幼馴染みを押し倒す
跳躍した左旋回。回転始まりまで左手に持った砂を体で隠していたのに、投げる前から予測していた三塚瑠璃は目を閉じるだけで目潰しを回避した。
瑠璃の勘のよさは神がかっている。これで霊力とか無いんだよな。
攻撃の起こりを体で隠すのは珍しくない。砂を拾って目潰しに使うのも珍しくない。
手を地面に着けて背を向けた。この動作から一瞬で目潰しを予測できるだけの知識と経験。
そして戦っている最中に目を閉じる思いきりのよさ。
瑠璃は強すぎる。
跳躍した回転は砂を投げるだけではない。連続して旋脚を浴びせる。
俺の右足が彼女の頭部を襲う。目潰しは通じなかったが、一時的に目を閉じさせることには成功した。彼女は俺の蹴りが見えていない。
見えてないのは彼女にはそれほどのハンデではなかった。見えてるかのように、左手を外旋させて上架受け。すかさず右手で胸を打ちに来る。
夜間戦も想定の内か。古流なら暗闇で気配を頼りに戦う訓練も、当たり前のようにする。
空中で迎撃された俺は、当然受け身が取れない。胸を打たれて地面に叩きつけられる。かろうじて頭を打つのを回避するが、背中を強打して息がつまる。
敵が倒れたらすかさずマウントを取る。それが瑠璃の戦闘スタイルだ。一対一なら必ずそうする。
両足を交差させ、背中を支点にコマのような回転し、反動で起き上がる。回転するときに空中を蹴るようにして接近されることを阻止する。
二回も瑠璃にマウントをとられている。当然対策はしてきた。
距離を取る。
しかし立ち上がった瞬間に既に瑠璃は距離を詰めていた。腰を落として、両腕で両足を刈りにくる。手のひらを上にして、両腕をクロスして膝を挟み込もうとする。
瑠璃の頭が下がったところに合わせて、顔面に右膝を差し込む。タックルに対する基本のカウンターだ。頭を両手で押さえに行く。
瑠璃はそのカウンターも読んで、俺の膝を両手で押さえ、更にその反動を利用して体が延び上がる。瑠璃の頭を取るために近づいた俺の顎にカウンターで頭突きを入れてくる。
俺の上体がのけ反る。ここで抱きつかれたら、またマウントをとられる。
距離を稼ぐための、右フック。当てるつもりはない。瑠璃は右フックを避けるためにわずかに上体を反らす。
空いたスペースに、空振りした右拳を大きく振り回して上から打ち下ろす。
瑠璃はそれを両手をクロスして上架で受ける。更に左手も背中側から大きく回して上から打ち下ろす。子供のケンカでよく見る、グルグルパンチだ。もちろん手だけで打たない。体重は俺の方がある。遠心力と重力を合わせて打ち下ろされた打撃に、瑠璃は動きが止まる。彼女は居着いた。
彼女の腰に抱きつき、そのまま押し倒す。
今度は俺がマウントを取る!
読んでくれてありがとうございます。
まだ戦います。ボス戦だから。




