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黙示録  作者: 山本正純
第四章 12月28日
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制圧

 午前10時。大野たちはラジエルと呼ばれる女の病室に面会に行った。

 退院も近いということで彼女は一般病棟に移されていた。ラジエルは窓の外を眺めている。

 そんな彼女に月影は声を掛けた。

「すみません。退院後のことについてお話しませんか」

 ラジエルは背後を振り返った。そして大野の顔を見つけると、彼女は笑顔になった。

「ご無沙汰しています。大野さん」


 大野はラジエルの言葉を聞き疑問を感じた。ラジエルと呼ばれる女は記憶喪失のはずだった。だが彼女は大野の名前を知っている。

 それは明らかにおかしいと大野は感じた。

「なぜ僕の名前を知っているのでしょうか」

「心の中にあなたの名前があったからだよ。あなたが私を救ってくれたことだけは覚えているから」


 大野は彼女の話を聞き納得した。疑問が解消された所で月影は退院後の話を進める。

「記憶が戻るまであなたには西村桜子と名乗ってもらいます。そしてあなたは大野達郎と一緒に同居してもらいます。同居してもらう理由はあなたの命を狙ってくる犯罪者からあなたを守るためです」


 月影の話を聞き西村は安心した。

「よかった。これで安心して生活できる。守ってくれるよね。闇が襲ってきても」


 大野は縦に頷いた。こうしてラジエル改め西村桜子との同居生活が正式に決定した。

 

 その頃東京都警察病院の駐車場に黒いワンボックスカーが停まった。車内にいる6人の武装した男たちは車から降りる。

「じゃあな」


 車内にいた男たちは運転手を残し東京都警察病院内に殴りこむ。

「すみません」

 男たちの前に一人の警察官が現れた。彼は武装した男たちを不審に思ったため職務質問をしようと思った。

 だが武装した男たちのリーダーは警察官に銃口を向け発砲する。銃声が警察病院中に鳴り響く。警察官は胸を撃たれ倒れこんだ。

「ここは病院だから手当くらいすぐに受けられるだろう」

 リーダーは捨て台詞を残し病院内に乗り込もうとする。


 わずか数秒の出来事だった。警察官を襲ったテロリストたちは一斉に意識を失った。ただ一人リーダーを残して。

 リーダーはおかしいと思った。拳銃対策の防弾ベスト。催眠ガス対策のガスマスク。この武装は完璧のはずだった。わずか一瞬で数名の仲間が気絶するはずがない。


 何が起きたのか理解できないリーダーの前に黒いローブ姿の女が現れた。

「お前がやったのか。俺の仲間に何をした」

 女はリーダーの言葉を鼻で笑う。

「知らないの?プロレベルの武装をしているから、ご存じかと思ったけどね」

 リーダーは怒り女に銃口を向ける。

「質問に答えろ。誰かは知らないが、答えなかったらお前を殺す」

「口で説明するのも面倒くさいから、このまま撃ってよ」

「分かった。死にたいようだな」


 リーダーは拳銃の引き金を引く。間もなくして銃弾が発射され、女の心臓を射抜こうとする。その瞬間女は手にしていた大鎌を一振り。カマイタチが生まれ、銃弾は一瞬で一刀両断。カマイタチの威力は留まらず、リーダーの防弾ベストを引き裂いた。リーダーはうつ伏せに倒れた。

「馬鹿な。この防弾ベストは特注品で、国宝級の日本刀でさえも切断できないはずなのに」

「でもよかったよね。その特注品防弾ベスト着てなかったら今頃あなたたちは死んでいたから。ここは病院。すぐに搬送できるから命は助かるのではないですか」


 女の捨て台詞を聞きながらリーダーは意識を失った。これはわずか30秒の出来事だった。


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