生まれ変わり
再び家に戻った。
ソファーに座る。睦瑞希は首筋にしがみついたまま離れないので、対面でだっこしたままだ。両手を瑞希の背中に回して、後ろから頭をなでる。
彼女は少しは落ち着いたが、まだ嗚咽が止まらない。
従兄弟の高坂一成は、L字に配置されたもう一つのソファーに座る。
父と母、それに妹の祐実はソファーに座らずに続き部屋のテーブルのイスに座った。
「一成兄さん。俺の彼女を泣かさないで」俺は一成に抗議する。
「えー、洋介くんの彼女さんにいきなり殺されかけたのだけど? 何も言わずに、いきなり殺そうとするのはヒドクない?」
「一成兄さん、こうなる事を予想してたよね?」だからいきなりの瑞希の攻撃に対応できたのだろう。
「んー、不意打ちなら殺されてたかもね」
「もっと穏やかに顔合わせできなかったの?」
「いや、もう遅い時間だから、彼女がいるとは思ってなかったんだよ」
「じゃあ、車から降りずに帰ればよかったのでは?」
「いや、いけるかな……と」
「ダメだったじゃないか」
「いや、問答無用で殺しに来るとは、さすがに想像できなかった」
まあ、そうかな。
「一成兄さんまで、生まれ変わりとか、そんな中二病な事言うとは思わなかった」
「中二病扱いやめてくれ」
「で、どういう設定なの?」
「設定、言うなよ……」
「どこで瑞希に気付いたの?」
「洋介くんの従者と名乗ったと聞いて、僕も会ったことあるんだろうなと思ってた。実際、会ってたね」
「見ただけでわかるの?」
「魂の形が同じだからわかるね。洋介くんも、霊力の残滓で誰かわかるだろ?」
「そうだね」
俺がケガをしたとき、父さんは霊力の残滓で瑞希が原因だとわかっていた。
「で、一成兄さんや瑞希の夢日記では、俺は前世で一成兄さんに殺されたことになってるわけ?」
「夢日記言うな。そうだよ」
「一成兄さんは前から、俺の事を前世で殺した相手だと知ってたわけだ?」
「知ってたね」
「初めて聞いた」
「言っても信じないだろ?」
「信じるかよ。こんなオカルト」
「そんなわけで黙ってた。信じてもらえたかな?」
「信じないよ。一成兄さんと瑞希が口裏合わせたお芝居だと言ったら信じる」
「うん。お芝居でいいよ。前世の記憶のない洋介くんにはどうでもいい事だからね」
そうさせてもらう。
「えっと、彼女さんは……瑞希さんだっけ?」一成は俺に抱きついたままの瑞希の背中に話しかける。
「僕と洋介くんは従兄弟同士で、こんな感じで友好的な関係だよ」
「そうか?」
「洋介くん、茶化さないで」
ごめん。
「僕と瑞希さんが敵対する理由は、現世にはない」
「どうして……」瑞希が俺の肩に顔を埋めたまま言う。
「どうして、敵だった人が近くにいるの?」
「え? ……。元々一族内の権力争いだった。僕と洋介くんは前世でも親戚だったよ。……覚えてないの?」
瑞希は覚えていないようだ。
「それに……。今となっては僕の方に、瑞希さんへの恨みがあるんだけどな」一成が苦々しく言った。
瑞希がビクッとする。
心当たりがあるのかよ。




