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51話「劇的な敗北!!」

挿絵(By みてみん)


 サンライトセブンを全滅させたと思い込んだ竜さんは上空へ飛びながら、感慨深そうに過去を思い返していた。

 以下、回想シーン。


(竜さんは、とある田舎村で生まれた平凡な人間だった)


 リュンサンこと竜さんは子どもの頃から、村人と一緒にゲームに興じていた。


「ああああああああ!!!!」

「竜さん、よっわー」


(弱い事で知られた彼は、いつも周りの子供達に笑われてばっかりだった。悔しかった)


「えへへ、負けた時の痺れるような快感……たまらない」


(竜さんは負け続けた。全力でぶつかって負け続けたのだ。悔しかった……。悔しかった…………)


「いひひ!! この快感格別〜! どんなデッキで負けようかな〜〜!!」


(彼は心の底から悔しくて泣いてばっかりだった……)


「お、おい……。あいつ負けたのにアヘ顔してね? にげろー!」


(相手されなくなった。弱すぎて誰も近寄れなかった。寂しくて悲し……!)


「一人にされて放置プレイとかふひひひひひひひ!! ぞくぞくくるぅ〜〜」


(おいぃぃぃぃぃい!!! なにドM全開でナレーションぶち壊しにしてんのォォォォォォォォ!!?)



 負け続けて竜さんはそれでも遊戯(ゲーム)を続け、賭け事(ただのカードゲーム)にも手を染めた。どこへ行くにも勝負事だ。


「フッ、たまに勝った時の悔しさを知りたいもんだ……」


 竜さんはそれ以降も相変わらず負け続けて借金が膨らんでいった。

 だがその快感に竜さんは笑みを絶やさなかった。

 とある帝国の令嬢とゲームをして、竜さんは莫大な借金を負ってしまうが、当人はむしろ恍惚していた。


「フルフルニィ……」

「我が国に招待するわよ? サンライトセブンを潰してくれれば借金をゼロに帳消ししてあげてもいいわ」

「……いいんだな?」


(これが竜さんと、シュパンシア帝国の四天王二メアとの出会いだった)


「あなたにはこれをあげるわ。名前負けしないようにね」


 ビスッ、二メアが指で弾いた粒が竜さんの胸元に突き刺さっていく。痛みはない。


「…………!?」


 それは最強種である魔獣の種(ビースト・シード)の種だ。

 素質さえあれば魔獣の種(ビースト・シード)を受けた人間は、上位生命体に進化できる。できないと一生ただの人間のまま。

 鳳凰二メアは鳥獣タイプだったが、竜さんはドラゴンタイプに成長したようだ。



 とある、帝国に逆らうヤメテヨネ王国。狡猾で知られているヤダーヨ民族が強引な手法で土地を奪い国を建てたのだ。何者をも拒むように強固で高い城壁で国を囲んでいる。

 竜さんは吸っていたタバコ(チョコ)を口の中に入れ、噛み砕く。その歯が人のそれより竜のギザギザに変貌!?


「グオオオオオオ!!!」


 分泌された液体のオーラが硬質化し、顕現された巨大な竜が咆哮をあげる。周囲の兵士は戸惑う。恐怖が覆った。竜さんは恐るべき竜となり、口から光の牌が────……。


「これが……勝ちか! 悔しいな! 悔しいな〜!」


 嬉しそうなキモいニタニタ顔の巨竜の背後に、轟々と燃え盛る国があった。城壁も何もかもが打ち崩されている。そして灼熱の火炎地獄がその痕を喰らっている……。

 そう彼一人でヤメテヨネ王国は丸ごと滅ぼされたのだ。


(ゲームは相変わらず弱いが、戦闘では無敵だった為に四天王まで上り詰めた)



 闇の賭博場。怪しげな大男の四人は笑みを浮かべ、賭け事をしていた。

 それぞれ賭け金として高く積まれた黄金のコイン(オモチャのコイン)が差し出される。負けたら全てを失う。それほどの危険な賭博。

 大男達はデッキをシャッフルして、各々のフィールドにセットする。


「デュエル!!」


「このターン、俺は伏せを二枚出し、守備モンスターをセットしてターンエンド」

「今度は俺様のターン! 相手の場にモンスターがいて自分モンスターが存在しない場合に手札から発動! キモい版クスモさんを特殊召喚だぜ。こいつで勝てる!」

「それはどうかな? 相手が特殊召喚に成功した時に発動するぜ! 手札からモリッカを捨てて、キモい版コンセットを特殊召喚だ!」

「何ィィィ!?」


コンセットA「こ、これは……!? 可愛いマスコットの我らが八頭身のキモいモンスターに!?」

コンセットB「これを知ったら、あのモリッカ様……黙っていませんね!」


(おぃぃぃぃ!! なんでお前らいんのォォォォ!!?)



 ワイワイガヤガヤと穢れた大人が危ないゲームに興じていた。賭博(ただのカードゲーム)で楽しみ、酒(ただのコーラ)を飲み、薬(ラムネ)をかっ喰らい、女(アニメキャラの抱き枕)を抱き、そして金(オモチャのコイン)を賭けに投じる、そんな娯楽に酔いしれる闇の賭博場。裏社会で蠢く男達の楽園。

 そんな裏舞台に竜さんはいた。


「フッ、熱い三流なら上等よ……」

「二体のモンスターをリリースし【青赤眼の白虎オッドアイズ・ホワイトタイガー】をアドバンス召喚だ!!」

「スゲー! 獣族最強の超レアカードだー!!」


 目をキラキラさせる大男達。


(穢れた大人…………?)


 竜さんはガリッと薬(ラムネ)をかっ喰らい、手元の酒(ただのコーラ)で酔いしれた。落ち着いた頃、タバコ(チョコ)を口に咥え……。


「勝ちも負けも当価値の快感もまた良し! 勝っても勝っても返しきれない借金が重過ぎるからサンライトセブンへ博打しにいこうかい。もちろん皆殺しで」


(こうしてついにサンライトセブンへ挑む筋書きとなった訳だ……)



 完全勝利の()()()に酔いしれている竜さんは鼻歌を口ずさみながら帝国へ帰っていった。

あとがき


 また変態ですねw

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