第19話 狼虎の咆哮③
流れゆくが岩にあたり、飛沫を上げている。
お互いに剣を抜き、睨み合うアイアースとアイヒハルト。両者を隔てる急流が唸りを上げて流れゆく。
横たわる激流は、二人の行く道が決して交わることが無いことを示す。この場において、和解はなく、両者が生き残るという選択肢もない。
お互いにそれを知っている両者は、自分達を隔てている川がうなりを上げて目の前を通過したその時、互いに地面を蹴った。
◇◆◇◆◇
「抵抗するものは斬り捨ててかまわん。書類の焼却、証拠の破壊を決して許すな」
監獄内部は、それまでの囚人達のうめきや拷問による悲鳴、断末魔に包まれる空間から、剣戟の音が交わる戦場へと姿を変えていた。
現在、皇帝直属の近衛部隊が監獄内部に突入し、警備兵達の掃討に当たっている。人体実験による副作用で凶暴化した囚人の中には、討ち果たさねばならないものも出てきてしまっているが、現在のところ掃討・鎮圧は順調に進んでいた。
「止めなくてよかったのか?」
率いてきた近衛兵にテキパキと指示を与えていくリリスに対し、彼女の背後にて女性のキーリアに肩を貸しながら進むジルがおもむろに口を開く。
リリスにとって彼は、監獄における人体実験の生き証人である。帝国側の教団側に対する楔の一つになり得る存在でもあるのだが、当の本人は現状に困惑していると言うのが本音であった。
自分もまた、仲間と同じように本能赴くままに人を襲う獣となる運命にあったかと思えば、今こうして人としての会話も思考もできている。独房にて、かくして置いたある物を確認できたことは、本気で天に対して礼をいったものだ。
とはいえ、教団によって産み出されたキーリアであり、今こうして帝国近衛軍に、教団の負の面とも言える部分が表に出されようとしていることも事実。
家族を奪った教団に忠誠を誓うと言う日々は屈辱でしかなかったが、生きるために手はなかったことももう一方の事実。それが、目の前で繰りひろげられている現実に対して戸惑いを覚えずにはいられなかったのだ。
「キーリア同士の私闘に介入する気はないよ」
「私闘……?」
「不当な拷問を囚人に課していた監獄近郊にて、教団の衛士同士が私闘を演じていた。近衛軍が確認している事実として存在しているのはこれだけ。我々は、たまたま付近を照会中に、帝国軍の軍事行動に協力した。ということだ」
「帝国側は今回の件を黙認すると言うことか?」
「仕える手札は簡単には切らないで置くものだ。それより、貴様、どうやって?」
ジルの問い掛けにそう応えたリリスは、彼に対して不思議そうな目を向ける。移設付近まで兵を進めた際に、遠見によってアイアースとジルの存在を感じ取ったリリスは、先ほどまでの事情を察し、ジルの意識を獣から人へと戻すべく先を急いでいた。
潜入は少し手間取ったが、最深部に近づくに連れて増えていく兵士達の死体。あとで確認したところ、それがカズマ(アイアース)の手によるモノだということには驚いたが、それ以上の驚きは、獣の姿へとなりかわっていたジルが、人の姿を取り戻していたことであった。
あり得ないことではないが、自分のように人の意識を探ることができるような人間でなければそれを為すことはできない。
今回の場合は、獣側に寄ったジルの意識を人の側に戻せばよかったのだが、強靱な精神で獣化に耐えていたジルが何かのきっかけで人の側に引き戻されたと言うことだとリリスは思っていた。
潜入に意識を傾けすぎて、その時点でのアイアース達の意識を探れなかったことが今更ながら悔やまれる。
「それにしても、あいつがな……」
二人の元へと辿り着き、先日と同様の態度で接した際にジルが向けてきた態度。
一桁№が二桁№を守護するように前へと回り、殺気を向けてきたのは、めずらしくリリスも驚かされることになる。
もっとも、その際には事実にまで気付いたわけではない。きっかけはアイアースの自爆である。
その際に、「昨日は……」などと言いかけたアイアースに対し、リリスは分けが分からずに眉を顰め近衛軍とともに埋伏をしていたことを告げる。
「では、やはり姉上が……。となると、俺は姉上と……?」
と、こちらに届くように目のまでぶつぶつと呟き始めたアイアースの言に、先日の邂逅からフェスティアの様子がおかしかったことを思いかえしたリリスは、脳内にひらめくものがあったのである。
昨夜、思わぬ再会となったフェスティアとアイアースであったが、フェスティアから見たアイアースは、7年近い歳月で成長し、少年の姿を脳裏に深く焼き付けているフェスティアにとっては他人にしか思えなかった。
しかし、ある意味でフェスティアの分身のようなリリスには、彼女が思い浮かべる少年の姿と目の前のアイアースの姿がなんとなく被って見えたのだった。
偶然とすれば出来すぎなことでもあるが、フェスティアとリリスの関係だからこそ成せるかも知れない。
「我々は、名目上は教団の衛士。だが、根っこは帝国に為に生きるキーリア。私の心は帝国のためにあるつもりだ」
「わたしとて、それは同じだ。だが、軽率は控えろよ。殿下の正体が明るみになれば、待っているのは粛清だけだぞ?」
「…………ああ。なんとか、自制する」
リリスの言に押し黙ったジルは、ややもすると感情的になりやすい自分に自省を促す。思えば先日酒場で暴れたアイアースを嗜めたばかりである。人のことを言えた義理ではないと彼自身も思っていた。
「お前も、分かったのか? こうなってしまった以上、あとにはひけんぞ」
「あ、ああ……」
ジルに肩を貸されて歩いている女性キーリアも、アイアースの正体を知らされて動揺しつつも頷く。
彼女にとっては、拷問にあっていた自分を救ってくれた恩人でもある。しかし、その正体が帝国の皇子とあっては、どう反応してよいか分からないというのが本音であろう。
と、そんなとき監獄全体が激しく揺れる。
「ふ、皇子様も派手にやっているようだ。精鋭兵を殺戮し、飛空部隊を塵にしただけのことはある」
「おい」
「戯れ言だ。我々も急ぐぞ」
揺れる監獄内に、その原因となったであろう人物に想いを馳せながらそう口を開いたリリス。やや戯けた口ぶりだったのが気に障ったジルの言に対してもどこ吹く風である。
そして、先を急ぐ三人。
目的とするのは、いまだに研究者達が立てこもる研究区画。
そこにあるはずの数々の記録や証拠品の覚悟は、主要人物達の捕縛以上に重要であった。
「むっ!?」
「待て、様子が?」
しかし、研究区画付近まで足を進めたリリスとジルは、ほぼ同時におかしな気配を察する。研究者達が立てこもる以上、アイヒハルト直属の灰色の信徒兵達が守っているはずである。
この世のモノとは思えない不気味な集団であり、一切の感情を捨て、集団で敵を殲滅する狂信者達。しかし、それらの禍々しい気配はまったくなく、どこか死臭の類が漂っているように思えた。
「これは……、面倒な予感がして来たぞ?」
「私もだ」
「一応、私も」
研究区画の扉の前まで来て、周囲に転がる灰色の信徒兵死体。どれも気配を察することなく急所を断ち切られ、一瞬にして命を奪われている。
それらを目にした三人は、一様に口を揃えると、互いに顔を見合わせて扉に手をかける。
女性キーリアは三〇番台の中堅キーリアであるが、リリスとジルは互いに一桁。その気になれば、小国の一つぐらい相手に出来るだけの力はある。
そんな二人ですらも、一抹の不安を感じながら扉を開いた。
「むっ? 貴様は……」
視線の先にて赤く染まる室内。そして、怯える研究者達と中央に立つ二人の男女の姿がそこにはあった。
◇◆◇◆◇
吹き飛んだ男が崖に激突すると、そこを中心に放射線状岩がえぐり取られ、破片が周囲に飛散していく。
それを見たアイアースは間髪を入れずに、赤く輝く刻印に力を与え、巨大な火球を男に向けて放つ。
衝撃に目を閉ざしていた男であったが、火球の接近を察すると目を見開いて跳躍し、それを交わす。空中で身体を回転させながら反動を付け、一気にアイアースの元へと接近する男。アイヒハルトの表情は、はじめの憤怒に満ちた三白眼の表情から、不気味な笑みへと変わっている。
残忍で人体実験や虐殺を厭わぬ男であるが、本質は戦いを楽しむ戦狂者である。久々に骨のある相手と戦えることが、自身が抱える増悪を上回っているのだった。
再び合わさる剣。アイアースは左右の剣を繰り出し、剣を振るう際に出来るアイヒハルトの隙を狙うが、そこはわずかな実力差。今のところは難無く弾かれるだけである。
そうして置いて、再び剣がぶつかり合い、互いに押し合いながら口を開きあう。
「くくくく……、よいぞ、アイアースよ。私をここまで楽しませるとは。自分の血を見たのは久しぶりですよ」
「そうか。だったら、人生の最後にしてやるっ!!」
左手で剣を強引に弾き、残った右腕の剣でアイヒハルトの脇腹を狙う。捉えるまで行かなかったが、わずかに掠めた剣が表面の皮膚を抉り、鮮血を散らせる。
しかし、わずかに横に崩れたアイヒハルトもまた、アイアースの脇腹に向けて剣を振るってきた。
剣を振るったためにがら空きになる部分。ほんの一瞬であるのだが、その一瞬を逃さぬのが実力者。しかし、アイアースとて簡単に斬られるつもりはない。
強引に身体を捻り、身体を回転させながら足を繰り出し、剣の軌道を逸らす。それたそれは、本来切り裂くはずであったアイアースの脇腹を掠めるだけであった。
血を滴らせつつも、アイアースは回転を止めずにそのまま跳躍すると、笑みを浮かべるアイヒハルトの頭部に蹴りを見舞う。
これは予想外であったのか、もろに頬に蹴りを受ける形になったアイヒハルト盛大に吹き飛び、急流渦巻く川へと身を投じる。
しかし、アイアースは油断することなく次なる攻撃に備え、川縁にある大岩に飛び移る。
うなりを上げる急流。山岳から流れ落ちる河川は、川幅こそ狭くとも深く時折激しい渦を巻くことがあり、時には大人であっても平気で飲み込むという。
キーリアであるアイアースも危うくおぼれかけるほどの威力を持つ自然の驚異。以下に、強大な力を持ってしても無傷で澄むはずはない。
「だからと言って、不意打ちなんてしようとしても無駄だぞ?」
アイアースは背後に沸いて出る様にしてきた気配に対し、剣を背後に向けて構えるとその動きを掣肘する。
油断無く反転すると、全身を水で濡らしたアイヒハルトが首筋に剣を突き立てられたまま立っている。
「よく。気付きましたね」
剣を構えかけたまま硬直するアイヒハルトは、笑みを引きつらせながらそう口を開く。
「なんとなくな。貴様のおかげで……薄汚ねえ、どす黒い殺気には敏感になったんだ」
そう言いながらも、アイアースもまた自身の変化に戸惑う場面が無いわけではない。好戦的な面は昔からあったが、敵に対する攻撃に躊躇いはさらに無くなり、状況によってはより残忍な攻撃方法を選ぶようになっているような気もする。
先ほどまでのように、キーリアに暴行を加えている兵士達やグロフ、飛空兵達も首を刎ねるのは容易いと思い、わざわざもっとも苦しむ方法によって葬っている。
グロフとに戦いは自身も相応の反撃を受けたが、散々に痛めつけ、首を鎖で絞めて呼吸をほとんど奪ってから爆殺するなど、やり過ぎもいいところだった。
「くっくっくっく……。薄汚い? どの口がそれを言っているのでしょうねえ?」
「この口だ」
「…………。まあよい、昨夜のようなことを平気で行える者達が他者を汚れていると。たしかに、その口ならば言えるでしょうね」
薄笑いを浮かべ、アイアースを挑発するアイヒハルトだが、アイアースのあっさりとした言に一瞬押し黙る。しかし、すぐに普段の調子を取り戻して、言を続ける。その中には、アイアースにも気にかかる言があった。
「昨夜? 私はほとんど気を失って覚えていないが」
「ほう? なれば、あの売女は自分の意志であのようなことに及んだと言うことか? ふふふふ、そのような本性を持つ女が今も帝国の頂点に立つ。まったく滑稽だと思いませんか?」
「滑稽なのはお前の方だろ? 俺を挑発してどうするんだ? 仮にも上位一桁№だろ? 相応の戦いって言うのがあるんじゃないのか?」
「だまれ。薄汚い、亜人の血を引く者がっ!!」
「亜人とて人だ。そして、貴様も同じっ!?」
そう言いかけたアイアースは、フェスティアを売女と罵るアイヒハルトの言に沸き立つ血を抑えながら反論する。
しかし、こちらの正論は相手の差別めいた発言によって遮られる。
剣を振り回しながら、アイアースに迫るアイヒハルト。すでに、それまでの紳士然とした姿は消え、今は怒りに狂う様が前面に出ている。
「私にも亜人の血だとっ!? 我が一族から皇妃の座を奪った薄汚い亜人の血だと? そんなことがあるかっ!! あってたまるかっ!!」
「知るか。そんな性格の一族に父上が目を向けるわけがないだろ」
激高するアイヒハルトであったが、この男が言うとおりであれば、先帝ゼノスが彼の関係者を娶ろうとしたことになる。
しかし、このような人間を産み出す一族をゼノスが受け入れるとはアイアースにはとても思えなかった。
とはいえ、継承戦争にて帝位を争って皇族の多くが決して褒められるような人格者でなかったことも事実。常に民の平穏を願ってきた歴代皇帝の影で、彼のような皇族や貴族層を産み出していたことも帝国内部の負の遺産の一つなのかも知れない。
「亜人の血を引く貴様には分からぬであろう。帝国の掲げる政策によって亜人達に役目を奪われ続ける人間達の屈辱が。人は平等ではない。機会を与えられ、敗者には救いがあろうとも、人の屈辱までは消すことは出来ぬ」
「それで奪われたのが、皇妃の地位というわけか? そういうのは負け犬の遠吠えと言うんだろうがっ!!」
「その通り。だからこそ、私は力を得て亜人を駆逐してやるのだっ!! そして、それには帝国の存在は邪魔なのだ。貴様を討ち、今度はあの売女の番だ」
それまで貯め込んでいたモノがすべて吐き出されているのか、アイヒハルトの怨嗟に満ちた声が谷底に木霊する。
それは、アイヒハルト個人の恨みの類と言うだけでなく、彼の血に刻まれた累代の恨みなのかも知れない。
しかし、冷静になるように努めていたアイアースにも、いい加減に我慢が出来なくなってくる。
「てめえっ!! さっきから売女売女と、姉上をなんだと思っていやがるんだっ!!」
「ふはははっ。貴様は、あの女がどうやって生き延びていたのか知らぬのだな?」
「むっ」
怒りが顔を出すアイアースに対し、汚物を見つめるような視線を向けたアイヒハルトは、芝居がかった態度で口を開く。
「あの女は、貴様が監獄にあり、実の母が処刑台に消えたその日であっても、我らの慰み者になって生きながらえていたのだ。見物であったぞ? 野卑た男どもに陵辱されながらも、意地を押し通す小娘の姿はな。それに耐えた頃は賞賛に値する。だが……、その肉体に刻まれ…………た」
アイヒハルトが屈辱に打ち震えるであろうアイアースの姿を思い描きながら、すでに遠きモノとなった過去をアイアースへと告げる。当事者であったアイヒハルトにとって、自身が増悪する人物を屈辱のそこへと落としたことはこれ以上にない快感であったのだろう。
しかし、喜々としながらそれを語るアイヒハルトの言は、そこで一時に中断を余儀なくされる。
「言いたいことはそれだけか?」
ドクン。と、心臓が跳ねたことをアイアースは実感していた。
それまで、感情を制御し続けてきたアイアース。
あの転落の日からほどなく、リアネイアによって課せられた剣伎の入り口。それは、感情の制御。
決して完成はないと教えられたそれは、時折、爆発する感情を考えてもその通りだと思っていた。しかし、自分を見失って破壊の衝動に走ることは決してない。
それをやってしまえば、母から教えられたことのすべてを失うような気がしていて、最後の土俵際でアイアースはそれに耐えることが出来ていたのだ。
しかし、自身のすべてとも言える過去を汚され、罪なき人間達に、非道な行いをしてきた男に対しては、その制御そのものが失われてしまったかのように、憎悪を越えた何かが込み上げてくるだけであった。
「ふっ、はっはっはっはっはっっっっっっ!! やはり、私は正しかったのだ。姉弟で交わり、今もこうして獣となって私を害さんとする亜人など、本来の姿に戻るべっっ…………!!」
狂ったように笑うアイヒハルト。
しかし、その言は次第に断ち切られ、かすれかすれとなって次第に沈黙していく。彼の生命の営みが停止するに従い、周囲を染める赤い血の量は増すばかりであった。
◇◆◇◆◇
川は流れ続けていた。
その音を耳に木霊させながら、アイアースは監獄のある岩山へと足を運んでいく。
アイヒハルトとの対峙の最中に失った意識。再び意識を取り戻したとき、そこにあったのは、血に染まった両腕と大地。そして、四肢を分裂された無残な姿となって転がるアイヒハルトの惨殺体であった。
――――状況を鑑みれば、自分がやっとしか思えない。
アイヒハルトの挑発によって、心臓が跳ね、全身の血流が早まったところまでは自覚している。その後は、母や姉たちとの記憶が反芻し、次第に高揚し始める身体の感覚にだけ支配されていた。
アイヒハルトも可能な限りの抵抗を見せたのであろう。
胸宛てをはじめとする防具が破損して転がり、川縁の地形すらも変わっている。しかし、ところどころ、場所を選ばずに四散する肉片。
はじめの自分はまったく手を出すことも抗うことすらも出来なかった男。そんな男は、この地上から永遠に消えたのだった。
そして、崖に沿うように作られていた通路を抜け、広大な牧へと足を踏み入れたアイアースは、牧の入り口付近に並べられた兵士の死体に視線を向けると、監獄入り口付近に立つ見知った顔に者達の元へと歩み寄る。
「無事だったか」
「で……、カズマ。怪我は?」
「あ、その、えっと。助けていただいて……」
先ほどまで顔を尾合わせていた二人と助けた女性キーリアがそれぞれにアイアースに対して口を開きかけるが、それよりも先にアイアースに声をかけたのは、本来であればその場にいない男であった。
「久しぶりだな、カズマ。ずいぶん、男らしい姿だが、勝ったのか?」
親しみのこもった口調でそういう男に対し、アイアースは手に持った布袋を掲げ、彼らの足元へと放る。
転がったそれは自然と結び目が緩み、ゆっくりと現れた中身に対して全員が視線を向ける。
現れたモノに言葉を失いながらゆっくりと頷くキーリア達。結果はどうであれ、必要と判断しての監獄の殲滅は成ったことになる。
「それで、なんでお前達がここにいるんだ? シュレイ、シャル」
眼前に立つ、キーリアに向かってそう口を開いたアイアース。しかし、そこまで行ったアイアースは、彼らの返事を聞くことが出来なかった。
強大な敵を相手に暴れ回った彼の肉体と精神は疲労のそこにあり、緊張の糸が一気に切れたアイアースは、その場に倒れ伏すと、静かに寝息を立て始めた。
毎日投稿が目標でしたが、ずれ込んでしまいました……orz
活報とかの返信も出来ていないですが、さすがに眠くなったので後日に改めて返信させていただきたいと思います。
次回はそれほど動きはありませんが、ここから雌伏編が徐々に動いていくと主増すので今後もよろしくお願いします。




