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お姉さんに任せて

「ラップ音?」桜が訊いてくる。


「かなり悪意を感じるな」祐実が答えた。

「やっぱりお前もわかるのか?」

「悪い。黙ってた」

「いや、言いたく無いことは言わなくていい」

 桜に気を遣われたのがわかる。


「どうする? 姉さん」

「祓うよ?」

「祓えるのか?」

「お姉さんに任せて」

「祓ったことあるのかよ」

 瑞希は返事をしなかった。前回祓ったのは兄の高坂洋介だ。

「叔父さんに気づかれる」この家の主人の島崎靖司に気づかれないうちに祓うのは不可能だと思えた。

「気づかれてもかまわない」瑞希は何も気にしていない。


「終わってから叔父さんのフォロー頼む」桜に言う。

「ああ」桜が不安そうに答えた。


「祓った後はどうする?」

「?」瑞希が意味がわからないという顔をする。

「祓った後、霊はどうするんだよ」

 瑞希は少し考える。考えていなかったようだ。

「消滅させるから、後の事はいい」

「失うつもりか?」語気が荒くなってしまった。

「いいでしょ?」


 やはりこの女は嫌いだ。


「兄貴なら、失ったりしない」

「祐実ちゃんは何もできないんだから、お姉さんに任せて」

 怒鳴り付けてやろうか!

 我慢する。よその家だ。


「お前らケンカすんな」桜が間に入る。「失うとか、失わないとか、わからない」

「消滅させるか、守護霊になってもらうかの違いだ」

「悪意がある霊が守護霊になるのか?」

「祟るのも守るのもたいして違わない。霊から見たら同じ事だ」祝うと呪うは同じ語源だ。

「何でだ?」

 めんどくさくなって返事をしなかった。今は瑞希を止めたい。


「兄貴に言いつけるけど、いいのか」洋介の名前を出す。

 瑞希はわずかに揺れた。

 少し考えてから、「わかった。祓うだけにする」

「その後は?」

 瑞希は困った顔をして考え込む。そして、気に入らない結論に不機嫌になる。

「祐実ちゃん、お祭りできる?」

「できる」

 瑞希がふてくされたような表情をする。祐実に頼らなければならないのが余程不満なのか。



 靖司が木箱を持って戻ってきた。

 しばらく靖司の刀の手入れ講座をきく。

 瑞希以外は興味が無いので困った。


「悪いけどもうすぐ来客が来る時間なんだ」靖司が言った。

「ああ、そろそろおいとまするか?」桜が提案する。

「いや、長くならないから待っててもらってもいいよ」そして、靖司は少し考えてから、「お客さんは高校生で、女の子だから、刀に興味あるなら話でもしていくかい?」と、唯一興味を示した瑞希に言った。


「女子高生のお客さんって何だよ」桜が何か恐れるように訊ねる。

「いや、居合の人だよ。今度の古武術大会のスタッフ」

 桜が不審がるので慌てて説明する。


 居合やってる女子高生?

 嫌な予感しかしない。


 祐実はスマホを見る。

 位置情報アプリが、洋介が近くにいることを示していた。


 嫌な予感しかしない。


 嫌な予感は、必然として的中する。

 洋介の言葉だ。




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