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『日本の鳥の巣図鑑全259』――とぶものたちの本




『日本の鳥の巣図鑑全259』


 鈴木まもる/著 

 偕成社/発行 (2011.5出版)




◇ ◇ ◇ 





 先日、実家へ行ったのですが、その帰りしな、母が台所で何やらゴソゴソしているので、あら家庭菜園で取れた野菜でもくれる気かしら、いいのにお土産なんて、などと呑気に考えておりました。しかし母は何やら探している様子。


「どうしたの」と、声をかけると「アゲハチョウの幼虫がいないのよ」と言い出しました。


 アゲハチョウの幼虫!?


「そう。飼ってるんだけど……」


 飼ってるんだ!? だ、脱走!?


 慌てて捜しまして、葉の裏でもそもそしているのを無事発見。母が大切に蓋付きのトマトのパックに戻しておりました。

 いや、何してんの、お母さん。夏休みの自由研究かよ。

 虫かごくらい用意しようよ。


「ただのアゲハチョウじゃないのよ。アオスジアゲハなの」

「あおすじ……?」

「そう。羽に青い筋が入っててね、綺麗なの」


 そういえば、この時期、よく母が庭に来るアオスジアゲハについて言及していたことをなんとなく思い出します。どうやら、近くでじっくり見たくて、幼虫から育てることを思いついたようです。

 子どもの頃、姉も私も夏休みには庭の金柑の木に来るアゲハチョウを自由研究の課題にしました。卵から幼虫を育て、羽化させる観察記録です。別に蝶々が特別好きだったわけではありません。課題選びに苦心する私たちに母が勧めたのです。宿題が終わればなんでもいい私たちは当然観察しました。全行程は二週間程度、絶妙にちょうど良い課題です。やった感はあり、見栄えもまあまあ良い。子どもながらに好きでもないものを観察している私ってなんだろう、とは思いましたが。

 ……でもそうか、お母さん、アゲハチョウが好きだったからか。今更ながら納得しました。

 

 確かに今、世間様は夏休みではあるけれども、うちの実家には宿題をこなすべき子どもはいません。ただ、母の興味のままに連れて来られ、実家の台所でニッキの葉をかじる幼虫。よくよく見れば、カレンダーには「幼虫・8mm」とか書き込んであるし。観察記録かよ。


 しかし不思議と、もそもそ動き、ぷりぷり糞をする黒い小さな角を持つ青緑色の生き物はじっと眺めていると和みます。いいなあ、家に生き物いるの。


 無事に羽化することを祈ります。



 さて。前置きが長いですね。

 蝶々の何か変わった本を! とか思ったのですが、思いつきませんでしたので、諦めて「とぶ」つながりで鳥の本をご紹介します。


 鳥、と言っても鳥本体ではなく、鳥の巣の図鑑です。

 この本を手に取ったのは前職の、職場の庭の木に取り残された主不在の鳥の巣を見つけたことがきっかけでした。

 昼休み、よく庭でお弁当を食べていたのですが、通るたびに目に入るそれが気になったのです。


 ――実は、鳥が巣にいるのは子育ての時期だけなのだと、この本を読んで初めて気づいたのです。あれ、確かに燕も雀も子育て終わると巣から出てくな……、と改めて気づきました。そ、そうか。ずっといるわけじゃないんだ……! 見てたけど、考えたことなかったよ! え? 夜とか巣の方が寝やすいでしょ? なんで子育て終わると放棄しちゃうの……? 謎。

 とか思いながらページをめくります。


 この図鑑、とにかく鳥さんが愛らしいのです。

 巣、メインなんですが。

 くるくるまわりながら巣作りする鳥の絵とか、もう可愛い。


 著者の鈴木まもるさんは絵本作家さんです。そして、鳥の巣コレクターとしても有名な方です。

 以前、鈴木まもるさんが世界各地で集めた鳥の巣コレクションの展示会があり、行ったことがあります。もちろん、コレクションは鳥さんが巣立ちして放棄されたものを入手してきたものです。

 鳥さんのサイズが様々なのと同様、巣も可愛いサイズから巨大なものまで多種多様。なかには巣のでき具合でモテが変わる鳥さんなんかの、途中で失敗して放棄された作りかけ、なんてのもありました。面白いです。そしてコレクションのごく一部ながら、その数には圧倒されました。

 どこかでまた開催されたら、ぜひ行って見てほしいです。お勧めです。



※実は書いてから3年ほど眠っちゃってたエッセイ。近頃はあまりに暑すぎるからなのか、それとも母のアゲハチョウブームが去ったからなのか、庭に蝶々の姿はさっぱり見えません。藪蚊には一瞬で刺されるけど。

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