冷たく、でも優しい感触が指先に伝わる。
森の奥に入ると、雪はさらに深くなり、足を取られそうになることもあった。
でもリリは怖がらず、キラの後を追って進んだ。
森の静寂の中で、雪の結晶が太陽の光を受けてきらきら瞬く。
まるで小さな光の舞踏会のようだった。
「リリ、あっちの方に小さな動物の足跡があるよ」
「どんな動物かな……?」
リリは雪に残る小さな足跡を見つめ、想像を膨らませた。
ウサギかもしれないし、リスかもしれない。
キラは笑いながら空中でくるくる舞い、リリの想像力を誘った。
二人は足跡をたどり、森の奥にある小さな空き地を見つけた。
そこは雪が光を反射して白銀の世界になっており、木の枝には氷の花が咲き乱れ、まるで雪の王国のようだった。
「すごい……森がこんなにきらきらしてるなんて」
「リリ、この森は冬だけの魔法の世界なんだよ」
キラは嬉しそうにくるくる舞い、光を雪に散らした。
その光はリリの瞳に映り、胸の奥まで暖かく染み込む。
森の中をさらに進むと、雪の下から小さな泉が凍って氷になり、太陽の光に反射して虹色に輝いていた。
リリはそっと氷を撫で、色の変化を楽しんだ。
「リリ、ここで雪合戦しよう」
「うん、負けないよ」
二人は雪を集め、小な雪玉を作った。
リリがキラに雪玉を投げると、キラもくるくる舞いながら光で返す。
雪の白と光のきらめきが混ざり、森はまるで小さな祝祭のように輝いた。
雪のかまくらを作り、リリは中に入ってみた。
氷と雪に囲まれた空間は冷たいけれど、光が壁に反射して幻想的な空気を作っていた。
リリは「楽しいね」と小な笑い声をあげ、キラも光で応えた。
日暮れが迫ると、森の雪は淡いオレンジ色に染まり、木の影が長く伸びる。
リリは今日の森のきらめきを目に焼き付け、心に小さな幸せを感じた。
「また明日も、森のきらめきを見に行こうね」
「うん、もっと素敵な発見があるよ」
二人は手をつなぎ、雪の森を後にした。
冬の静けさと光の魔法は、リリとキラの心に永遠に残った。




