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9話「インテリ眼鏡の男ノーヴェン!」

挿絵(By みてみん)


 カーテンは既に開かれており、窓から朝日が差し込んでいる。


「サンライトセブンに入隊したいって言ってたよね?」

「ああ」


 朝飯を済ませたらしく、空の食器がテーブルに並ぶ。リョーコに聞かれナッセは頷いた。


「で、サンライトセブンがどういうのか説明してもらっていい?」

「クセは強いが、凄腕の精鋭部隊。サンライト王国の平和を守り抜く頼れる人達だよ」

「へー」


 ナッセは席を立つ。


「百聞は一見にしかず。一人ずつ紹介するよ」


 まだ入隊すらしていないというのに、まるで長年付き合ってきたかのような素振りに、リョーコは疑惑を抱いていた。



「よお! また会ったなァ!!」


 玄関から出るなり、立ちはだかったアクトがフレンドリーに手を振っていた。


「なっ!? なんでアンタがいるのよっ!」

「あん時の決着つけようと思ってなァ……」


 びっくりするリョーコを差し置き、ナッセへ不敵な笑みを浮かべながら、腰から刀を引き抜こうとする。


「悪い。また今度にしてくれ。これからサンライトセブンを紹介する所なんだ」

「なら、俺も付き合ったらァァァ!!」


 何故かアクトもノリノリで鞘ごと刀を振り回す。そんなハイテンションのドンイ人にリョーコも困惑気味だ。



 時計塔の交差点を通り過ぎてから、しばらく歩いた所に魔法協会が建ってある。赤い瓦の二階建ての屋敷。出入り口の上に掲げられた看板には五芒星を描く魔法陣をシンボルマークにしてある。

 中に入ると、魔法使い達が多い広間に出る。

 本棚も並んであり、等間隔で並ぶテーブルには本も置かれている。

 高身長で大柄なアクトに、誰もが驚いていた。ナッセ達は構わず奥へ進んでいく。


「そして、あの人こそサンライトセブンのノーヴェンだ」


 受け付けに来ると、ナッセは振り向いてそう言った。リョーコは仰け反る。


「え……?」


 受け付けにいる男がそうなのだろう。三角が特徴のインテリ眼鏡。細身ながらも半裸から覗く筋肉が隆々している。

 胸当ての代わりに大きな三角のインテリ眼鏡が装着されてあり、レンズ故に胸の筋肉が窺えられるようになっている。そして手首には手甲のようにインテリ眼鏡が三つ連なってある。足首にも同様の三連インテリ眼鏡。

 一見すれば黒いパンツの半裸男……。

 とにかくインテリ眼鏡推しの細マッチョの男がノーヴェンだ。

挿絵(By みてみん)

「ちょ、ちょっと! なんか変態に見えるけどっ!?」

「本人は至って真面目だぞ」


 リョーコのツッコミにも動じず、キリッと真顔で付け足すナッセ。

 側でノーヴェンは筋肉を誇らしげに見せつけるようにポーシングしている。厚い大胸筋と共に乳首をピクピク上下させた。

 うっわ、とリョーコは青ざめながら引いていた。


「だが、その筋肉悪かねェなァァ!!」


 ニヤリと笑むアクトに、ノーヴェンは「ありがとうデース」と共に違うポーシングで返した。ムキムキと筋肉が隆起する。

 何故かアクトも負けじと上着を脱いで筋肉をムキムキと隆起させた。

 話が進まないからと、ナッセは間に割り込んで制止した。

 


「さて、ユーはナッセさんですネー。噂に聞いてマース。山で大爆裂魔法使ったり、その男と戦ったりとしてましたネー」


 なんとノーヴェンはエセ外国人のような口調で喋り出した。リョーコはげんなりしている。


「魔法使いとして登録しにきた。頼めるかぞ?」

「イエス! ではステータスをサーチさせてもらいマス」


 疲れた顔のリョーコは置いといて、ナッセへノーヴェンは眼鏡の縁にあるスイッチを押す。ピピピッ、機械音が鳴る。


「レベルの割に力も体力も素早さも平均以上。特にMPは……、二〇〇、三〇〇、ご、五〇〇……!? そ、そんな!! ま、まだ上がりマース!!」


 ノーヴェンは汗をかき驚愕していく。

 ボンッ、インテリ眼鏡の片方が爆発して、ノーヴェンは仰け反った。

 その様子に周囲の魔法使いは驚き固まっていた。


「測りきれず爆発するとか、笑えないんだが……?」


 やれやれ、と言った感じでナッセは呆れ果てた。


「そ、それはこっちのセリフデース……」


 スペアのインテリ眼鏡に掛け替えて、ノーヴェンはハンカチで頬を拭う。

 どうやらナッセのMP、つまりマジックプールとなる魔法のエネルギーの容量が信じられないくらい広いようだ。

 どれだけ湯水の如く使っても底尽きることがないほど多い。

 リョーコは呆気に取られた。と、同時に大魔法をぶっ放しても疲れた様子を見せなかったのも納得がいく。


「さすが俺のライバルだァァ!! 相手にとって不足はネェェェェェ!!!」


 ハイテンションなアクトは握った拳を震わせ、両拳を突き上げて歓喜した。傍目でリョーコは溜め息つく。


「それでも、オレには足りないくらいだ。まだまだ精進せねば」


 鋭い眼光を宿すナッセ。一体何が彼をそうさせているのだろう?

 寧ろ鼻にかけて自惚れてもおかしくないほど、莫大な魔法力だ。魔法に長けたエルフ以上だろう。

 ノーヴェンも同じくナッセをそういう風に見ていた。そして何故そうなのか興味を持った。


「登録は終わりましター」

「ありがとう。では、よろしく頼みます」


 何かカードを受け取り、微笑んで会釈した。

 ナッセ達が去った後、固まっていた魔法使い達はざわめき出した。


 金玉潰し銀さん、大爆裂小僧、スカウター破壊魔……などと増えた。

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