過保護な瑠璃姉
「洋介。今日も彼女さんと待ち合わせ?」
放課後、一人で歩いているときに声をかけられた。
幼馴染みの三塚瑠璃だった。
「……まあな」
睦瑞希とは島崎靖司の家で合流する事になっている。
瑞希は、靖司の姪の島崎桜と友達らしい。桜が靖司の家に遊びに行くのにつきあっている。
俺も靖司の事が気になるので、瑞希と靖司の家で待ち合わせることにしていた。
「この道って事は、島崎さんちに行くのかしら?」
「ああ」
「私も」
「……」気まずいな。
「瑠璃姉、部活は?」
「サボった」
「よくサボるよね」
「ん……、元々クラブ活動に興味なかったから」
「興味無くて、インターハイに出れるんだ」
「弓道部ある高校が少ないでしょ?」
それでも瑠璃個人は全国でも上位らしい。
「剣道やってるのに、剣道部にも入らなかったよな」
「洋介ならわかるよね?」
「……、瑠璃姉、スポーツ嫌いだもんな」
「そうね」
島崎家に着いた。
靖司に居間に通される。
縁側の引き違い窓が開けられていた。
縁側に中学の制服を着た女の子が座っている。
庭では睦瑞希と島崎桜が刀を振り回していた。
二人とも笑いながら刀を振り回している。
何やってんだ? こいつら……。
俺の隣で瑠璃も固まっている。
「あの、これは……」
「桜と瑞希さんが居合をやってみたいと言うのでね」
いや、チャンバラごっこにしか見えない。
「あ、洋介!」俺に気付いた瑞希が、刀を持ったまま手を振ってくる。
怖いわ。危ないからやめろ。
桜も俺に俺に微笑んで会釈をした。
縁側に座っていた女の子も、俺たちに座ったまま会釈をする。
瑞希が小走りでやってくる。
「美羽ちゃん、こっちのがご主人様の高坂洋介!」
「ご主人様はやめろ」
「瑞希ちやん、もうお嫁さんアピール?」美羽と呼ばれた女の子が顔を赤くして言った。聞いている方が恥ずかしいってやつか。
瑞希は従者のつもりで言ったのだろうか? それとも美羽の言うように妻アピールだったのだろうか?
「洋介。この子がお友だちの、早瀬美羽ちゃん!」
俺は美羽に会釈する。
美羽も俺に頭を下げた。
「早瀬さん、瑞希と仲良くしてくれてありがとう」
「いえいえ、私こそ!」
美羽は大人しそうな子だった。瑞希や桜とつきあうのは大変そうだな、と思った。
「何やってるの?」
「居合!」
遊んでるようにしか見えない。
「危なくない?」
「刃引きだよ」靖司が答える。
二人が持っているのは短刀だった。刃引きでも十分殴り殺せる鈍器だ。
「君も、子供から危ない遊びを取り上げる口かい?」靖司が煽るように言ってきた。
瑞希に危ないことをさせたくないと思っているのは事実だ。
「過保護……」瑠璃が覚めた目で見てくる。その視線は瑞希にも向けられていた。
「瑠璃姉もだよ」俺たち兄妹に過保護だった。
「違うわよ? 私のは下心だから」
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