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絆の行方 Kizuna Destination <魔砲少女ミハル最終譚>  作者: さば・ノーブ
第3部 魔砲少女ミハル エピソード8 第2章 Phoenix Field <不死鳥の戦場>終焉を求める君への挽歌 
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チャプター4 災危のマリオネット<悪堕ち少女人形は闇夜に踊る>Act13

決戦は最終局面へ。

女神を呪う戦闘人形が繰り出すのは、必死必殺の大技。

防ぎきるには同等の極大波動を撃つしかない。

果たして女神コハルは勝つことが出来るのか?!

戦いの中、窮地を救えるのは・・・光のみ!

人間ひとの心に巣食う闇。

それは他人に対する妬みや、物に執着する欲。

更には叶わぬ愛も、時として闇へと変わる。


どんなに清廉潔白な者だとしても、生きている限りは欲を持っている。

朝に眠りから覚めれば食を欲し、陽が落ちたのなら安息を求めて睡眠を採る。

仮に欲が闇を産むというのであれば。

人は生きている限り、欲という闇を捨てきれない。


・・・そう。

人は常に、光と闇の二つを併せ持つ生き物なのだ。



 ギュンッ!ギュゥンッ!


赤黒い闇の魔力が唸りを挙げる。

周りから集められた人に巣食う闇の異能ちからが、神滅を謳う剣先で束ねられて。


「あはははっっ!

 この弾は人類が穢れた者である証なの。

 人から集めた闇で滅ぶのよ、女神!」


魔剣を掲げ挙げて嗤う。

人類から集めた闇で、光を纏う女神を斃すのだと。


「これで・・・終焉フィナーレよ!」


邪悪に染まる戦闘人形バトルドールが吠えた。

振り被っていた魔剣デモンゾディアを振り下ろしながら。


 ドッ!


極大魔砲斬波が剣先から放たれる。

神をも斬れる程の邪悪なる波動と成って。


「させないっ!」


受けて立つ女神も吠える。

天界で最後の剣とも称された煌神剣マルクトメタトロンを以って。


「こっちも神力最大フルパワーこたえてメタトロン!」


蒼きオーラを噴出する神の剣を突き出した誇美が。


ギガ衝撃ソニック爆裂波バーストっ!」


闇の波動へと、瞬時に迎撃魔砲を放った。


 ドギュンッ!


双方が放った波動が瞬時に衝突する。

光と闇が互いに喰い破ろうと鬩ぎ合う。


 ギュォオオオオッ!


凶悪な赤黒い闇の波動が圧し潰して光を呑み込もうとするが。


 キュゥオオオォッ!


聖なる光に満ちた蒼い烈波が、闇を押し留めようと喰らい付く。


 バチバチバチッ!


両者が全力を以って放った波動が火花を散らし。

互いの意地を賭けた魔力弾の中心核が、遂にぶつかり合った。


「くぅっ?!」


応戦した誇美の瞳に、光の弾と闇の波動が同時に砕ける様が映る。


 ドッ!グワァアアアアアーッ!!


爆裂した波動と魔力弾。

猛烈な閃光が視界を奪う。強烈な爆裂音が聴覚も翻弄した。


「どうにか・・・堪えられた・・・」


神力の殆どを消耗してまで放った魔力弾に拠り、戦闘人形バトルドールが撃ち込んで来た波動を相打ちにして防げた。

最大にして最期の魔砲攻撃を凌げた・・・


そう。

誇美は邪悪なる闇の波動攻撃を防ぎきった・・・のだ・・・が?!


 ギュゥインッ!


閃光が消え、爆裂した魔力弾に因り発生した蒸気の幕を破って。


「はっ?!」


閃光を受けて視力が奪われた隙を突いて・・・


「貰ったわよ!コハルっ」


紅く光る剣が突き破ってくる。

神滅の剣デモンゾディアを振りかざした戦闘人形バトルドールが狂気に満ちた貌で吠えた。


「あ?!」


神力を消耗し過ぎた誇美には、切っ先を避けるだけの余力など残されてはいなかった。

極大魔砲斬波を防ぐのが精一杯だった女神には、剣戟で応えられるだけの余裕は無かったのだ。


「これでぇっ!終わりよぉっ!!」


神をも斬れる剣を振り被った戦闘人形バトルドールが勝利を確信して。

未だに戦女神ヴァルキュリアモードを維持している誇美を観た・・・時だった。


「な?!なに?」


その紅い瞳に白く光る何かを捉えたのは。

女神を護るかのように現れた、光の中に人の姿を捉えて。


「邪魔よ!退いて・・・退きなさいよ!!」


停まらぬ剣先が、光を伴う人の姿へと吸い込まれた・・・



魔界のゲートを抜け、あるじの許へと還る。

手土産は大魔王が助太刀を確約したということ。

転移の秘術は下げ渡されなかったものの、現世への干渉を承認してくれた・・・それも後僅かで成就するのだと。

現大魔王である<シキ>と、魔王妃の<ミハル>が挙って助けると告げたのだから。


「これで姫様の念願も果たされる筈だ」


髭のエイプラハムは急いていた。

この吉報を誇美へと届けるのを誇らしく思ったからもあり。


「一刻も早く。

 真実をペルセポネー様へとお知らせしなければ」


数刻も経てば、兄妹きょうだいとして邂逅するのが叶うと知るから。

そして最も帰還を急がねばならない訳があった。


「儂が還るまでは再戦を望んではいないと仰ったが。

 我が姫コハル様は挑まれたのなら拒まないだろう。

 如何に不利な状態であろうが、闘いから逃げられたりはしない」


いつ現れるのか分からない邪悪に染められたむすめを考え、穢れた世界の王がどのような手段で襲い掛かるかを図り、その時が何時なのかをも計り。


「お独りにはしておけぬ。急がねばなるまい」


迫る危機を感じ取り、馳せ戻った・・・猛烈な光を浴びる只中へと。



爆光で視界が遮られた隙を突かれた。

ほんの些細な気の緩みが、災禍を呼び込んでしまう。


「あ?!」


対処が遅れた。


「し・・・まっ・・・た」


霞を突き破って斬り込んで来た戦闘人形バトルドールの切っ先が迫る。

もう、剣で応えようにも煌神剣メタトロンを維持できないまで神力を消耗していた。

いくら戦女神だとは言え、神滅の剣デモンゾディアを素手で受け止めるのは不可能だ。


「・・・美晴」


突き込んで来る切っ先からは、最早逃れる術はない・・・


「コ・・・様・・・我が・・・姫を討たせるものか」


どこかから自分を呼んだ声が聞こえた。

逃れる術は無いかと思えたのだが。


「姫様を御守りするのが我が使命なり!」


光が・・・最期の瞬間に奇跡を起こした。


 ドシュッ!


女神の前に現れた者が、デモンゾディアを受けた。

女神の使徒たる者が、主を滅ぼさんとした神滅の剣を阻んだ。


そう・・・阻んだのだ。



戦闘人形バトルドールと自分との間に姿を現わした。


「じ・・・爺?」


人の姿を執って。

主たる女神に危機が迫る時にだけ、在るべき姿を取り戻せる使徒だったから。


「爺や・・・エイプラハム?」


突然に現世へと現れた髭の臣、エイプラハム卿。


「爺っ?!爺やぁっ?!」


人の姿と成り、誇美の前で戦闘人形バトルドールの剣を?


誇美の瞳に映るエイプラハムの背。

大きく両手を開き、戦闘人形バトルドールを押し留めるかのように立ち塞がっている。


「姫・・・様。どうにか間に合いましたな」


背中越しに爺が応える。


「じ、爺ッ?」


突然のことに、女神も言葉を失う。

禍々しき剣を、髭の老臣が身体を張って受け止めたのを知ってしまい。


「どうして?!なぜ?!爺やがッ?!」


手を伸ばせば届く距離なのに、どうしても手が出せない。

縋りつこうと思えば、跳びつけば抱き締められるのに・・・身体が動かない。


「儂はペルセポネー様を御守りすると約束した。

 如何なる者であろうと、反故になどさせぬ」


誇美を想う志が伝わってくる。

それなのに、どうしようもない絶望感が押し寄せる。


「爺っ!もう良い。もう辞めて!」


どうしようもない焦燥感に、悲痛なまでの声が漏れて。


「お願いッ!剣を退いて」


戦闘人形バトルドールに懇願してしまった。

だが、しかし。それは叶わぬ声となる。


 ズシュッ・・・


「退きなさいと・・・言ったのよ」


低く冷たい声が爺の向こう側から聞こえた。


「邪魔なの・・・消えてしまえ」


まるで死を振り撒く死神の様な声が。


 ガスッ・・・


「女神を守る?約束だって?笑わせる」


エイプラハムに剣を突き込んだ戦闘人形バトルドールが言った。

誇美を守らんとする使徒を邪魔だと。

その決死の行為を嘲笑いながら。


「どうせ女神も滅ぶのよ。

 邪魔をするのなら、先に使徒も滅ぶが良いわ・・・」


貫いた剣に力を籠める。


 ズバッ!


切っ先が爺の背から現れる。

血塗られた剣が、女神の瞳に映った。


「あッ・・・ああ」


恐怖・・・それは観てはならないモノを見せられた恐怖だった。

信じられない光景を目の当たりにしてしまった恐慌状態。

正に今、女神ペルセポネーは心を張り裂かれてしまったかのように取り乱した。


「い、嫌っ?!いやぁあああああああ~っ!」


自分の叫びで我を取り戻す。


「爺っ?!爺っ?爺ぃっ?!」


必死の呼びかけ。

それに応えてくれない人へと・・・跳びつこうとした。


「次は・・・女神の番よ」


 ズシュッ!


戦闘人形バトルドールの無慈悲な声が聞こえ、背中まで貫いていた剣が抜き放たれる。


「姫・・・様」


神滅の剣デモンゾディアが抜け、堪えていた身体が支えを失った。

崩れる様に倒れ込むエイプラハムを、誇美は抱き留めて。


「爺っ?しっかりするのよ」


月並みな言葉しか浮かんでこず、


「勝手に滅んだりしたら、許さないんだから」


湧き上がる涙を拭こうともしないでエイプラハムを抱くのだった。


「姫様・・・爺めは・・・果報者です。

 最期に愛しき孫とも云える女神に抱き締めて貰えようとは」

「ば、馬鹿っ!最期だなんて言わないでよ!」


死を予感した者が見せる顏を前に、女神は必死に呼び留めようとする。


「爺やは私を護ってくれた。約束を守ってくれたのよ。

 ありがとう私の爺や・・・エイプラハム」


ぎゅっと、力を失っていく爺を抱き寄せ。


「滅んでは駄目。私を独りにしないで・・・お願い」


瞼を閉じていく老臣に頼む。

抱き寄せられたエイプラハムの頬に、誇美の涙が零れ落ちる。


「泣き為されるな姫様。

 女神なれば、願いが成就する時まで泣かれまするな」

「う・・・うう、爺」


泣くなと言われれば、尚更に涙が溢れて。


「今生では見られませんでしたが。

 黄泉でならば、叶うと思いますれば。

 ペルセポネー様と、兄上様との邂逅が・・・」

「・・・私が誰と?私に兄上様が居ると?」


死に際に明かされた事実。

突如明かされた秘密に、誇美は・・・


「私のお兄様は。

 とうの昔に消えてしまわれたのではないの?

 幼き日に行方知れずになったまま・・・ではなかったの?」


父母から訊き齧った兄の消息を言ったのだが。


「我が姫コハル様。

 御兄上様は未だに健在で在られます。

 慕うのであれば、お逢いになられる事です」


苦し気を見せず、爺が応える。


「必ずや。

 お力になってくださることでしょう」


最期に、教えることが出来たと・・・安堵の顔になって。


「爺や・・・」


髭の爺やを、愛おしそうに抱いた誇美。


「教えてくれてありがとう。

 魔界から還って来てくれて・・・嬉しかった」


消え逝く使徒を感じて。

儚く喪う友に礼を告げて・・・


「きっと・・・また。逢えるよね」


再会を誓うのだった。


「我が姫の・・・願いなれば」


消え逝くエイプラハムも。


 シュゥウウウウ・・・・・・


光が消え。

女神の使徒たる爺やの姿も消えて。


残ったのは誇美が抱く狒狒の縫いぐるみ。

腹を切り裂かれた縫いぐるみだけ・・・


「爺・・・」


一頻り縫いぐるみを抱き、祖父とも呼べる程の漢を想い。


「ありがとう・・・約束よ」


今、何を為すべきかを悟った。


「あなたを斬った・・・悪魔を斃すから」


失われた筈の神力が・・・


 ズバァッ!


右手に集められて・・・


 ギュルルッ!


強力な破壊波動へと変わる。


「あの魔女を・・・斃してやるから」


戦闘人形バトルドールを蒼き瞳で睨みつけて。

怒りに身を焦がす女神ペルセポネーが。

月夜に舞う、悪魔の如き戦闘人形バトルドールへと怒りを顕わにして・・・

女神の窮地を救ったのは、幼き時から傍で傅いてきた爺だった。

最後の瞬間、人の姿を取り戻したエイプラハムだったのだ。

彼の犠牲によって救われた誇美コハルは、悲しみと怒りに満ちてしまう。

悪魔と化した戦闘人形を仇として討つと。

残り僅かな神力を使いきろうとも赦せなかったのだ。

そして。

許せなかったのは独り誇美だけではなかった?!


次回 チャプター4 災危のマリオネット<悪堕ち少女人形は闇夜に踊る>Act14

狙いは外さない!窮地を救ったのは使徒だけではない?!彼女は見逃す訳が無い!


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