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74話「四天王ニメアのダイレクト強襲!?」

挿絵(By みてみん)


 人々が行き交いするサンライト王国の路地を、一人の女性が全身を覆うローブと顔面を残して包む帽子で身分を隠して歩いていた。

 両目だけが覗いていてキョロキョロ見渡していた。


 くっ……! あのクソ皇帝め……!! 極刑してくれやがったわね……!

挿絵(By みてみん)

 隠しきれない殺意が漏れ出る。

 慌てて抑えて、キョロキョロ警戒深く見渡す。反応する人々はいない。


「とはいえ、今世の腑抜けた皇帝は……前世とまるで別個体……。もはや残虐な皇帝はいないってワケね……」


 なら、この四天王ニメアはもう終わり! これからは……サンライト女帝として新たに君臨してやるわ……!


 ニヤリと笑みを釣り上げていく。

 目指すはサンライト城、そしてヨネ王様。

 今までなら、長い時間をかけて籠絡(ろうらく)して裏から思い通りに動かそうとしてただろうが、今は違う。

 ガンマ皇帝の圧倒的な強さにコテンパンに負けたせいで、プライドはズタズタだ。

 高貴な令嬢として狡猾に策を弄して、転がり落ちて絶望していく敵を嘲笑ってきた自分がこのザマだ。


「最後に笑うのは私よ……!」


 煮えたぎる復讐心に囚われて、直情的に城へ突撃した。門番も反応できずに門もろとも粉砕された。

 飛沫を吹き上げて並み居る障害物を破壊していって、王様の気配がする場所へ目指す。


 頑丈な壁が木っ端微塵に爆ぜて、一人の女性が殺気立ってギロリと睨んでくる。


「な、なんじゃ!?」


 ヨネ王様は竦む。二人の兵士が「なにやつ!」と前に出るが、ニメアは美しかった女性から姿を変貌させていく。

 口がクチバシに、頭上からトサカが、腕から羽毛が、尻から三本の尾っぽが生えてきた。

 見た目的に鳥人間だ。


「ひっ!」

「ば……ばけもの!?」

「どきな!」


 ニメアが右手で薙ぐと二人の兵士が吹っ飛んで壁にグチャッと張り付いて、血を濡らす。

 ヨネ王様は戦々恐々と後しざり……。

 それを見てニメアは醜悪な笑みを浮かべて、振り上げた右手に火炎球を生み出す。


「女帝となるために国をいただくわ。あなたはおしまい。焼け死ね!」


 感情的に襲いかかろうとすると、ザッと何者かが立ちはだかった。

 なんと銀髪の少年ことナッセだ。

 リョーコがヨネ王様のそばに駆けつけて護衛する。


「お前は……ナッセ!?」

「鳳凰ニメア!! やっぱ生きてたのかっ!?」


 因縁深いニメアを前に、ナッセは激情を剥き出しにしていく。

 前世でもサンライトセブンやリョーコを殺されたりした恨みがあった。こいつが裏で色々してくれたおかげで悲劇を味わった。

 そして今世でも時空間迷宮にイワシローを先行させたり、竜さんをけしかけたり、煮え滾る事ばかりだ。


「あ……! 敵襲ですか!?」


 事情も知らずコンドリオンが居合わせたが、フクダリウスは早く察して王様の元へ駆け寄った。


「ほほほほ! ナッセくんねぇ~? 私が女帝になるんだから部下にならない? ガンマ皇帝と敵対してるんでしょぉ?」

「うるさいっ!! なんでそうなるんだよっ!」

「あんなヨボヨボなのより、私のような美女が嬉しいんじゃない? ねぇ?」

「ふざけるなっ!!」


 リョーコはナッセがやけに感情的になってるのが不安に感じた。

 いつもは冷静沈着なのに、今回はまるで別人だ。


「サンライトセブンなーんてコマ動かしてさぁ、楽しかったでしょう?」

「……コマだなんて思っちゃいない!」

「あははははは!! 気取ってさぁ! バッカみたぁ~い! 妖精王なんだから、愚かな人間なんて転がしちゃえばいいじゃない~? 面白いわよぉ~?」


 ワナワナ震えていくナッセ。頭が沸騰しそうだ。


「ゴミみたいに人間が苦しみもがくの見てて楽しいじゃない! 前世で無様に死んだフクダリウスやコンドリオンのようにね! 笑えるわよぉ!! あはははははは!!」

「その汚ぇ口を閉じろ────ッ!!」


 激怒したナッセがニメアへ飛びかかる。


「かかったわね! 獄炎灼熱球ヘルフィア・フレファーアッ!!」


 ニメアは青く燃え盛る巨大な火炎球をナッセに撃ち、轟音とともに爆炎が爆ぜていく。

 超高熱の熱風が吹き荒れ、灼熱の火炎が広範囲に広がるが、渦を巻いて徐々に花吹雪に霧散していく。

 掌を差し出して毅然とするナッセに、ニメアは見開いた。


「こ……これが無効化!? まだ妖精王になれる余力があったのね!?」


 ナッセの足元から沸騰するように花畑がポコポコ広がっている。

 既に背中からは四枚の花弁が翼のように滞空していて、ナッセの髪がロングに伸びていてたゆたう、両目の虹彩に星マークが輝く。

 そして周囲を花吹雪が舞い続けていて、神々しいフォースが噴き上がっていた。


「確かに竜さんとも渡り合えるほどに成長しているわ……、化物としてね!!」

「お、オレが化物なのは認める……」

「だったらフクダリウスとかノーヴェンとかゴミじゃな~い? どうせ下等生物。虫みたいに手とか足とかもいでさぁ~、苦しみもがく様は見てて楽しいわよぉ~?」

「そんな悪趣味はねぇッ!! 理解もしたくねぇぇぇえッ!」

「人の事言えないでしょう? 前世からループを繰り返して、ゴミのように死ぬのをたくさん見てきたんじゃな~い? さぞかし見応えあったんでしょ~? あははははは!!」


 ナッセは激昂して「黙れ! ニメア────ッ!!」と吠えて、ニメアの鳥頭を強烈なフックで殴る。


「ぎほっ!」


 更に左右交互に高速フックを繰り出して滅多打ち。

 渾身のストレートで殴り飛ばして壁を突き抜けて、外へ吹っ飛ばす。


「なんと……! 素手でも強いのか!?」


 そんな凄い力に王様も唖然とする。


「ち、ちょっと待ってよ!! ナッセェー!!」


 リョーコは制止の手を伸ばすも、ブチギレ状態のナッセは飛び出す。

 怒りのままにフェアリーフォースを漲らせてニメアへ目指し、拳の連打でボッコボコのフクロ叩きにしていく。

 暴れるドラゴンとなんらも変わらない膂力で殴り続ける。

 相手が普通の人間なら肉片に飛び散っていただろう。


「ふふっ……、下等生物を侮辱したくらいで激怒しちゃってさぁ……可愛いわねぇ……」


 対して殴られ続けて血まみれなのに、ニメアは薄ら笑んでいた。

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