第91話 頭脳バトル
「ふん、なにを根も葉もないことを言っている! 俺はただ自由恋愛をしただけだ! 惚れられちゃったんだからしょうがないだろう? お願いされたから放課後の教務室で縄跳びのヒモで縛ってプレイしただけだろうが!」
〈こいつまじくず〉
〈ってか未成年者相手にそれやっちゃ合意でもだめ〉
〈合意なわけないだろ。レイプに決まってんだろ〉
〈教育委員会に通報した〉
〈警察に通報した〉
〈ちょっと鳥屋野潟公園高校に抗議の電話かけてくる〉
コメント欄が沸き立つ。
もちろん、石郷丸たちは俺が配信してることなんて知らない。
もはやこいつの教師生命は終わりだ。
さらには流川美子も言う。
「そうよ、私だってただいじめられてる子に、いじめられるってことはあなたに原因があるのよって教えてあげただけじゃない! 『あなたが全部悪いのよ、まず顔も性格も生まれた家もあなたの親の性格もみんな悪いからいじめられるのよ。それを変えないと一生いじめられるわよ、いじめている方もあなたのことを思ってあなたの悪いところを変えようと思っているのよ、顔とか声とか』って教えてあげただけなのに!」
〈最悪の教師現る〉
〈なにこいつ、教師じゃなくて悪魔じゃないの〉
まじで悪魔みたいなやつだな。
お、それで思い出した。
ここは悪魔のダンジョン。
呼び出せるのは悪魔だけ。
でも、聞いたところによると、ミニデーモンとかそのクラスを呼ぶのにもマPが10000くらい必要らしい。
スペシャルグレーターデーモンクラスになると50万マPが必要だとか。
今の俺はマPが6000しかないからなあ。
そういうのは呼べない。
だから、俺はアレを呼ぶことにした。
「出でよ! 蠅の王、ベルゼブブに使えるただの蠅……」
それを聞いて石郷丸が笑い出した。
「はははは! ただの蠅がどうした! そんなもの、俺と流川先生にかかればあっとうまに焼き尽くせるぞ! 未熟な生徒と俺とを同列に思うな!」
俺はかまわず続きを言う。
「……ただの蠅がたかっている人糞よ! 大量に出でよ!」
その瞬間、石郷丸たちのいる場所の天井がパッカーンと割れて、とんでもない量の下痢便がビチャビチャビチャ! と落ちてきた。
「「「くっさーーーー!」」」
桜子とほのかさんが鼻を押さえてミカハチロウから飛び降り、逃げ出した。
「おえ、おろろろろろろろろ。あたしはこういうの、苦手なんや! ってかなんや、兵糧攻めしたときに飲尿ネタは汚いからやめようって天の声が聞こえてきたからやめてやったのに、もっとひどいやないかい! あたしもこれにてドロンさせていただくわ!」
さらにご先祖様まで逃げ出した。
うむ、たしかに飲尿の方がまだましだわ……。
石郷丸と美子は全身排泄物まみれになりながら、嘔吐している。
「へへへへ、すいやせん、私もこれで……」
レイシアまで逃げ出した!
まじでくせえ!
「ミカハチロウ、俺たちも逃げようぜ……おえええ」
「パオーン! パロロロロロロ」
ミカハチロウも嘔吐して、その口を篠田と遊斗の顔で拭きながら回れ右、俺たちは全員逃げ出した!
汚いのはよくないと思います!
「お前らはそこで破傷風になって死んでくれ!」
便まみれになってる二人にそう言い残す。
「きゃーーーーーっ! やだ、やだ、やだ、やだ!」
「くそおお! こんな卑怯な手を使いやがって!」
うるせえ、女子生徒をレイプしたり自殺させる方が罪が重いだろ!
おえっ、くせえ。
うーん、思いつきでやったけどやらなきゃよかった。
「慎太郎、お前下ネタとうんちネタ攻撃しかやらないやないかーい! 小学生かいな! コロ〇ロコミックやないんやぞ!」
ご先祖様の叱責が心にしみる……。
いや待て、反論の余地もあるぞ!
「グロもありますからコロ〇ロコミックより対象年齢が上ですよ!」
「うるさい! もっとこう、ハンター〇ンターとかジョ〇ョみたいな頭脳バトルやらんかい!」
「知能マイナス58のご先祖様がついてこれないからやりません! っていうか俺も知能11だから無理!」
「それにしてもなんやうんち攻撃って! 精神年齢三歳か!」
ののりしあいながら地下十階に逃げ帰る俺たち。
うーん、そりゃかっこいい頭脳戦やりたいのはやまやまなんだけど、おもいつかないんだよなー。




