刀の使い方
聞くべき事を島崎靖司から聞いた。
お祭りはできる。
俺がやるべき事、やれることは祭祀しかない。
居間で待っていた中学生3人を呼び戻す。
島崎桜は助かった、という顔をした。どうも妹の祐実と睦瑞希の二人に間に入るのに疲れはてているようだった。
「用もすんだからそろそろお暇します。桜、後を頼んでいいか?」
「おいおい、人を年より扱いするなよ。介護のいる年じゃない」靖司が笑いもせずに言う。
「あなたは桜さんと話をすべきです」
桜に向く。「桜、いいか?」
「はい、お兄さん」桜は機嫌良く微笑んだ。
「悪いな、桜。押し付けて」俺は人を助けるのは苦手なんだ。
「任せてください、お兄さん」
「ん? 機嫌良さそうだね?」
「お兄さんに、名前で呼んでもらえたので」
名前? 覚えたよ?
「桜」祐実が不機嫌に咎める。
祐実と瑞希が桜をにらむ。瑞希の方を見なくても、殺気でわかる。
「とらないよ、お前ら」桜が苦笑する。
俺は立ち上がろうとする。
「待って、洋介」瑞希が俺をとめる。
何?
「刀の手入れの仕方、まだ教えてもらってない」
? 何の話だ?
桜が思わず吹き出す。
祐実が不機嫌な顔をした。
靖司が一瞬何を言われたかわからない、という顔をした。そして、「ああ、そうだったね」と言って少し嬉しそうに笑った。
いや、ホントに何の話してるんだ?
それから、靖司は刀の手入れの仕方を瑞希に教えた。
昨日、教えてもらう事になっていたが、あの騒ぎで立ち消えになっていたらしい。
靖司は生き生きと瑞希に教えている。いや、ただの刀バカだった。
瑞希は意外と熱心に教わっている。
桜も楽しそうに話に加わっている。
何かいい感じじゃないか? 瑞希が靖司と桜の間を取り持っている結果になっている。
瑞希は狙ってやってるのか?
……違うか。
三人の邪魔にならないように、少し離れて祐実と二人で座って見ていた。
祐実は退屈そうにしている。俺も祐実も刀の手入れの仕方ぐらい知っている。
「睦さんは、刀持っても恐がらないんだね。触ったこと有るのかい?」靖司が感心したように、瑞希に尋ねる。
「……、いえ、初めて」少し考えてから瑞希が言った。
「刀の美しさに引き込まれないかい?」
「別に」瑞希はそっけなく答える。
「んー、この美しさ、わかって欲しいなー」
「ただの道具ですよね?」
「お前も刀の価値とかわかんない方か」桜が笑った。
靖司も苦笑する。
俺の隣で祐実が緊張する。
「兄さん、あいつは危険だ」祐実は瑞希をにらんだまま小声で言った。
瑞希は刀を道具としか見ていない。人を切るための道具としか……。




