二十歳(はたち) 王妃さまになったら世継を作らなければならないぜ!?
「無理!」
いや好きだけどこれ一線を越えるのハードル高くないかなヒッハッフー!?
謎の言動と共にスクワット運動しているわたしに家からついてきてくれたルシアが呆れています。
おなかが目立ちつつあるルシア、いぬのノワールと結婚するそうです。おのれ犬猫コンビめ。先にデキおって。
というか種が違うから人間と子供はできないだろうと思ったら以前貰った鱗とノワールの変身能力がその壁を取っ払った模様で。
「私相手に練習するよりぶっちゃけ男性相手のほうが簡単でしょう?」
「そうなんだけど前世記憶があるから最後の一線は厳しいな!」
身体がすごくキュンキュンするのに魂の芯あたりが「(ヾノ・∀・`)ムリムリ」しています。辛いです。
かといって彼が嫌いなわけでもなくむしろ愛しています。
「今夜こそキメル」
「王妃様。それ、男性の台詞ですから」
最近ご無沙汰のアンジュお母さまがやってきて色々手ほどきを授けてくれました。
なんかブッさすものをくれたのは閉口しましたが。
「意外な扉が開いたと公爵が喜んでいて」
この方、実はドSだったかもしれません。
「アンジュお母様。理解しました。ヤラらるならヤリ返す。これですね(めだまぐるぐる)」
「王妃さまお控えください! 陛下が死んでしまいます! そこは出す部分であり入れるところではありません!」
「ちゃんと軟膏塗って念入りに焦らして準備したら公爵様には入ったわよ」
「アンジュは黙って! 自分の実父の痴態とか想像したくないから!」
その様子をお母さま方は微笑んでスルーしてくれました。
世継を産まなければならないのは個人尊重の前世の世界では完璧なセクハラパワハラですがこっちでは社会維持の手段であります。
だから三人とも出張ってきたのでしょうけど。
「あ」
一緒に来ていたシンジュお母さまが急に呟きました。
女しかこの場にいないので皆の注目が彼女に。
「ものすごく辛い……ほら、この間二人がくれた『暴君カレー』だったかしら」
「ええ。お母さま」
「子供たちも悶絶しながら喜んで食べていたわ。お行儀は良いものじゃなかったけど」
我が乳母にして父の愛人(※厳密には彼女は愛人も名乗れません)であるメイアが苦笑い。弟たちも立派に育っています。
年齢的に近いので王弟殿下ともお友達です。
「アレを食べたあと……公爵様がわたしの部屋にお渡りしてきまして」
「相変わらず仲が宜しいですね」
シンジュお母さまは何かぷくくと微笑まれます。
大きなため息をメイアがしました。
「『新しい事を試したい』というのです。いえ、そんな背徳的な行為は夫婦といえできないと一度は断ったのですが私も若い子に嫉妬したのでしょうかね。結局受け入れてしまいました」
それはそれは教会的に暴虐的な行為です。シンジュお母さまはいくら相手がお父様だとしてもそんな神に逆らうような行為をいままでされたことなど当然ありませんでしたのでここには書けません。前述した伏線から察してください。
そんな余計なことを夫に教えた第二夫人曰く。
「しばらくして私が飛び込むと公爵様が股間を抑えてもがいていまして」
そこにルシアもわざと淡々と告げます。
「辛い! 辛い! 死ぬ! って叫んでいましたわね」
「ちょ」
こまかくはとてもじゃないですが書けませんが辛み成分は毒ですのでそのまま排出されます。
わたしの中で父はうんこと同列にまで落ちたかもしれません。
「やればデキる!」
アンジュお母様がテヘッと笑います。イラっ。
「色々あるけど諸々のことは間違わないことです」
乳母の忠告は聞かなくてはですね。
「そうねえ。……ふぁいとぉ? っていうのかしら。とにかく身もごってからの方が大変よ〜。暗殺とか毒殺とか暗殺とか謎の事故とか。案ずるくらいなら彼に任せるより襲っちゃいなさい」
「……お母様方。もうなんでもいいから適当にします」
翌年。わたしは母になりました。




