50話「サンライトセブン敗走……!」
借金返済の為にコンドリオン含むサンライトセブンの抹殺。
それが目的で竜さんは本物のドラゴンとなって、巨体を揺らして襲いかからんとする。
「この形態をドラゴンフォースが包んでいる限り、いかなる攻撃も通じんっ! 観念して敗北の味を噛み締めるがいいっ!」
フクダリウスは「ぬうおおおおおーっ!」と筋肉を膨らませて、斧を振り回して竜巻を放つ。
周囲の木々を薙ぎ散らして竜さんの頭を目指す。
サンライトセブン最強の威力を持つフクダリウスタイフーンだ。
すると竜さんは息を吸い込む。
「乙牌ッ!!」
竜さんの咆哮一喝で、フクダリウスの竜巻は破裂して消し飛んだ。
当人のフクダリウスは絶句して「あ……ああっ……!」と呻く。
「どうしようもないじゃないですかっ!」
「オーノー!!」
モリッカもノーヴェンも絶望に打ちひしがれるしかない。
リョーコはガタガタ震えてナッセの背中にしがみついている。
「“超絶変態”!!」
すると巨人かと思うほどの巨象が膨らんできて、怒りを込めた前足パンチが竜さんの頬を殴る。不意を突かれたか、竜さんはたたらを踏んで後方へ倒れて木々を押し潰していった。
血眼でふーふー息を切らす巨象。
「まさかコンドリオンっ!?」
「王子っ!?」
なんと、あの巨象はコンドリオンが全身を象変態に加え、更に巨大化したものだった。
「それだけで……それだけで、友を売るんですかっ!?」
ドスドスっと巨象は走り出して、竜さんへ襲いかかる。
しかし起き上がった竜さんは「借金を代わりに返してくれるんなら止めてもいいぜ」と言い出す。
「それはあなたの自業自得でしょうがっ! 巨象ァ、頭突き双拳!!!」
なんと巨象のままで両拳を象の頭に変態させてのダブルパンチが竜さんの腹を打つ。
轟音とともに竜さんは「ぐっ!」と怯む。
リョーコは「いけるじゃない!!」とガッツポーズ。ナッセは訝しげに行方を見守る。
「……この程度じゃあ……敗北の味をしれないなぁ……」
竜さんは右手を振り下ろして爪撃を繰り出し、巨象を前屈みに打ち「ガフッ!」と吐血させる。
更に竜の足で蹴り飛ばし、巨象は宙へ浮いてドズーンと重量感たっぷりに地面へ伏せる。
なんとかコンドリオンこと巨象は震えながら立ち上がる。
「象がデカくなっただけで、本物のドラゴンに勝てるかよ!」
左右の腕で繰り出す爪撃の嵐が巨象を滅多打ちにする。
なすすべなく巨象は左右に揺らされて、血まみれになって「うっ! ぐっ! がっ!」と呻くだけだ。
ナッセは苦慮する。
「ダメだ……! 完全に勝てねぇっ……!」
「そんな! どうすればいいのよっ!」
竜さんのアッパーが決まり、巨象が宙を舞ってズーンと横たわる。
既に瀕死で震えるしかない。
「これで終わりといくか……」
竜さんは口を大きく開けて、光子を収束させていく。
凄まじい収束で嵐が一点へ凝縮されるかのようだ。それはギギギギと耳障りな音を立てて立方体長方四角形に圧縮されていった。
まるで光の麻雀牌のような形だ。
ソレはただ竜の開けた口の前で浮いているだけで、周囲の大気が震えている。
「ヤバいっ! オレの時空間『空裂転移』でっ……!」
ナッセは杖をかざし空間に亀裂を入れようとすると、ノーヴェンが「ウェイト! これを発動しマース!」と叫んできたので発動を押し止めた。
「これが俺の必殺技だ! 遠慮なく受け取れ! 龍参牌!!!!」
竜さんは口の前で浮いていた圧縮弾を一気に超高速で撃ち出した。
眩い閃光にサンライトセブンは見開くしかない。凄まじい轟音を伴って巨大な爆発球が大地を深々と抉り出して、周囲に衝撃波を吹き散らし木々を消し飛ばし、山をも丸ごと砕くほどの破壊力が炸裂した。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
遠く離れた平地で立方体で包んだサンライトセブンが出現した。
はるか向こうの森で爆発球が膨らんでいるのが見えていて、地鳴りがここにも響いてきた。
それだけで恐ろしい威力なのが伝わってくる。
「ふうっ、まともに食らったら全滅していましたね……」
「転送は成功デース……」
倒れている巨象も含めて、ナッセたちを包む半透明の立方体が薄ら消えていく。
「今のは時空間魔法か!?」
ナッセはノーヴェンへ振り向いた。当人は頷いて、カードを見せた。
それは『キューブチェンジ』の名称に加え、イラストとして二つの箱に二つの矢印が描かれていて、互いを交換しているイメージが起こされる。
「例の時空間ダンジョンでパネルから着想した時空間カードデース」
「だが、ノーヴェン大丈夫か……? 負担は重くないか?」
「ノンノン、これを見てくだサーイ」
カードの下部にバーみたいなのがある。
「時空間のパネル効果をカードに、イワシローが使った時空間転送のキューブ、そしてライフバーを応用してチャージバーを入れましタ。これは予め魔法力を注ぎ込んでチャージしておけば、いつでも誰でも発動させられマース。今は空っぽですから使えまセーン」
「なんと……!」
ノーヴェンの開発力には驚かされる。
確かにこれなら、前もってチャージしておけば時空間魔法が即座に使える。ナッセのように直接魔法力を消耗して発動するのとは違う。
「しかし、どうしようもねぇな……。もう既にオレたちは半死半生だ……」
「つか、万全でも勝てないでしょー。アレ」
元の人型に縮んだコンドリオン、そしてオウガとドラゴリラは重傷。ナッセ、リョーコ、モリッカ、ノーヴェン、フクダリウスはボロボロで満身創痍。
「全く仕方のないヤツだ」
声に振り向けば、呆れ顔の龍人が立っていた。すると踵を返していく。
「ついてこい」
「え……?」
「今回は特別に修行をつけてやろう!」
龍人は半顔で振り向き言い放った。




