53話「ドラゴリラ“宝具”獲得!」
ナッセは座禅を組んでいた。口元がムズムズ動く。
「これ! ジッとして精神世界と同調するのだ〜」
同じ座禅を組むオオバ。周りに龍人たちが座禅を組んでいた。あまりにも動かないので彫刻像かと間違えそうになる。
他にも龍人がいたのも驚いたが、毎日これをしてたと思うと……。
「ひぃ……、動かないってシンど……」
リョーコもしばらく一緒に座禅していたが、数分で「つまんなーい」とあぐらを解いた。
ナッセは「えっ? もう行くの……?」とオロオロ。
しかしリョーコは「うん。がんばってね……」と気まずそうに去ってしまう。ナッセの残念そうな深ーいため息が聞こえる気がする。はあああぁぁぁ……。
卵に抱きついて温めているオウガとドラゴリラ。数時間もじっとそのままだ。
モリッカとノーヴェンは龍人の図書館で古代書をしげしげと読み耽っていた。
「それにしても見たことない本ばかりですね」
「デスネ」
リョーコも本をピラッとめくるが、難しすぎてちんぷんかんぷんだ。
フクダリウスとコンドリオンは得物を振るって、数時間も手合わせしていた。
幾度なく斧と剣が爆ぜ合う。目にも映らぬほど速度は上がっていく。二人は才があった。秒間に数十発も繰り出せるほどに上達はしていった。
リョーコもたまに混じって手合わせしたりして腕をグンと上げた。
────その日の晩。
「はぁ、今日も座禅ばっかだよ〜」
「でも大事なんでしょー? がんばってー」
「あはは……」
グッタリするナッセの肩をリョーコが揉み揉み。モリッカは苦笑い。
「あれ? ドラゴリラとオウガは?」
「卵に抱きついたままだよ」
「あれで孵化するのデスカ??」
龍脈に来てから、はや三週間────。
座禅を組むナッセは目を瞑ったまま微動せず、見事に精神世界と同調していた。
「ナッセ君。やはり筋がいい。いいですね。これで妖精王になる時にかかる負担はかな~り軽減されるでしょうな」
「……妖精王の事を知ってた??」
「今まで変身しなかったのは、命が危うかったので控えていたでしょう? ふふっ」
オオバはにっこり笑う。
リョーコは「うわー、すごーい! 何時間も石みたいに動けないでいるなんて……」と驚かれた。
「おかげでスッキリしてる」
ナッセは自分の体が軽くなった実感に笑みをこぼした。
ドラゴリラは卵に抱きついたまま、ラーメンを食べていた。オウガも同じくラーメンすする。
すると卵が揺れ始めた。
「おおっ!?」
卵にヒビが走る。上が欠ける。
「おおおおっ!?」
ついに割れた卵の上からドラゴンの頭が抜け出す。
それはグングン急成長して美しい羽を広げていく。立派な白きドラゴンとなって、どっか飛んで行った。さいなら~って感じで。
唖然とするドラゴリラとオウガ……。
「あ、ごめ。勇者でないと乗せてもらえないんだった」
龍人はてへぺろした。
「この三週間返せぇぇぇぇぇ!!!!」
全てが無意味となってオウガとドラゴリラは慟哭した。
それを見てたリョーコは「なんだかねー」と首を傾けて苦笑いする。
詫びの為か、龍人は龍の財宝倉庫へ、オウガとドラゴリラを連れて行った。
「これを授けよう。扱えるかは、お主次第だが」
なんとカッコいいデザインの龍の車椅子だった。ドラゴリラは「うっほ────」と目からハートを飛び出させた。
「『龍乃車椅子』……。本来なら人間どもに授ける事はしない。普通ならな……」
ドラゴリラが座り込むと車椅子は動き出すし、浮き出すとビュンビュン縦横無尽に飛び回っていく。
リョーコはワクワクして「あたしも乗れるー?」と聞いたら龍人は首を横に振る。
「元々ドラゴンフォース覚醒できる資質があればこそだ。他の人だとこうもいかないだろうな」
「ちえー」
「ええもん、もろたやで────ッ!!!!」
龍人は「効力が弱くなっていて、いずれゴミになるから処分にちょうどいいか」と呟いた。
リョーコはジト目で「うわー狡い……」と呆れる。
龍脈周辺の森で切り立った丘の上で、竜さんは視界に広がる龍を象った山脈を睨む。
「くそ……! まさか生き延びていたとはな……!」
あちこち寄り道しながら借金膨らまして帝国に帰ったら、ニメア令嬢に「サンライトセブン全員生きているからダメ」と追い出されたので舞い戻ってきたのだ。
未だ残っている借金が解消できず、悔しさを滲ませていた。
「よし! 我が博打仲間を呼ぶか!」
右腕を挙げてドラゴンの頭を象ったオーラを纏わせ、天に向かってブレスを吐いた。
大気を震わせる発砲音とともに、真っ直ぐ天高く軌跡を描く光線は雲を突き抜けて大爆発。
ドラゴンらしい派手な狼煙だ。
竜さんはニヤッと笑む。そして懐からスマホを取り出して耳に当てた。
「あーあー、もしもし。龍脈近くの『雀丘』にいるんで集まってくれー!」
派手な狼煙には特に意味もなく、普通に時空間スマホで仲間に連絡した。
すると周りに三つの召喚魔法陣が浮かんできて、三人が跪いた状態で馳せ参じた。
「我が『首領邪羅三騎衆』よく来た!」
「「「はっ!」」」
「久しぶりだな……、カンバチのカバちゃん。ヘンビックの蛇くん。ランサーンの槍さん」
あとがき
前にも言ったように麻雀全く知りませんw
小さい頃にやった事があるドンジャラくらいですw




