禁忌
生き物の姿を変える魔法が禁忌なのは、どんな魔法よりも危険だからです(*^_^*)
どんな相手でも、物量の少ない小石に変えれば、平民でも使える超魔力低消費型の最強魔法となりますw
日の当たらない渓谷の谷間で、すっぽんぽんのままツバサの過去話を聞き終わった元気達は、寒さのあまりお風呂に入り直す事にした。
「はぁ、極楽極楽……」
「冷えた身体にお湯が染みますなぁ……。おいナツ、身体がプルプルしてるけど、オシッコするなよ?」
「し、しないし!」
「良いなぁそれ……俺も入りたいんだが……」
湯船の中で暖まる元気とナツを、ツバサが怨めしそうに見つめる。
「サイズ的に無理だよ……。ってか意識が戻ったんならさ、擬人化的な事は出来ないの?」
「擬人化?……どうやるんだよそれ?」
「……さぁ?」
「さぁって……。そっちから質問しといて、俺を馬鹿にしてるのか?食べるぞ?」
「いやいや!馬鹿にしてるわけじゃ無いって!黒竜だったシルビアさんって人がさ、魔物の姿から擬人化するんだよ!だから、出来ないのかなって思って!気持ち悪──こ、怖いからベロをしまって!」
「……嘘って訳じゃ無さそうだな……。しかしどうやって人型になるんだろ?」
「……さぁ……?うひぃぃいいぃ!ヌルヌルする~!ベロでまかないでってば!」
「何か聞いて無いのか?」
「気付いたら竜の姿で、擬人化初めから出来たって言ってたけど、これもイメージが大事なのかもって言ってた……」
「イメージ?」
「うん。シルビアさんが昔お母さんから聞いてた竜のお話しは、竜が人に化けて、人と暮らす話なんだ。結局はシルビアさんと同じ様に悲しい目に逢うんだけど……。まぁ、話の内容は端折るけどさ、竜は人間に変身する。その事を自然とシルビアさんは思ってたから変身出来たんじゃないかな?」
「なるほどな~イメージか……」
「……へぇ~元気ってお馬鹿そうだと思ってたけど、何か実は賢そうだな!」
「ナツの言う通りだ。寒い中素っ裸で俺の話を聞く辺り。コイツら馬鹿だな~って思ってたけど、どうやらそうじゃ無い様だな……。アレはお前なりの真面目に話を聞くぞ!って言う姿勢だったんだな……心の中でだが、馬鹿にして悪かった……」
「う、うん……いいよ……」
ポタンがシルビアから話を聞いて考察した話を、まるで自分が考察したかの様に語った元気。二人はポタンの事を知らないので、元気の評価が爆上がりした。
「にしても、自然と魔物から変身するイメージか……カエルが人間になるイメージ……。……そんなアニメとか何かあったっけ?……イメージが……」
「……蛙にされる人間ならあると思うけど……。カエルが人間になる話とかは知らないかも……」
「まぁ、物は試しか……やってみようかな、ひとつだけイメージ出来たし……おりゃ!ドロン!」
ツバサも変身のかけ声はドロン!らしく、そのかけ声をあげると、ツバサの周りに煙幕が上がった。
「け、煙出し過ぎだって!辺り一面真っ白じゃ無いか!?」
「アハハッすまんすまん!どうやら成功したみたいだ!……うへぇ~!何年振りの風呂だろう!ひゃ~!身体に染みるぜ~!」
風呂にツバサが入って来たのが、湯船の揺れと、ツバサの歓喜に満ちあふれた気持ち良さそうな声で解る。だが煙幕で肝心な姿が見えない。
「そんなに喜ぶ?」
「当たり前だろ?この世界ってお風呂って言うお風呂が無いから、本当に嬉しいんだよ……」
「そっか……確かに湯船って見掛けなかったかも……。よろこんで貰えて良かっ……た……。え?何その姿……気持ち悪……」
「アハハハハ!蛙のお面をつけた奴が居る!面白~!」
辺りの煙幕が薄るとツバサの姿が見える様になった。
「ほら、昔クロノ・トリーガーってゲームがあったろ?あれに蛙の勇者がいてさ、あれをイメージしたんだ。結構格好いいキャラだったんだけど、気持ち悪い?」
「多分それ、アニメ調だから許されていたデフォルメだよ……。生身の身体に生々しい蛙の顔がついてるのは、不気味過ぎる……」
生身の男の身体に、蛙の顔だ。モンスター以外の何者でも無い。しかしナツはそれが面白い様でゲラゲラと笑いながらツバサの顔をしきりに突っついている。
「フフフ……良いのさ……。元々気持ち悪い顔だったんだ……。ナツが笑ってくれるだけで……良いのさ……。フフフ……」
ナツに突かれながら、何かを諦めた様に遠くを見つめるツバサ。とても良く無さそうな雰囲気が漂っているが、本人は容姿に関してはとうの昔に諦めている様子だ。
異世界で初めて女の子の優しさに触れた矢先に死別し、怒りで魔物化した末にナツの命を救ったツバサ。そんな彼の行き先が気持ち悪い蛙男と言うのは、流石に不憫過ぎると思い、元気はひとつの提案をする事にした。
「あのさ、これはここだけの秘密にして欲しいんだけどさ……。もしよかったら、人間の姿に戻してあげようか?」
「え!?そんな事出来るのか!?」
「えっと実は俺……一応神様やってて……禁忌の魔法が……──」
「──はいは~い。出た出た!神様!そんな事言って俺に変な壺や絵を買わす気だろう?流石に男の行う詐欺には騙されんぞ?ハハハハ」
「いや、嘘じゃ無くてさ……」
現実世界でも、こちらの世界でも騙され続けたツバサの疑心暗鬼は強く、元気の発言をまったく信じる気配が無かったので、元気は元気で異世界に来てからの生い立ちをツバサに話して聞かせた。
「……ちょっとお前……ビンタしていい?」
「え!?何で!?」
「最初に死に目に合ったのは可哀想に思うが……その後がふざけすぎだろ!綺麗なお姉さんに会って、娘が出来て家族が出来て、神様になって膨大な力とロリ妹を手に入れたとかどんだけだよ!リターンが大きすぎるわ!」
「ま、まぁ……そうかも……」
シルビアや、ツバサや露死南無天に比べると、自分は幸せな異世界生活を送れているのかも知れないと、薄々感じていた元気はツバサに面と向かって言われて現状がとても幸せな環境であると改めて自覚した。
幸せのお裾分け。ミリャナがそれを行う事に対して、元気が積極的に関わっていたのは、無自覚にも自分が幸せである事を自覚していたからだった。
「と、取り敢えずさ……どうだろう?その……幸せのお裾分けって事で、完全な人の姿に戻って見ない?」
「幸せのお裾分けって……何か上から目線で腹立つな……」
異世界に来てからの待遇の違いに、未だ納得が出来ない様子のツバサ。今度はナツに口の中を調べられながら、腕を組んで元気を不機嫌そうに睨みつけている。
「よ、容姿のリクエストも受け付けるよ?」
「……まじ?」
「うん……。イメージ出来る人物なら……」
「……た、例えば……FFの銀髪長髪の人とか……」
「金髪の人でも大丈夫!」
「ま、まじか……。お前……神かて……」
「ま、まぁ一応ね……」
ツバサの不機嫌な様子が消え、ナツに顔をいじくられながら、悩み始めたツバサ。人間に戻る事に関して前向きに考え始めた様だ。
「げ、元気よ……それは拙者にも出来るので御座るか?永久的に人間の姿になれると言うやつは?」
「ろ、露死南無天!?お、お帰り……」
いつの間にか背後に立っていた露死南無天に驚く元気。ツバサに飛ばされて少し怪我をしているが、命に別状は無い様子だ。
「あ……。先程はすいませんでした……自分……意識が戻ったばっかりで意識がハッキリしてなかったもので……」
「いやいや、気にする事は御座らん。粗方の話は崖の上で聞かせて貰ったで御座る……ツバサ殿も中々苦労なさった様子で……。先程の件はこうやってザブンと風呂に浸かり、水に流すで御座る!」
「あ、ありがとう御座います!お、俺ツバサです!よろしく!」
「ブルファハハハハ!拙者!露死南無天で御座る!以後よろしく頼むで御座るよ!」
蛙男と喋る馬が握手を交わす。その不気味な光景を、ナツが目を輝かせ眺めている。好奇心旺盛な少女にはとても面白い光景に映っている様だ。
「えっと露死南無天も人間の姿に戻りたいの?俺はてっきり、自由な馬ライフを楽しんでいるのかと……」
「いやいや、そんな訳が無かろう……。姿形を変えるのは禁忌だとポタンから聞いて知っておったから我慢していたんで御座るが、まさか最高神になると禁忌破りが出来るとはのう……。人の姿に戻れると言うのならば是非にでも戻りたいで御座る……。この姿のままでは……流石にのう……」
そう言いながら、優しくナツを見つめる露死南無天。にぶちんな元気でも、その先に誰の姿を思い浮かべているのかが解った。
心と心で通じ合っていても、馬と人間では流石に不都合があり過ぎる。可能性としては戻れるかもしれないと薄々考えていたのだろうが、ここに来て露死南無天が、人の姿に戻りたいと声に出して言い出したのは、冬美との未来を考えての事だろう。
「んじゃ、二人まとめて元に戻すよ……露死南無天は……あの、ダンジョンで戦った時に見た。普通のシオ顔のおじさんの顔で良いの?」
「おぉ!あれを覚えているか!あれが拙者の若かりし頃の姿じゃ。あれで良い!……して……シオ顔とは何で御座るか?」
「えっと……サッパリした顔……かな?」
「元気は嘘をつくのが下手で御座るな……。まぁいい。見慣れた自分の顔が一番で御座る……では早速頼むで御座る!」
「了解!」
露死南無天の顔を覚えているかいないかで言われれば、本当に何処にでもいるおじさんの顔だったので、そこはかとなくしか覚えていない元気だったが、少しくらいならイケメンにしたところで怒られないだろうと、嬉しそうな露死南無天と一緒に風呂から意気揚揚と出て行き、まずは露死南無天の姿を人間に戻す事にした。
何処まで飛んで行っていたのか、露死南無天の帰還により。二人のフォームチェンジが開始します。
姿形は変わりますが、露死南無天は露死南無天。ツバサはツバサ。どうなる事やら。ナツの異世界能力は何にしようwこれがまだ決まってないw
次回、フォームチェンジ完了。ダンジョンヘの道を進みます!多分!
少しワロタ! もっと読みたい! 心がピクリと反応した! と思われた方は、ブクマ:評価:いいね等々。よろしくお願い致します。
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『★★★★★』で……元気も喜び頑張りますw




