ギスギスした道中
島崎桜は友人二人と共に叔父さんの家に向かっていた。
一人は最近友達になった一つ下の2年生、睦瑞希。
もう一人は同じクラスの高坂祐実。
桜は瑞希だけを誘ったつもりだった。
何故か祐実もついてきた。
瑞希と祐実は仲が悪い。原因は瑞希の彼氏が祐実の兄だからだ。中学生でいきなり嫁と小姑の確執かよ。
なかなか笑える。
問題は祐実のブラコン具合が、度が過ぎていることか。
いや、違うか。祐実のはブラコンではないだろう。そして、瑞希はそれに気づいている。
お陰で道中がなかなかに重苦しい。祐実と瑞希がギスギスしているから。
それにしても何故祐実はついてきたのか?
叔父さんの家にいく目的は、心霊現象の解明だった。自称霊能力のある瑞希に見てもらうことが目的だ。
祐実には関係がない。
祐実の噂を聞いたことがある。
小学生の頃は兄弟揃っていじめられていたらしい。霊が見れるとか言って、嘘つき扱いされていたとの事だ。
桜には信じがたい噂だった。まず第一に祐実から霊の話なんか聞いたことがない。これは、中学生にもなってそんなバカな事を言わなくなっただけかもしれない。第二に祐実がいじめられていたというところから信じられない。
現在、この中学に祐実をいじめられるようなやつはいない。
祐実は喧嘩が強い。ムカつくことに桜より強い。そして、祐実に敵意を向ける相手に容赦しない性質だった。
瑞希は嘘つき瑞希と呼ばれている。霊が見れると言い張るのが原因で。
二人とも霊が見れると言ってる、または言っていた。これは偶然なのか?
祐実の兄、瑞希の彼氏でもある高坂洋介も小学生の頃は霊が見れると言っていたらしい。
「なあ、祐実。お前なんでついてきたんだ?」
「いいだろ。ダチのトラブルに手を貸したいと思ったって」祐実はふてくされたように答えた。
これはこれで本心に聞こえる。祐実は情に厚いところがある。つまりお人好しだ。
「お前、霊とか信じてるのか?」
祐実は返事をしなかった。信じてるのか? 過去に霊が見れると言っていじめられたから言わないだけか?
「なあ、瑞希。お前の彼氏に霊の話しとかして信じてもらえるのか?」訊ねる相手を変える。祐実の兄の話でもある。
瑞希に不機嫌そうな目でにらまれた。
叔父さんの家に着く。
「なあ」祐実が思い詰めたような顔で声を出した。「兄貴に来てもらわないか?」瑞希に向かって言った。
「お前のお兄さんを呼んでどうするんだ?」
「このてのトラブルが得意だからだよ!」ついに祐実がカミングアウトした。
もう、霊を信じていないフリをしている場合ではないという事か?
「洋介は呼ばない」瑞希が祐実に強く言った。
祐実はその言葉に押されて息を飲む。
「私一人でできる」




