冬の贈り物
冬の朝、リリは窓の外を見て、雪が一面に積もる景色に息をのんだ。
世界は真っ白で、光が雪の結晶を反射して無数の小さな光の粒を生み出している。
「リリ、見て……僕の魔法」
小さな声が耳に届き、リリは振り向くと、雪の妖精のキラが手のひらに小さな光の球を浮かべていた。
球は青や金色に輝き、雪の光と混ざり合って幻想的に揺れる。
「わぁ……キラ、それ魔法なの?」
「うん、リリにだけ見せる秘密の魔法だよ」
リリは胸をドキドキさせながら手を伸ばすと、光の球は柔かく回り、リリの手のひらにふんわりと降りてきた。
手のひらに触れた瞬間、リリの胸は温かくなり、冷たい冬の朝の空気がまるで春の光に変わったように感じられた。
小な魔法は光だけでなく、心も温かくする力を持っていた。
「リリ、嬉しい? この魔法は君の心の温度を映すんだ」
「え……心の温度?」
リリは手のひらの光を見つめながら、小く頷いた。
心がじんわりと温かくなる感覚が体中に広がった。
キラはにっこり笑い、光の球をくるくる回した。
球は青から金色に変化し、雪の白と溶け合いながら、まるで小さな星を散らしたようにきらめいた。
「リリ、魔法は特別じゃなくて、心を大事にする気持ちから生まれるんだよ」
「心…」
リリはそっと息を吐き、胸の奥に温かい光が流れるのを感じた。
雪の冷たさが遠く感じられ、光と心の温もりが世界を包む。
二人は雪の上に腰を下ろした。
雪は耳を刺すように冷たいけれど、光の球と心の温もりで、まるで温かい毛布に包まれたように感じた。
「キラ、この魔法…ずっと感じていたい」
「うん、リリ。だからこの光を君に贈ったんだよ」
リリは光の球を胸に抱き、じっと見つめた。心の奥がじんわり温かく、優しい気持ちで満たされる。
外の雪は静かに降り続け、森は白い静寂に包まれていた。光の球は雪の上に小さな影を落とし、まるで雪の中に小さな星が浮かんでいるようだった。
「リリ、魔法は君の心と一緒に成長するんだよ」
「うん……私も、もっと心を大事にするね」
リリは雪に手を置き、光の球と心の温もりを感じながら、雪の朝を静かに楽し(たの)んだ。
キラの魔法は小さくても、大きな優しさと温もりを届けてくれる、冬だけの特別な贈り物だった。
光はゆっくりと揺れ、雪は舞い降り、二人の心はそっと溶け合った。
冷たい冬の朝でも、心の中は光で満ち、あたたかく輝いていた。




