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EP2 エレメンツのリレイション=関係性

 それほどにまで私たちに影響を与えるエレメンツの力。そのエレメンツを決めるのは「姓名」。


 苗字は先祖より代々受け継がれてきたもので、変える事の出来ないもの。よって、苗字のエレメンツが最もその人なりを示すものと言われている。

 名前は自らの苗字のエレメンツに合うもの選ぶのがデフォルトであり、親は子供の名前を付ける際、苗字とのリレイションを大切にする。


 リレイション=関係性については後で説明するね。


 まずは基本。名前にある各エレメンツを示す、文字の数。

 名前に同じエレメンツが一つの者を〈シングルネーム〉、二つ持つ者を〈ダブルネーム〉、三つ持つ者は〈トリプルネーム〉、そして四つある者を〈フォアネーム〉と呼ぶ。

 名前にどれだけのネームを持つか、ネームボリュームはとても重要だ。

 パンタグラムスのクイーンになるためには、最低トリプルネームが必要だと言われている。


 エレメンツを表す文字は割と象徴的で、タイプファイヤーはなにも〈火〉が付く文字だけがタイプを表すのではなく、〈日〉〈陽〉、方角を示す〈南〉や色を示す〈赤〉〈朱〉〈紅〉なんかも火性の文字だ。〈熱〉なんかの部首であるレンガも火性だ。


 他のエレメンツも同様、その性質を示す文字は様々あり、それを自由に使い名前を付ける事は、いわば親が子供の未来をどう考えているかの現れともいえる。

 苗字に何のエレメンツも持たない者も稀にいるけれど、そういう者は「自分」を持たないものとして嫌われるから、名前にエレメンツを入れ自己表現とするのが常識だ。


 また私もそうなんだけど、姓名に二種類のエレメンツを持つ者をマルチエレメンツという。


 前述した通り、エレメンツに強弱を与えて性格付けしたい親もかなり多く、むしろシングルエレメンツよりも多数派なのがマルチエレメンツなのだ。

 けれどそれにも限度があって、多くても三種類までのエレメンツしか持たないのが普通。

 それ以上のエレメンツを持つ者は「自分」を見失い、身を滅ぼすとして忌み嫌われる。


 それで、そのリレイション=関係性。ちょっと面倒かもだけれど、聞いてね。


 それは、大まかに言うと三つの関係がある。

 一番基本的なのは、「形成」する関係。

 木が火を生み、火が土を生み、土が金を生み、金が水を生み、水が木を生む、というヤツ。

 これをクリエイトという。

 しかし与えてもらう側は力を得るものの、与えた側は力を弱める。例えば、木は火を生んで火を強めるが、木は火を生じた事で力を弱めてしまう。

 それをオーバーアクト、つまり消耗してしまう、と言う。


 つまり私たち火=タイプファイヤーは、木=タイプツリーといると力を得て心地良く感じるが、タイプツリーは消耗してしまう。

 土=タイプアースは私たちから力を得る事が出来るけれど、私たちは土タイプアースといると消耗してしまう。

 これがクリエイトとオーバーアクト。


 次、いくね。

 パンタグラムスを戦う上で、一番キモとなるのが、デストロイとインソルトだ。


 デストロイは簡単に言えば痛めつけるって事。

 木は養分を吸う事で土を痛めつけ、火は熱で金を溶かし、土は水を濁らし、金は木を伐り倒し、水は火を消し去る。それがデストロイ。

 私たちにとって水=タイプウォーターは天敵だし、金=タイプメタルにとって私たちは大嫌いな相手という事だ。

 痛めつけられる側からは、インソルトと呼ぶ。


 そしてもう一つがサムネス。


 これは同じエレメント同志の事。

 木と木、火と火、お互いに力を強め合う相性の良い関係。弱まる時も同じように弱まってしまうのが難点。

 けれど、一番心が重なり心やすいのは、やっぱりサムネスなんだよね。


 このように、私たちの名前は、このリレイション=関係性を元に名づけられているわけ。

 苗字のエレメンツを強めたい時には、名前にクリエイトのエレメンツを入れ(火なら木)、それを弱めたい時はオーバーアクトのエレメンツ(火なら土)を入れる。苗字のエレメンツをより強固なものにしたい時には、名前にもサムネスのエレメンツを入れ文字を増やす。


 例えば、今、私の目の前にいる幼馴染の火の女王紅炎燐火こうえんりんかは、その名前四つの漢字すべてに火があるフォアネーム。

 他のエレメンツを持たない、文句のつけようもないタイプファイヤーだ。

 火のエレメンツが強い燐は、髪色も瞳も真っ赤、性格も元気で明るく、そして熱く激しい。少し気が短いのが短所ではあるけれど…。


 ちなみに私、日南田陽央子ひなたようこは、日と南と陽の三つの火と、田、央というふたつの土。

 一応トリプルネームだけれど、それを弱める土が二つも入る、土のダブルネームでもある。  

 強い火を弱め、落ち着きのある女の子になってほしいという、親の思いがこもった名前だけれど、そのせいなのか、いつも私はドンくさいとあいつにドヤされている。


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