第90話 ぺったんこな胸を張って
〈待て待て、本当かそれ〉
〈まじで外患誘致と同じ罪だぞ〉
〈っていうかこの教師たちはいったいなに〉
〈鳥屋野潟公園高校だってよ〉
「だいたいなー。そこの大男。お前もろくでもないこと、しとるやんな?」
ご先祖様が言う。
「ああ? なにを言っている、モンスター風情が」
「せや。お前の言う通り、あたしはモンスターや。それも、不死の女帝、アンデッドキングや」
女帝なのかキングなのかどっちなのかよくわからんけど、ご先祖様はぺったんこな胸を張ってそう言った。
「でな、あたしは死んだものたちの無念の声を聞くことができるんや。お前、女子生徒にカンニングの罪を着せて相談室に呼び出し、無理やりレイプしたそうやの! それも一人や二人やない! おい、レイシア、何人や!?」
元ダンジョンマスターでサッキュバスのレイシアは、尋ねられて言った。
「へ、へへへへ……私はサッキュバスですから、人間の頭上に数字が見えるんです……今まで性交してきた回数とか、レイプした回数まで……そこの男は987回、レイプしたことがありますね。おそらく同じ女子生徒を脅して何度も犯したりしたんじゃないですか?」
それを聞いて、俺は叫んだ!
「なんて奴だ、人間のくずめ!」
絶対に許せんぞ!
レイシアもうなずいて、
「へ、へへへ、ほんと、ひどい奴ですよね。ついでにいうと、慎太郎さんの場合は経験人数ゼロ……」
俺は叫んだ。
「ミカハチロウ、やれ! しゃべらせんな!」
「ぱおおおおおん!」
ミカハチロウの中の鼻の一本、篠田の顔のタコの足の鼻(なにをいっているのかもはや俺にもわからん)がのびてぐるぐるとレイシアの身体にまきついた。
「ひーーー! ごめんなさいうそですゆるしてください慎太郎さんはヤリチンでえす」
「よし、わかればいい。ミカハチロウ、放してやりなさい」
「ぱおーーーーん!」
「なーにいってんの、どーせ私で童貞すてるくせに」
ジト目で桜子がそう言う。
ご先祖様が怒ったように、
「待て待て待て、話が脱線しとるやんな? だからな、石郷丸にレイプされて、その上流川にそれを相談したら学校中にヤリマンの噂流されて自殺した女子生徒が魂であたしに訴えかけてきてるんや。悔しい、悔しいってな。そんなわけで鳥屋野潟公園高校の教師、石郷丸と流川! 自分がやらかしたことの責任、とってもらうでーー!」




