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70話「惨劇の運命を覆せ! ナッセの糞発!」

挿絵(By みてみん)


 このままでは全滅すると、ナッセは前世の惨劇を連想して体が震えていく。


「サンライト王国ごと消し飛ぶにか────ッ!!!!」


 太陽のように眩く輝く光球が解き放たれ、周囲を超高熱の余波が広がり、徐々に大地が震え始めていく。まさに恐怖の滅亡一歩手前!


「死なせてはなりまセーン!! ナッセ無効化を!!!」


 ノーヴェンの叫びに、ナッセは決意の目を漲らせた。ギンッ!


 そうだ!! オレには……、今のオレにはッ!


 足元の周囲にポココココと急速沸騰するように花畑が激しく咲き乱れ、銀髪が発光を帯びロングに伸び、背中から花弁のような二対の翼が広がる。目の虹彩に星のマークが現れる。ナッセは花吹雪舞う妖精王に一気に変身。


 今はもう、皆を守れるだけの人智を超えた力が有るッッ!!!!


「おおおおおッ!!! デコレーションフィールド・無効化ッ!!」


 ナッセは、迫りくる太陽のような光球に向けて掌をかざす。


 ッドオオオオォォォォォン!!!


 王国を覆うような莫大な閃熱の球体が明々と広がり、広大な大地を蹂躙するほど凶悪な超高熱の爆炎が荒れ狂う。そして巨大なキノコ雲が天を衝く!


「ニカーッカッカッカッカ!!!!」


 震える大地と共に、殺戮と破壊を賛美するような下卑た哄笑。が、それは次第に収まっていく。


「なん…………だと…………!?」


 なんと巨大に噴き上げられた爆炎が花吹雪へと変貌。竜巻のように天地を繋ぐ花吹雪の渦がうねる。そして広々と四散して舞い散っていく。

 破壊跡をすら払拭する程の辺り一面の花畑。

 雄々しく掌をかざす妖精王状態のナッセの姿に、ニカ大将軍は畏怖を覚えた。


「よ……妖精王……にかッ!? しかも雄の三毛猫よりもレアな男の妖精王にか……ッ!!!」

「そこうるさいぞ!!」

「今デス!! モリッカさん! ここから、必殺技を撃ってくだサーイ!!!」


 モリッカは「コンセットブースター・カスタムモリッカです! はあっ!」と四体のコンセットを自らに合体させて、杖を両手で握りしめて腰へ引く。


「まじかる波────ッ!!!」


 腰から一気に敵に向けて杖を突き出す。が、無効化されてわたあめのようなものが伸びていくのみ。

 モコモコ……モコモコ……モコココ………。

 なんかこういう花火があった気がするぞ。


「へっ! 味方の攻撃まで無効化たぁマヌ……」


 無効化の範囲外に出たわたあめは、突然閃光を放ち、大爆発の奔流となってニカ大将軍を襲った。


「な!? なにぃぃぃぃ!!?」

「イエス、範囲外に出ると元に戻るのデスヨ。それは竜さんとの戦闘で実証済みデース」


 不意を突かれたニカ大将軍はなすすべがなく、奔流に呑まれていく。


「ガカニハァァァァ〜ッッ!!!」


 轟音を響かせ、大地を揺るがし爆風が広々と拡散されていく。

 しかし「なんの、これしきいいいいいッ!!!」と、不屈の意地でニカ将軍が爆風から抜けて出てきた。ナッセたちは見開く。

 もはやボロボロになって血まみれだ。

 それでも己の強靭な肉体でもって敵を叩き潰さんとナッセたちへ迫る。


「ニカアアアアアアアアアアッ!!!!」


 血まみれのまま襲いかかるニカ大将軍は憤怒の表情でナッセたちへ襲いかかる。

 そんな気迫にリョーコは怯む。


「な、なんなのコイツっ!?」

「ワシがやる! リョーコは下がっておれッ! ぬうおおおおおおおッ!!」


 するとフクダリウスが斧を振るって飛び出す。

 ニカ大将軍はカニのハサミのような手甲でぶつかり合って、激しい衝撃波が吹き荒れて、両者の足元から地盤がめくれる。

 しばしの力比べで震える。


「人間風情の力で、俺に勝てるにかあああああああッ!!」

「むおおッ!?」


 逆にフクダリウスを力任せで弾き飛ばす。

 吹っ飛ばされたフクダリウスは「ぐわああああああ!!」と大地に叩きつけられて、破片と土砂を噴き上げた。

 満身創痍で押し勝つのは相当な剛力。さすが四天王を名乗るだけはある。


「そうはさせませんよっ!」


 今度はモリッカがオーラの尾を引きながら、ニカ大将軍へ殴りかかる。

 大地を揺るがすほどの格闘で、激突の度に重々しい衝撃波が広がっていく。目にも留まらぬ攻防の応酬で競り合っている。


「はあああああああッ!!」

「ニカアアアアアアアッ!!」


 ニカ大将軍は憤怒でモリッカを殴り飛ばすが、跳ね返るように戻ってきて蹴りを逆に喰らう。

 吹っ飛ぶニカ大将軍を追いかけるモリッカ。そのまま高速移動しながら激しい格闘が繰り広げられる。

 殴って、蹴って、殴って、蹴って、互い必死にダメージを与え合う。


「オー……、あの槍さんを圧勝してたモリッカと互角とは……!?」

「伊達に帝国四天王じゃないわね!」


 しかしナッセは「押され始めた……」と苦い顔をする。

 なおもモリッカは必死に、ニカ大将軍を相手に目にも留まらぬ超高速であちこち格闘を繰り広げる。


「どうすんのよっ!」

「オレが出る!」


 切羽詰るリョーコに、ナッセは杖を握って加勢しようとする。


「全開だっ!! おおおおおおッ!!」


 気合いを入れてフェアリーフォースを噴き上げて大地を震わせていく。

 妖精王として凄まじい花吹雪が舞い、神々しいフォースが光柱として天高く昇っていく。


「ああっ!? 杖がっ!?」


 気づいたら杖をバキバキ握りつぶして、先端と尻柄が落ちていく。


「オー! ドラゴン並みの膂力に耐え切れないデース!」

「ええっ!? どうするんですか!? 素手で殴るんですか!?」


 絶句するノーヴェンにコンドリオンは焦る。


「ぐあああっ!」


 苦悶の声に振り向けば、モリッカが押されて吹っ飛んでいる。

 なんとか宙返りして着地。惰性で後ろへ滑っていく。はぁはぁ、苦しい息遣い。


「うぐっ!」


 しかも限界が来て、モリッカから四体のコンセットが四方に抜け出してしまう。

 ニカ大将軍は大地を裂きながら「ニカアアアアアッ!!」とオーラを漲らせてモリッカへ止めを刺そうとしている。


「やめろォ────ッ!!」


 切羽詰まったナッセはフォースを纏って飛び出した。

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