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第79話 激闘

 相手を死に追いやる僧侶クレリック系最強の呪文、死言葉マロカターがレイシアを襲う。

 幾多のルーン文字が刃物となってレイシアの身体をズタズタに切り刻んだ。

 赤い血が噴き出し、床の上に崩れ落ちるレイシア。

 だが、そのレイシアの放った最強の攻撃魔法もまた、市生(いちお)たちを襲った。


 まず、一番最初に、もっともレイシアに近い位置にいた石郷丸(いしごうまる)が爆発の勢いで吹っ飛んだ。

 爆風で壁に叩きつけられる石郷丸(いしごうまる)


「ぐはっ!」


 その衝撃で、石郷丸(いしごうまる)の全身の骨と肉が破壊される。


 爆風はそのまま市生(いちお)たちをも襲う。


「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁっ」


 なにしろ、最強の攻撃呪文なのである。

 全員が石郷丸(いしごうまる)と同じように爆風で壁に叩きつけられ、その皮膚と肉は焼き焦げて真っ黒になった。


 数秒後。


 静寂がダンジョンの中を支配する。


     ★


「あれ。これやっつけちゃったかな。さすがレイシア、元ダンジョンマスターだけあるなあ」


 俺は桃太郎アイスをバリバリ食いながら言った。ちなみにこのアイス、ってか氷菓は地方限定発売だぞ。

 相打ちかな?


 レイシアは血まみれでズタボロの赤いぼろ雑巾みたいな感じで床に転がっている。


 市生(いちお)たちは全身黒焦げで、プスプスと身体から煙が吐き出されている。

 うーん、これは死んだなあ。


「いやよく見てみい。あの僧侶クレリック、やりよるぞ」


 モニターを見ていると、なんと、市生(いちお)たちパーティのうちの一人、遊斗(ゆうと)の身体がだんだんともとに戻っていくのが見えた。


「なんですかこれ」

「自動回復の呪文やな。核爆発の魔法に焼かれる寸前、唱えてたんやな。これなら自分の意識がのうなっても自動で発動してある程度身体を回復させられる」


 遊斗(ゆうと)の身体がどんどん治癒されていく。

 そして彼はゆっくり立ち上がると、パーティの仲間たちに治癒魔法をかけていく」


「あーらら。ほんと、けっこうやりますねえ。あの魔法をくらって全滅しないパーティなんてなかなかいないですよ。レイシアは……あのまま放っといていいか。どうせ人食い悪魔だし」

「ま、せやな」


 んー。

 でもレイシアって、何十人も人間の赤ちゃんを食ったんだよな。

 こんなもんで死に逃げ(救済)なんて許されなくないかな。


「ミカハチロウ!」


 俺はミカハチロウを呼ぶ。


「バウバウ!」


 頭部は人間のおばさん、身体は犬のモンスターがやってきた。

 ご先祖様はミカクロウだけじゃなく、ミカハチロウも連れてきていたのだ。

 どっちも美香子ちゃんの子供だ。

 俺が昔一瞬でも好きだった女の子供だから、とてもかわいく思えるなあ。


「レイシアの奴を回収してきてくれ」


 俺が言うと、


「バウワウ!」


 と鳴いて、ミカハチロウが走り出して行った。


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【奴隷買いの救世主】
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