お見舞い
俺の彼女さんの睦瑞希と、妹の祐実がうるさい。
この二人は何でマウントの取り合いをしたがるのか?
俺は自室のベッドで寝ていた。
昨日、幼馴染みの三塚瑠璃と試合した。昼には父に病院に連れていってもらった。本当に、いつも申し訳ないことだ。消炎剤、解熱剤をもらった。首も肋も、安静にするしかないので、後は寝ているだけだ。
昨日も今日も学校は休んだ。
そして、昨日も今日も瑞希が家にやって来た。
お見舞いらしい。だったら静かにして欲しい。
「瑞希、お見舞いに来てくれてありがとう」
「うん」
「寝てるだけだから、ついてなくてもいいよ?」
「ううん。ついていたい」
「兄さんが休まらないだろ。帰れよ」祐実が不機嫌に言う。
「祐実ちゃんこそ出てけば? ここは私だけでいいから」
だからお前らうるさい。俺、熱あるんだから静かにしてくれ。
「洋介、着替えする? 体拭く?」
「自分でできるからいい」
「私がするから、姉さんは帰っていいよ」
「自分でできるからいい」
うざいなお前ら。
「昨日はいつの間にか、瑠璃姉が着替えさせていたし。今日は私にやらせろ」祐実は、昨日着替えのときに気づかない内に追い出されていた。
瑠璃はなかなかの策士だ。
「え? 瑠璃ってあの女?」瑞希が不機嫌な声を出す。何か寒気がするような冷たい声。
祐実、わざとか?
「ケガさせといて、看病するとか……。マッチポンプ? ふざけてんの?」瑞希が闇落ちしたかも?
「瑞希、落ち着け。ケリは着いてんだから、要らん事するなよ」
夕食前に瑞希は1階に降りて行った。母と一緒に夕食を作るらしい。
祐実と二人きりになった。祐実は瑞希がいなくなったのでほっとしているようだ。瑞希に対して、警戒している。
「瑠璃姉と三連戦だったね」
二回は憑かれていたとき。三戦目は瑠璃の意思で戦ったが……。
「全敗だな」自嘲気味に言った。
祐実が苦笑した。
一戦目と二戦目は瑞希に助けられた。彼女がいなければ負けていた。
「何で瑠璃姉ばっかり憑かれるの?」
「必然だからな」
「兄さんがいつも言っている、悪いことは必然ってどういう意味?」
「そのまんまだよ」
祐実がわからないという顔をする。
「今回の島崎さんの奥さんの霊がわかりやすい。奥さんが憑いていたのじゃなくて、旦那さんが奥さんの霊を縛り付けていた」
「……。え?……。瑠璃姉は憑かれてない?」
「ある意味ではそうなるな」
「瑠璃姉は霊を取り込んだ?」
「無意識だろうけど」
「……何で?」
「……瑠璃姉には生きづらいんだろ。委員長とか、優等生キャラやってるから。やめればいいのにな」
「えー、それだけでか?」
「あと、スポーツ競技では満足できなかったかな?」
最近では更にストレスが増えた。
「俺が瑞希と付き合い出したのも、気に入らなかったみたいだな」




