幼馴染みとベッド
「瑠璃姉! やめて!!」妹の祐実が叫んだ。
三塚瑠璃が飛ぶ寸前で止まり、つかんでいた手を離す。仰向けに倒れている俺の横に腰を落とす。
俺は気道を解放されて咳き込む。殴られた左脇が痛い。首も動かせない。寝違えみたいになってる。
「兄さん!」祐実が駆け寄ってくる。瑠璃の横に膝まづいて俺の顔を覗き込む。いきなり触らない冷静さはあるようだ。
祐実の泣き顔が見えた。
声をかけようとしたが、声にならない。
「瑠璃姉! ヒドイよ! ここまでやる必要なかっただろ!」祐実は泣きながら瑠璃に詰め寄る。
瑠璃は困った顔で祐実を見る。
「祐実。やめろ」妹に同情されるとか、ツライ。
「兄さん、大丈夫?」
「首は寝違い。しばらくは動かさないで。左脇はあばら骨が折れてる。内蔵にもダメージがある。しばらく安静で。風邪とか移されたら合併症出るから、三日は家から出ないで」瑠璃は淡々と言う。
「家まで運ぶね」瑠璃が手を俺の体の下に差し込む。
「手伝う」祐実が瑠璃に言う。
「ジャマだからいらないわ」瑠璃は冷たく言い放った。
瑠璃は俺を抱き寄せると、「ふっ!」と息を吐き出して立ち上がった。
痛って……。
折れた肋が疼く。
俺は瑠璃の右肩に担がれた。瑠璃の右手が俺の体をさえる。左手が俺の足に添えられた。
力持ちだね。
「祐実ちゃん、竹刀をお願い」
瑠璃は俺を俵担ぎして帰路に着く。見られたらカッコ悪いから近所の人に会いたくないな、とかどうでもいいことを思った。
「瑠璃姉、気が済んだか?」
「ええ。洋介。……また遊んでね」
「やだよ」
「えー」
えー、じゃないよ。本気の瑠璃は恐怖でしかない。
祐実が家の玄関を開ける。二階の俺の部屋まで運ばれた。
朝も早いので、両親は起きていないようだ。
「祐実ちゃん、氷と、消毒持ってきて」
祐実を部屋から追い出すと、俺をベッドに寝かせる。ジャージを脱がされた。上に着ていたシャツも脱がされる。
「パンツはやめて」
「ダメージ入ってる筈だけど?」
「大したことないから大丈夫」
「でも……」
「脱がしたら通報」
下着の上から触られた。
「おい」
「大丈夫みたいね」
「だから、大丈夫だって言ったよね」
祐実が戻ってきた。
体を濡れたタオルで拭かれてパジャマを着せられた。
医療用冷却枕を首と右脇に当てられた。
「できるだけ動かないで」そして祐実に「今日は冷して」と言った。
「瑠璃姉も上着脱いで」祐実が促す。
ジャージを脱ぐ。右手のところが破れて血がついていた。
竹刀を手で受けたときにケガしたのか。
祐実が手当てをする。包帯を巻かれていた。
見た目だけなら瑠璃の方がダメージあるようにも見える。
見えるだけだけどな。
読んでくれてありがとうございます。
もう少しお付き合いください。




