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黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
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堕天使 11

 2012年11月2日。ルポライターとして活躍していた朝霧睦月は東都編集部に呼び出された。

 呼び出しの理由は特急ブルースカイ号関連のルポの執筆依頼。なぜこのタイミングでこの記事を書かなければならなかったのか。朝霧には心当たりがあった。宇津木死刑囚の持病が悪化しているという情報をマスコミは得ていたからだ。この情報はまだマスコミと警察組織しかしらないオフレコだ。


 いつかこの記事を書くことになると朝霧は考えていたがこんなに早く来るとは思わなかった。朝霧はもちろんこの依頼を受けた。

 それから朝霧の取材は始まった。まずは刑務所を通して宇津木死刑囚への取材のアポイントを取る。その後で事件当時の青空運航会社の関係者に取材する。

 

 取材開始から二週間が経過した11月16日。この日朝霧は事件当時青空運航会社の社長をしていた如月武蔵の取材を行った。

 取材は如月武蔵の自宅で行われた。如月武蔵は朝から飲んでいるらしく彼の体からはアルコールの匂いがした。

「さっそくですが、特急ブルースカイ号爆破事件当時あなたはどのようにして警察と連携したのでしょうか」

「警察。知らないな」

「お言葉ですが、あの日警視庁にあなたが通報したという記録は残されていますよ」

「違う。俺は悪くないんだ。常盤光彦を殺したのは相模長重だ」


 朝霧はまさかの発言に顔色を変えた。如月武蔵はこの話をするつもりはなかった。酔っていたために言わなくてよかった秘密を漏らしてしまったのだろう。現に会話は成立していないくらい如月は酔っているのだから。

 

 その日から朝霧の心に復讐という鬼が住み着いた。それから朝霧はあの日特急内で何が起きたのかを調べ始めた。

 宇津木死刑囚によれば爆発のタイミングが一時間くらい早かったという。

当時特急ブルースカイ号は経営難だった。そこであのような爆破事件を自作自演することで世間への注目を得ようとした。それを常盤光彦は許せなかった。彼一人がこの計画に反対してその結果常盤光彦は殺された。

 あの事件は人為的な事故だった。その全容を知った時、朝霧の心の中に住んでいる復讐の鬼は誰にも止めることができないほどに凶悪な物になっていた。

 水面下で進行していた自作自演の人為的事故に関わっていたとされる4人に復讐する。

 この思いが強くなったのは12月1日のことだった。その日の深夜1時彼は地獄の商人シノに出会った。


 12月8日。朝霧は地獄の商人シノからチェーンソーと爆弾を受け取った。この復讐の鬼を鎮めるためには猟奇殺人しかないと朝霧は思った。そしてあの日爆死していった被害者たちと同じように爆死させるために殺害後遺体を爆弾で破壊することに決めた。

復讐計画の全容が決まった頃から朝霧は完全犯罪のために殺害場所と盗難車の準備を開始した。

 こうして朝霧睦月は猟奇殺人鬼となった。


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