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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第3部 魔砲少女ミハル エピソード8 第2章 Phoenix Field <不死鳥の戦場>終焉を求める君への挽歌 
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チャプター5 よみがえる絆 <黄泉から再起する女神は望みを諦めない>Act15

再び起つと決めた早春の女神<誇美>

同じく、もう一度現世に立たんと願う<美晴>

幼き日の絆は断たれてはいなかった。

そして二人は愛を謳う者として立ち上がらんとする・・・

「美晴はオルクス兄上様・・・いいえ。

 しき兄様にいさまとの愛の結晶を授かりたいと言ってたけど。

 それを実現させ得る方策があると思う?」


互いの願いを叶える為に、何が必要なのか。

女神の神能ちからを貸すにしても、方法が解らなければ手を出しかねる。

問われた王妃美晴は、少し考えを纏めようと口を噤んだが。


「ねぇコハルちゃん。

 あなたが産まれたのって、現実世界だった筈だよね?」

「え?うん、多分だけど。それが?」


妃が何を謂わんとしているのかが理解出来ずに曖昧に応えると。


「現実世界で人として過ごされていた、お義父とう様とお義母かあ様。

 人に生まれ変わっていたとしても、元は大魔王ルシファーと大天使ミハエル。

 識君をお産みになったのを天界の神々が赦す訳がなく。

 二番目の子をお産みになられたら召還されると気付かれていた」

「ええ。天界で両親から聞かされたわ」


産まれの謂れを妃から聞かされて驚くのと同時に、それが子を授かる方法と関係があるのかを考えて。


「って?!まさか美晴?

 冥界から妃が抜け出すなんて考えているんじゃ?」


行き着いた答えに誇美自身が動揺する。


「駄目なのは判っているよ。

 それにアタシ独りだけが脱界したって意味が無いからね」

「それはそうでしょ。子を授かるには相手が必要なのは節理だもん」


冥界から抜け出せても、肝心の相手が居なければ子を授かる筈もないことぐらい誇美にだって解る。


「考えてもみなさいよ。

 受胎するのなら兄上様が一緒に脱界しなければいけないのよ。

 王と妃が居なくなれば、冥界を誰が統治するのよ?」


統治者であり冥界の主でもあるオルクス王が居なくなったら、黄泉の国は荒廃してしまうだろうことぐらい誇美で無くとも予想できる。


「確かにそうだよね。

 王と妃が居なくなったら、冥界は滅びてしまうかも知れないね」

「でしょう?だったらもっと他の方法を・・・」


殆ど現実味が無いと思えたから、違う方策を練る様に勧めたつもりだった。

だが、妃は女神の誇美を見据えると言うのだ。


「贖罪の間に居た時から考えていたの。

 どうすれば願いを遂げれるのかって。

 卑怯に想うかもしれないけど、それ以外に思い付けないのよ」

「だからって、王と妃が逃避行するなんて」


なんとか思い留まらせようとする誇美に、妃が溢した。


「それなら。

 アタシ達が王と妃ではなくなれば・・・良いのかな」


王と妃と云う絶対的な存在ではなくなったのなら、脱界も不可能ではなくなるのではないかと問うのだ。


「でも。

 創造主たる兄上様が、王位を譲る相手が居るのかしら。

 身勝手に譲位しても、臣下の者達が認めないと禍根を残すだけよ」


しかし、絶対神のオルクス王に代わる存在が居るのかと危ぶむ誇美。


「況してや兄上様は神に昇華されたんでしょ?

 今の冥界には、神たる存在は居ない筈・・・」


そう言葉にした時、妃の視線が注がれているのに気が付いた。


「居ない筈・・・だったけど。

 まさか、美晴は・・・私を?」


何を求められているのかにも。


「冗談でしょ?私に王に成れと?」


やっと、二人だけで会談を求められた本当の理由を知らされたように感じて。


「いくら美晴の願いを成就させる為だからって。

 冥界の王になんて成れっこないから・・・」


無碍に断れないと解っていても、阿吽で承認は出来ない、出来る訳が無い。


「いくら私が女神だと言っても。

 転移してから僅か、ひと月も経たない国で。

 王として信任されよう筈も無いから」


一言で断るのは、あまりにも短慮。

だからと言って曖昧にしておくのは、妃と冥界に対して無礼だと思えて。


「もっと冥界に親しい適任者が居るんじゃないの?

 もし神能ちからが必要というのだったら。

 傍に控えてサポートするから・・・」


なんとか思い留まる様に言い包めようとするのだったが。


「そう?!

 丁度良かったじゃない。

 それなら早速準備に取り掛からなくっちゃ!」

「待て待てまてぇっ!

 どうして話しを進めようとするのよぉっ!」


妃は手を打って喜び、即位の準備に取り掛かると言う。

慌てた誇美が止めるのも聞く耳を持たずに。


「だって!

 コハルちゃんも今言ったでしょ。

 傍に控えて添い遂げるって」

「誰がそんなことを言った?!添い遂げる?は?」


言い包められたのは完全に女神の誇美だった。


「何もコハルちゃんに王位に就けなんて言わないから。

 好いた人の傍に居てくれたら良いだけだから・・・ね」

「ね?!じゃぁ~ないっ!」


慌てて言い募ろうにも、王妃は決まったかのように取り仕切る。


「それに・・・ね、コハルちゃん。

 譲位されるのは王の位だけじゃないから。

 識君の神能ちからも、神たる所以も明け渡されるんだよ」

「え?!それじゃぁ、エイプラハムも昇華出来るの?」


使徒が神へと昇華されると聞かされ、誇美は心を揺さぶられる。

これまでは主従関係にも近しい間柄が、二人の仲を阻んでもいた。

それが取り外されると聞いて、拒んでいた心が緩んでいくのを感じ。


「私と同格に・・・」


壁が払われたのなら、打ち明けられると思い。


「爺が王に成れるのなら。私も一緒に・・・」


冥界に居ても善いと思えるようになって。


「このことをエイプラハムに話してあるの?」


妃に事態の進捗具合を訊ねてみると。


「多分。

 今、あのテラスで。

 譲位を告げられている筈だよ」


王と宰相、それとエイプラハムが居残ったテラスで。

ここで勧められた譲位についてが話されているだろうと妃が告げる。


「いいえ。

 オルクス陛下は間違いなく命じているでしょう。

 次なる王が誰なのかを。

 そして王の傍に控えるのが誰が相応しいのかも」

「兄上様が・・・爺に」


神と成って王位を譲られる。

しかも傍に居るのが女神だと言われたら、どう感じることだろう。


「私のことだと、直ぐに思いつくかしら」

「間違いなく、一瞬で悟るでしょうね」


心が揺さぶられると共に、顔が火照って行くのを感じる。

それは心の奥で燈されていたひかり

その光がゆっくりと大きくなっていくのと同時に、未来への希望が膨らんでいく。


「エイプラハムはどう言うかしら?」


期待と心配が絡み合い、心の声が漏れてしまう。


「決まってる。コハルちゃんを貰い受けるって言ったでしょうねぇ」

「ちょっ!断言しないでよ、もう!」


揶揄われていると解っていても照れてしまう。

少女の様に、顔を赤く染めたまま。


「だから・・・女神ペルセポネー姫。

 あなたの願いが成就された後に。

 アタシの願いも聞き遂げて貰いたいの」

「私の・・・願い?」


揶揄っていた妃が、態度を一変させると。


「光の御子を取り戻すって。

 それを成し遂げたら・・・王妃に納まって欲しい」

「そう・・・よね。

 穢れた世界から取り戻すって決めていたから」


誇美の宿命が果たされるのを願ってくれる。


「どんな形でも、取り戻せると信じているから」

「次こそ。誓ってあのを取り戻してみせるわ」


取り戻すと決めた時から。ずっと諦めていなかったから。


「それならば。

 次こそアタシ達が結束して闘うの。

 幼馴染として。盟友として・・・昔の様に」


手を取った妃が、誇美の顔を見詰めて誓う。


「冥界の王妃として。

 女神ペルセポネーと共闘すると誓います」


だから次こそが最期になると。


「ありがとう美晴。

 二人で闘える事に感謝するわ」


二人でならば、今度こそ勝つと信じられる。

冥界から飛び出て救いの手を差し出す。

それは宛ら死神さえも遠退ける鳥を連想させて。


不死鳥フェニックスのように羽ばたくから!」


二人の願いが羽ばたき、希望の未来へと飛ぶかのように。

光に満ちた未来きぼうが共に在らんと。


現実世界では瀕死の身体をマリアに託していた。

幼馴染を救おうと奔走する彼女に活路はあるのだろうか?

今、彼女が頼ろうとするのは?


次回 チャプター6 その背に守るのは<闇に呑まれし光>Act1

決死の想いで辿り着いた先に待っているのは?

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