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黙示録  作者: 山本正純
第三章 12月27日
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4日遅れのクリスマスプレゼントと5日早いお年玉

 その頃北条は警視庁捜査一課三係にやってきた。

「2ではありません。3でした」

 藪から棒。合田たちは何のことなのかが理解できない。

「何のことだ」

「捜査会議で報告したでしょう。常盤ハヅキと如月武蔵が殺害されたことを水無信彦さんに伝えた水口巧と名乗る警察官の電話番号。本日通信指令室が記録した犯人と思われる人物の電話番号。この二つが一致したというのが捜査会議での報告でした。しかしもう一つの電話番号も一致したのです」

「そのもう一つの電話番号というのは何なのだよ」

「7年前の特急ブルースカイ号爆破事件。あの時の脅迫電話の番号です。この飛ばしの携帯は8年前に発売された物。当時あの電話番号は非通知になっていましたが、科学が発展したご時世。非通知の電話番号が何番なのかを特定することも容易です」

「つまり犯人は7年前の事件の共犯者の可能性が浮上したということか」

「だとしたらなぜ犯人はその飛ばしの携帯電話を使ったんだ。犯人は7年間も自分が爆破事件の共犯者であることを証明する物的証拠を握って生活していたということだよな」

 

 神津の疑問に合田たちは頷いた。態々7年前の爆破事件で使用した飛ばしの携帯電話で7年後警察に脅迫電話を掛けるなんて、正気の沙汰ではない。共犯者の真意が分からない。


 その頃東京国際空港にイタリアミラノ発東京着の飛行機が着陸した。東京国際空港第一駐車場では江角千穂と東條清太郎が待っている。

「あのメールは送りましたよね」

「サマエルに送ったメールやろ。この駐車場で待っとることは知らせたで。それにこの車のナンバープレートをサマエルはんは知ってとるから、すぐに見つけると思うねん」

「それもそうですね」


 着陸から一時間後東京国際空港第一駐車場に一人の男が現れた。その男の名前は板利明。表の顔はイタリアンレストランディーノの店長兼シェフ。退屈な天使たちのメンバーでハッキングを担当している。コードネームはサマエル。

 板利明はキャリーバッグを転がしながら、駐車場で車を探している。空港の駐車場はかなり広い。ここから一台の車を探すのは骨だろう。

 そんな彼の目にある車のナンバープレートが映った。広い駐車場での捜索はわずか3分で終了した。


 板利明は目の前にある車に乗り込む。車の運転席には江角千穂。助手席には東條清太郎。

 板利明は荷物を車に積むと、後部座席に座った。車はすぐさま発進する。

「ウリエルはどこだ。ウリエルも車内にいると思ったが」

「ウリエルさんなら忘年会の準備をしています」

「ところで、4日遅れのクリスマスプレゼントと5日早いお年玉。どっちが欲しい」


 ハニエルとサラフィエルはサマエルの呟きを聞き、首を傾げた。

「何のことや。サマエルはん」

 サマエルはポケットから3枚の手紙を取り出す。

「ラグエルに聞いてくれ。4日遅れのクリスマスプレゼントも5日早いお年玉も中身は同じこの手紙だ」

「それなら5日早いお年玉ですね。そっちの方が得をした気分になります」

「それはそうやけど、お年玉は金やで。プレゼントより金の方が大事なんか。やから俺は4日遅れのクリスマスプレゼントと呼ぶわ」

「そうか。意見が割れたか。それならウリエルにも聞いてみるか。この手紙の宛名はウリエル、ハニエル、サラフィエルの3通。多数決をして多かった方の呼び方を選択しよう」


 

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