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48話「またもや四天王の襲撃!?」

挿絵(By みてみん)


 皇帝陛下が座する謁見の間……。

 薄暗いが、広い空間。赤い絨毯の道が階段へ続き、高台の王座にまで繋がる。

 そして妙な薄いカーテンが皇帝陛下を人影のように映していて、両目が輝いていた。

 護衛するかのように側で黒騎士が静かに佇んでいる。


「ニメア……、またか!?」

「ええ」


 跪いているニメア令嬢。美しい顔にうすら笑み。

 そして後方にはニカ将軍が目をつむったまま腕を組んで黙り込んでいた。


「南の四天王……リュンサン。通称竜さん。ドラゴンの力を持つ男。サンライトセブンといえども敵わぬでございましょう」


 皇帝陛下は目を細めた。




 深き森にも日差しが差し込む翌朝。

 温泉街も明るくなっていき、深い霧が徐々に晴れていく。


「来る……!」


 真剣な顔でナッセは上半身を起こしていた。

 その隣の二つ目の布団から身を起こしてリョーコはムニャムニャ目をこする。浴衣がはだけてて胸の谷間がよりあらわになっている。

 それにも構わずナッセは立ち上がり、サッといつもの魔道士の服に着替えた。


「ち、ちょっとー! そこは『うわわっ!? ちょっ、み……見えてるからっ!』って、あたしに赤面して恥ずかしがるシーンでしょ!?」

「知るかっ! そこで二度寝してろっ!」


 調子を崩さないナッセにリョーコはなぜか不満顔だ。

 結局、普通に起きてサンライトセブンで朝飯済まして、旅館を出た。

 そして晴れきっていない霧の向こうで人影がこちらへ歩んでくるのが視界に入った。


「我こそシュパンシア帝国四天王が一人!! 南の竜さんとは俺の事だ!!」

挿絵(By みてみん)

 なんと、昨日に会った借金男だった!?

 前の時と違い、帝国のマントをはおっていて威圧感みなぎる不敵な面構えで、こちらと対峙する。

 フクダリウスはチラッとナッセへ視線を移す。


「ナッセ、四天王のようだが……?」

「前世では違うヤツだった。南のブライアンMAX(マキシマム)……ってヤツだった。サングラスをかけた長身の男。強敵ではあるが、勝てない相手ではなかった」


「そいつか? 殺しておいた。敗北の味を横取りする為にな……」


 なんと竜さんが不敵に告発してきて、ナッセたちは見開いた。

 どことなく帝国も先回りしているような違和感が拭えない。ナッセは唇を噛む。厄介だ……。


「ならばっ! 熱い心でもって貴様を叩き潰してやるぜっ!!」

「おうよ! ワイは貴様を倒してドラゴンの力を得るんやー!!」


 やはり飛び出した無鉄砲なオウガとドラゴリラ。

 フクダリウスは「待て! うかつに飛び出すなっ!」と呼び止めるが、やはり聞かない。


「ゴリラ・ズームパンチ!!」


 ドラゴリラはゴリラ化して、腕をグーンと伸ばして竜さんのほおを殴った。たまらず「ぶほおっ!」と吹っ飛ぶ竜さん。

 更にオウガが飛びかかってきていて「殺人移動っ!!」と新必殺技をかます。

 周囲に殺殺殺殺殺と無数の文字が流れながら、竜さんを両手によるナイフ連撃で叩きのめしていく。なすすべがない竜さんは「ま、待てっ! おぶっ! ぐほっ! ぶべらっ!」とフルボッコされていた。


 それを見たリョーコは「弱っ……」と肩を落としてゲンナリ。

 ノーヴェンはナッセを見やって気になった。


「ナッセ、警戒を解いてないようデース……。やはり……」

「ああ。ナイフで連撃食らっててアレだしな」

「そういえば! 確かにナイフだったら普通切られるんですよね!」


 モリッカもハッとして気づいた。

 オウガが拳で殴っているならともかく、今はナイフの連撃だ。それでも無傷……。


「いかんッ! 星幽盾(アスラール・シールド)ッ!!」


 殺意を感じてナッセは掌を差し出すと、カッと閃光が溢れた。

 光の破片が飛び散り、同時にオウガとドラゴリラが「ぐわあああああああッ!!」と吹っ飛んで、サンライトセブンを飛び越えて背後の岩山に激突して砂煙を巻き上げた。

 コンドリオンは戸惑いながら「り、竜さん……? それは!?」と目の前の光景を疑う。

 フクダリウスも険しい顔で「むうっ……」と唸る。


「へぇ、勘が鋭いな。ナッセには気をつけろとニメア令嬢が言ってたが……、間違いではないようだな」


 なんと竜さんは前屈みに構えてて、右腕には半透明の竜の腕が覆っていた。表面には鱗みたいなのが連なっている。

 次第に竜さん全身を液体のような膜で覆っていく。

 頭上からツノを象り、尻からは尻尾を象る。


「こ……これは……!?」


 フクダリウスは息を飲む。

 半透明の竜を纏っているかのような風貌。しかも足元から旋風が吹き荒れつつある。

 地響きとともに威圧感が膨らんでいく。


「ドラゴンのオーラ……」

「ええっ! タルパとかじゃないの?」


 リョーコは仰け反る。


「極めてくっきり輪郭が見える……、それほどに濃度が高いオーラ。やはり……」

「そう、これこそが『ドラゴンフォース』よ!」

「「「なっ!!?」」」


 ナッセの言葉に竜さんが繋げて、一同をびっくりさせる。


「もしナッセさんがシールド張ってくれなかったら、肉片になってましたね!」

「間に合ってよかった……」


 モリッカは背後を見やると、オウガとドラゴリラが遠くで横たわっていた。

 震えたまま起き上がれないでいる。

 吐血を繰り返しゲホゲホ苦しんでいた。恐らく骨折し、内臓もやられたか……。

 それだけで済んだのなら御の字だ。ナッセがシールドを張らなければ、原型を留めないほど飛び散っていたのだから……。


「次はキサマらだ……」


 四つん這いに身構えた竜さん。両目は完全に人間のソレではなく、縦スジが走った竜の目だ。そして纏う竜を象るオーラが荒ぶる。まるで小さなドラゴンだ。ニヤリと獲物を見定めて笑む。

 思わずナッセは「ヤバっ! 散れっ!!」と叫んだ。

あとがき


 実はリメイク前はオウガが翌朝に捕まって、竜さんと唐突なカードゲームをやる展開でした。

 作者は麻雀知らんので、ナッセ、竜さん、コンドリオン、ドラゴリラでバトロワカードゲーム対戦なのです。

 流れとしては、龍人もドン引きするワンキルで竜さん負かしてタコ部屋送りにしたが、脱走してリアルファイトでリベンジしてくる、という話。


 でも今回は展開を丸々書き直しました。

 せっかくのドラゴンという恐ろしい強さを描写した方が盛り上がると思っての事です。

 というわけで、新たに変わったストーリーを楽しんでください。

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