どういう事だい?
俺の首にしがみついて泣いている瑞希の頭を、ケガをしていない方の左手で撫でる。
右肩が疼く。
「瑞希、大丈夫。誰もたいしたケガはしていないから」
「ごめんなさい……、ごめんなさい」瑞希が泣きながら言葉を繰り返す。
耳元で泣き叫ぶのやめてくれ。
「また、瑞希に助けられたね。ありがとう。もう泣かないで」
しばらく瑞希の頭を撫でていると、瑞希が落ち着いてきた。
祐実を見る。
真っ青な顔で呆然としていた。
祐実の後ろにいる祐実の友人を見る。声をかけることができずに立ちすくんでいたが、祐実よりはましな状態に見えた。
「えっと……、桜さん? で、合ってる?」
「はい」
祐実の友人はちゃんと返事を返してくれた。
「ごめん、彼女を家に運んでくれないかな?」
右手はケガで動かせない。
「祐実、瑠璃姉を運んで」
祐実は虚ろな目で俺を見る。
「祐実、しっかりしろ」
桜が祐実に声をかけて、一緒に瑠璃を運ぶ。
俺も瑞希ごと立ち上がり、左手でだっこする。
片手では重いな。
家の中に入る。
瑠璃が畳の上に寝かされていた。
もう一人、初老の男性が倒れている。
「叔父さん! 叔父さん! しっかりして! 起きて!」
祐実の友人の桜が男性の側にしゃがんで、体を揺すっている。
「動かすな」声をかけて、桜の横にしゃがむ。
「大丈夫。なんともない」瑠璃と同じで、霊に取り憑かれていたため、意識がないだけだ。
祐実は瑠璃の脇で呆然と立っている。
今日はお祭りはできそうにない。
俺は畳の上に座る。膝の上に瑞希を座らせた。まだ嗚咽が聞こえる。
「桜さん、家の人に来てもらって」桜の家の人に男性の介護を任せる。
俺もスマホを取り出す。父はまだ仕事だろうか?
父に頼んで、職場から直接迎えにきてもらう。残業をしていたところを邪魔したようだ。
「お兄さん、上着を脱いでください」桜が俺に言った。
「ん?」
「ケガをしてます。見せてください」
「瑞希、ちょっと手を離して」
上着を脱ぐ。制服のカッターシャツが破れて血がついていた。
桜が濡らしたタオルを持ってくる。
「私がやる」祐実がやっと再起動した。
「打ち身と擦り傷だ。骨に異常はない。でも念のため病院に行こう」
「ああ」
桜に新しい服を借りる。叔父さんの服か。
桜にこれまでの経緯を聞き取っている間に、父が到着した。
5人乗りの乗用車だ。
瑞希が俺から離れないので、父に瑠璃を後部座席に運んでもらう。その横に俺が乗り込んで、瑠璃の反対側に瑞希が乗った。
後部座席の真ん中は狭い。意識の無い瑠璃が俺の肩に持たれてくる。反対側では瑞希が俺に抱きついてくる。
狭いな。
助手席に祐実が乗り込んだ。
「これはどういう事だい?」運転席の父が不機嫌そうに言った。
ホント、申し訳ない。




