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1 前編 櫛歯が折れ、祝言の日を思う


 パキッ――嫌な音がした。


 毛先をまっすぐに切り揃えただけの重長い黒髪を纏めるために左手で髪を抑えて、右手で髪飾りを付けようとしていたが、慌てて両手を正面へと持ってくる。

 瞬間、持ち上げていた髪はすとんと落ちて、胸の上辺りで毛先が揺れた。


「あぁっ……!」


 一番のお気に入りだった。


 髪飾りは櫛飾りだ。

 紅葉の絵柄が施された木製の櫛は、髪を結い上げたあとに髪飾りとして差し込む。櫛歯が二ヵ所折れて曲がってしまっていた。


 そもそも普段の生活で、お洒落に髪を結い上げる機会がとても少ない。触って、お手入れして、眺める時間が大半だった。でもとてもお気に入りで、お気に入りすぎて。

 こうして後はもう寝るだけという夜なのにも関わらず、小さな手鏡を準備して、適当に纏めて持ち上げただけの髪に軽く差し、可愛い櫛だなぁと眺めてにやにやするだけの時間を、今まで何度繰り返していた事か。


 突然のことに呆然としていたら、襖が開く音がして、私は情けない顔で振り返った。


三郎(さぶろう)さん!」


 山野辺夫妻に与えられた長屋の一区画。

 二組の布団を並べただけの、戸口とは反対側の最奥にある夫婦の寝室。


 のっそりと、大工として働いている証である鍛え上げられた大きな身体を少しばかり丸めながら、三郎さんはそうっと静かに後ろ手で襖を閉めた。背も高い彼は、室内の移動はいつも猫背気味になってしまっている。


 寝間着の着物を着崩して、前がはだけていた。かくかくとした坊主頭だが、今は少々髪が伸びてきている。一重の瞼は重く、黒の瞳はとても細い。目尻はちょっとばかり垂れ気味なのにも関わらず、お世辞にも優しい目付きとは言い難い。

 必要最低限しか喋らない口は、今も真一文字に閉じられていた。


 右手で櫛を持ち、左手で櫛を包むように触れて胸の前まで寄せていく。動くことも出来ずに三郎さんを見つめていたら、顔を上げた彼は不思議そうに、様子がおかしい私を見て無言のまま小さく首を傾げた。


 並べられた布団を避けて、畳の上を歩いてまっすぐ私の元へと歩いてくる。

 ぺらぺらの座布団に座る私の横に、三郎さんは胡座(あぐら)をかいて座った。


 彼の目線は櫛に固定されて、ふむ、と何かを考えるように大きな右手で自身の口と顎を覆っている。近づいた三郎さんの顔。睫毛は意外にも長さがあって、小さな灯りに照らされて影が濃くなっている。

 妙に色っぽく見えてしまったのはなぜ。

 夫が大好きすぎる妻の欲目だろうか。


「あの。こ、これ……私……」


 櫛歯の部分が二ヵ所ほど折れてしまって。


 素直に事実を言えば良いだけなのに言葉を詰まらせてしまったのは、その事実があまりにも悲しすぎたからだ。実は言葉にしたら今にも涙が出そうな程落ち込んでいるだなんて、三郎さんは思ってもいないのだろう。


 この櫛は半年程前の秋。

 祝言を上げてまだ数日しか経っていなかった頃、初めて三郎さんから貰った、私にとっては特別な贈り物だったから。




 *


「さぁトミ、今日は忙しいよ。祝言の日だ!」

「祝言? 誰の?」

「あんたに決まってるでしょ」

「へぇー私の……ぇえっ!?」


 町役場で働く父、米農家お手伝いの母。

 有野沢家のお屋敷で通いの下女中をしている私の三人家族、川田家。


 長女である私――川田トミは、三人揃った朝食の場で、母が突然今日は私の祝言の日だと言い放った言葉に大絶叫をあげた。朝っぱらからうるさいわねぇ、と母は顔を顰めるものの、父はぼけーっと寝起き顔のまま味噌汁を啜っている。私はというと、箸でつまんでいたご飯をぽとりとお茶碗の中に落としてしまったまま固まっていた。


「食べたらすぐ支度して出発よ」

「出発? どこに!?」

「どこにって山野辺(やまのべ)さん家のお屋敷に決まってるでしょう」

「山野辺さん……あの山野辺さん?」

「その山野辺さんよ、有名な六人兄弟の」


 やっと母は、私が今日祝言をあげる事はおろか相手すら分かっていない事実に違和感を持ってくれたらしい。

 何言ってんのよ? と首をひねったのはわずかな時間。

 瞬時に鬼の形相を浮かべたかと思うと、呑気に和え物に箸を伸ばした父の頭髪薄く寂しい頭に、しゃもじを握ったままの拳をゴンッと容赦なく落としていた。響いた音がとてつもなく重い。あまりの衝撃に父の手から力が抜けたらしく、からからと箸は食卓に落ちて転がっている。


「痛ぁっ……!?」

「ちょっとあんた! 家長のあんたからトミに説明しておいてって私は言ったわよね!? ちゃんと言ったの!?」

「あぁ……あの日はな、ほら、あれだ。夜に地区の男衆の集まりがあっただろう? それで、」

「大量飲酒して酔っ払って爆睡かまして説明忘れてたわぁーなんて言わないわよねぇー? 大切な一人娘の結婚ですものぉ。忘れるわけないわよねぇー? 忘れてたなんて言ったら本気でぶっ刺すわよ」


 季節は秋。まぁまぁ寒い季節ではあるのだが。

 母の笑顔は真冬のこどく温かみ皆無な冷気を纏っている。ぶっ刺す、はさすがに冗談だとは思うが、なぜか冗談には思えないこの空気の冷たさと重みはなんだろう。しゃもじが包丁に見えなくもない気がする。

 頭を抱えていた父は、一度ごくりとツバを飲み込んだ。


 川田家の絶対は母だ。

 母の尻に敷かれている父は母に絶対服従。逆らえない。


 ごほん、と大袈裟に一つ咳払いして居住まいを正して滅多に見せない家長の姿を見せる父に、私も慌てて箸を置いて背筋を伸ばした。


「あー……トミ。お前の嫁入りが決まった。相手は山野辺三郎殿。山野辺家の三男で二十四歳。大月組合所属の家屋大工だ。分かるか、六人兄弟の中では一番背が高い、あの坊主頭の」

「坊主頭……?」


 名前と年齢、職業。

 山野辺屋敷、つまりは本邸である実家。


 確かに知っている。むしろそれしか知らない。外見の特徴を言われても、さっぱり分からずピンとも来なかった。


 川田家の住む長家のある集落は西地区、山側だが、十五分も歩けば中央地区の端っこの大屋敷通りに出る。

 男ばかりが六人もいる山野辺家は代々職人を輩出している家系で、この辺りでは少しばかり有名だ。かろうじてご近所と言える距離に住んでいる事になるのだろうが、こどもは女一人の私しかおらず、身内に職人もいない小さな川田家と山野辺家では家同士の交流は皆無だった筈。


 しかし父は町役場で働いている。

 大半の職人達はそれぞれの組合に所属している。仕事、契約の関係で役場で働く父が組合関係者の職人と話す機会を持ち、会話の流れで未婚の息子や娘の話になり縁組みが進む可能性も当然あり得ない事ではない。


「三郎殿の所属している大月組合は、独身の大工が結婚したら世帯のための長屋の一区画を貸し出すらしい。祝言をあげたらそこに住む事になるな。つまり今晩からトミの家はその長家になる」

「今晩から!?」

「今日が祝言なんだ。そりゃそうだろう」

「ま、待って! 本当に今日が祝言? 決定済み?」

「決定済みだ。三郎殿は二年前から一人立ちしてるし、稼ぎも良い方だぞ。文句を言ってはならん。川田家ではこれ以上に条件の良い縁組みは二度とまとまらんと思った方が良い」

「山野辺さんに文句がある訳じゃなくて」


 私が文句を言いたいのはお父さんで!


 本当にそう叫んでしまおうかと思ったが、これで話は終わりと言わんばかりに家長の顔をしまい込んだ父はもう一度箸を持つと、気の抜けたいつもの顔で和え物に箸を伸ばしている。


「ちょっと、お父さん!」

「トミ! 我が儘言わない! 三郎さんが不満なの?」

「違うの! 不満も何も、急すぎて頭が追いつかなくて!」

「何を今更ぁ。良いとこのお家のお嬢様でもあるまいし。うちはド庶民よ? 庶民の結婚なんてこんなもんよーねぇあんた?」


 ご飯を咀嚼しながら、うん、と頷く父に、私は一瞬目眩を覚えた。

 そうは言っても数日前には決まっていたのなら教えてよ、そうしたら少しは心の準備とか、家の片付けとか! 色々とやる事は出来たのに!

 胸中の私は頭を抱えてわぁわぁと一人虚しく叫んでいる。


 この時が、川田トミとして川田家で朝食を食べた最後の日になった。



 そこからはあっという間だった。

 食事を食べ終えた途端、近所のおばちゃんや姉さん達、親戚達がわらわらとお祝い片手に川田家に押しかけてきた。されるがままに使い古されすぎたつぎはぎの着物を剥ぎ取られ、いつの間にやら用意されていた花嫁衣装に着替えさせられ、髪を結い上げ、飾りを差し、化粧を施され。

 うわぁ誰この人!? と、見慣れぬ自分の厚化粧姿におっかなびっくりと目を点々とさせていたら、そこから更なる地獄。嫁ぎ先まで歩くという苦行が始まった。


 普段着ならば全く苦ではない道のりが修羅の道と化した。


 涼しい秋の季節で良かった。

 それでも花嫁衣装は信じられない程重く、腹も苦しく。暑くて暑くてたまらない。慣れない履物で歩く事も辛い。汗がしたたって化粧は崩れ、視界もふらふらする。同じ町内の場合は嫁ぎ先まで徒歩で向かう、なんていう伝統は理解していたが、そこは花嫁衣装ではなくて普段着で良いじゃない……! と半ベソをかきそうだった。共に歩く母や父、親戚達、ご近所さん達は悲しくなる程お祭りに参加しているみたいに楽しそうにしている。


 一応は主役である自分が、こんなにも賑やかでおめでたい雰囲気一色の場に水を差す事など出来る訳もなかった。



 山野辺屋敷に到着した時には心身ぼろぼろだったからか、良くも悪くも、「彼が山野辺三郎殿だ」と父から紹介された時はまったく緊張しなかった。



 ああこの人が三郎さんっていうんだ。

 こ、怖いなぁ……大きい……縦にまで高い……あれ? 山野辺さんはなんで職人着のままなんだろう? これから祝言の筈では?


 ぼやーっとした疲労が蓄積している頭で、「川田トミと申します」と覇気のない声で何とか自己紹介し、綺麗にお辞儀する事だけに集中した。

 お辞儀した瞬間、身体に籠もった熱さがパッと広がった。気持ち悪さにぐらりと目眩がして、朝食を吐きそうになって、なんとか堪える。


 早く、早く! もう脱ぎたい、苦しい。

 弱音ばかりが脳内をぐるぐると走り回っていた。



 三郎さんは全然緊張していなかった。

 それどころか、祝言という祝い事に完全に浮かれ盛り上がっている両家の親族達とは違い、あきらかに具合が悪そうな私の異変に唯一きちんと正確に気付いてくれた人こそ三郎さんだった。


「少し、トミさんと二人にして下さい」


 やぁ三郎、積極的だなぁーおい!

 可愛らしい花嫁見て一目惚れしたのか?


 ひゅうひゅう、わいわい、やいのやいの。


 囃し立てる周囲を一切無視した三郎さんの行動は一切迷いが無かった。新郎新婦のために用意されたという静かな控えの間まで優しく手を引いてくれて、押し入れからふかふかな座布団を取り出すと、楽な姿勢に座らせてくれる。

 水を飲み、やっと一息ついて落ち着いた。


 この時になって初めて、私は三郎さんという人だけに意識が向いた。


「落ち着きましたか」


 低い声が冷静な口調で問いかけてくる。

 声に導かれるように私がのろのろと力無く顔を上げると、正面には、胡座をかいて座って上半身を屈ませ、伺うようにこちらを見上げる三郎さんと目が合った。


 控えの間に二人きり。

 家族達の喧騒が少し遠くから聞こえてくる。

 衣装が崩れてしまうのを気にする事なく、座布団の上で両足を斜めにして脱力して座っていた私は、とんでもない状況を招いてしまった事にやっと気がついた。


「た、大変っ! 私! 大変な失礼を!」


 動きづらい事この上ない花嫁衣装の拘束など一切気にならなかった。すぐさま足を正座にして両手を畳の上にバシッと落ち着き皆無な音を鳴らしてついて、深々と頭を下げる。


「か、川田トミと申します! 到着早々なんという粗相を! お手を煩わせてしまい申し訳ありませんでした。ええっと、不束者ではございますが、」

「トミさん」


 両肩を力強く掴まれていた。

 三郎さんだ。あっさり、上半身をまっすぐに正された。三郎さんは私の両肩を掴んだまま、ただジッと私をまっすぐ見つめてくる。


 この人が俺の嫁か、と。確かめるみたいに。


 ……どうしよう!

 醜態を晒してしまった。礼儀がなってない、落ち着きも無い、体力もない、弱っちい間抜けそうな嫁さんが来てしまったな……って! 絶対に思ってる! 間違い無く思ってる!


 私が顔色をみるみる真っ青にさせてしまうと、変化に気付いたらしい三郎さんは肩から手を離して、胡座ではなく正座をした。もう一度正面に姿勢を正して座り直している。

 筋骨隆々な逞しい大きな身体がより一層大きく見えた。私も自然と全身に力が入ってしまった。

 怖い! という恐怖による怯えの意味で。


「山野辺三郎と申します」

「は、はいっ!」

「何も知りませんでした」

「はい! ……はい?」

「自分が今日祝言をあげる事も、その相手が川田トミさんであるいう事もつい先程知りました」

「つい先程というのは」

「両家の家長を交えて初めてご挨拶を交わした時です」

「……本当につい先程ですね……」

「今朝、突然父が工場(こうば)に現れ、今日が祝言だと親戚に伝えていたが肝心の俺と組合に言うのを忘れていたそうです。次兄の祝言かと思ったのですが、俺だったようです」

「…………」

「支度がまったく整っておりません。少々お待たせしてしまう事になりますが、急ぎます。水以外に何か欲しい物はありませんか? お母上か、誰か呼びましょうか。家の者に伝えておきます。用意が出来るまで、トミさんはここで休んでいてください」


 顎の力が全部抜けた。

 ぱかーんと開いたまま塞がらない私の口。ぱちぱちと不思議な感覚で瞬いてしまう瞼。

 急に祝言だと言われ、現れた相手は具合悪そうにふらふらしている小娘で。多分三郎さんはこの状況に私以上に戸惑っているんじゃ……


 立ち上がった三郎さんは風通しをよくするためか、庭に面した方の襖を二ヵ所程開けてくれる。心地よい冷たい秋風が入り込んで、私の頬を滑り撫でていく。

 膝の上に置いてあった両手で、ぎゅうっと強く拳を握った。


「さっ……や、山野辺さん!」


 部屋を出ようと襖に手を伸ばした三郎さんが振り返る。

 何の感情も見えない表情を向けられて一瞬だけ怯んでしまったが、慌ててもう一度両手を畳の上に置いた。

 迷惑をかけてしまった謝罪と介抱してくれたお礼を言って身体を折り曲げようとしたが、いつの間にか畳に片膝をついた三郎さんの右手が私の肩を再度掴む方が早かった。


 ゆるゆると、顔を横に振っている。


「楽にして、くつろいで下さい」

「ありがとうございます、山野辺さん」

「三郎と呼んで下さい」

「三郎さん? よろしいのですか?」

「俺達は夫婦になるのです」

「相手が私で本当に良いんですか?」


 考え無しに反射で尋ねてしまってから、なんという事を! と気付いたが遅かった。今の私の愚かな問いは、三郎さんの耳にはっきりと入ってしまっている。取り消して無かった事になど出来ない。


 大きなお屋敷の通いの下女中にすぎない自分にとって、三郎さんという人はあまりにも条件が良すぎているなぁと思っていた。けれど、会った事もなく情も無かったからこそ、そんな風に呑気に考えてしまっていた。

 しかし、会って会話して、ほんの少しだけ知ってしまった。触れてしまった。三郎さんの親切さと優しさに。

 ほんの少しの時間介抱されてしまっただけで情が生まれてしまう自分はとても単純な人間なのかもしれない。


 三郎さん、優しい。た……多分。


 工場での修行は十二歳からと言われている。

 長年に渡る厳しい見習い、修行期間を終えて『大工』を名乗る事を許され、大月組合への正式所属もしている本物の職人。お給金も良いし信頼もある。しかもこの辺りでは職人として名がある山野辺家の三男。婿に欲しい、と、私よりも良い家の娘さん達からの縁談もあったのではないのだろうか?

 それなのにどうしてかな?

 特別お偉いさんでもない父と、他のお家の農作業を手伝う母を持つ、母の言う通りに真実ド庶民の生まれで下女中の仕事をしている私が相手になっちゃったんだろう?


 疑問に思ってすぐに言葉が出てしまった。

 でも、今の私の発言は駄目だ。

 絶対にしてはいけなかった。


 もうこの結婚は両家の家長によって決められたのだ。今更変えられない事をどうこう言って、乱すような事を言ってはいけなかった。本心はどうあれ、三郎さんの言動はこの結婚を受け入れていたのは間違い無いのだから。



 三郎さんは私ではなく畳を見ていた。

 ただただ静かに。

 怒っても困っても悲しんでもいない様子。しかし内心なんて分からない。本当は(はらわた)が煮えくり返る程に機嫌を損ねてしまっているかもしれない。ごめんなさい失言でした、と即座に謝る事すら出来ない。今の私は、きっと何を言っても失言になってしまう。長い沈黙に限界が来て、いよいよ指先が冷たく感じた時。やっと三郎さんは顔を上げた。凪いでいるみたいに静かな眼差しを向けられる。


「夫婦となる相手がトミさんで良かったと思いました。着替えてきます。すぐに戻るので、ここで待っていて下さい」

「……はい」


 一言返事をして、頷いて。

 余計な事は言わず、おかしな振る舞いはせず。


 ただ静かに見送る事が私の精一杯だった。


「分からないよー……!」


 その言葉が本音なのか、嘘なのか。

 瞳、眉、頬、口元、声。

 あちこち注意しながら聞いていたのにも関わらず、私には三郎さんが一体どんな想いであの言葉を紡いで今日の祝言を迎えようとしているのかが、まったく察する事が出来なかった。



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