瑠璃
放課後、校門を出た俺はいつもとちがう道を歩く。
今日は瑞希と待ち合わせはしていない。
瑞希からは、遅れるので後で連絡します。とメールが有った。
妹の祐実から俺に伝わっていることは思い付くはずだが、あえてなのか、何をしているかは触れられていない。
それでも今日も俺と会うらしい。毎日会っている。
「洋介」後ろから声をかけられた。
振り向く前から、声で誰かはわかった。
「瑠璃姉、部活は?」
幼馴染みの三塚瑠璃だった。
「今日は、部活は休んだ。道場の用事があるの」
「剣道の?」
「居合よ」
瑠璃は剣道と居合の掛け持ちをしている。剣道の上級者は何故か居合もやりたがるらしい。
「部活サボっていいのか?」
瑠璃は学校では弓道部に入っている。
「最近、調子悪いのよ」
ふーん。
「無心になれないって言うか……。ちょっとショックな事があって……」
そうなんだ。それ、俺と関係ないよな? 関係あるの?
訊くのも自意識過剰っぽいので訊かないことにする。
て言うか、既に気まずいのだけど。何で俺に話しかけてくるのかな? 最近はずっと距離とってたじゃないか。
「洋介はどこか行くの?」
「ちょっとな」
「誰かと会うの?」
「まあ」
「祐実ちゃん?」
「ああ」妹の祐実とも会う予定だ。
「彼女さん?」
……。妹と会うと返事したよな? まあ、瑞希にも会うだろうけど。
「可愛い彼女さんが、いつも校門までお迎えに来てるって聞いたけど?」
いつもというほどは来てない。たまにだ。学校から離れた場所で待ち合わせしているのに、瑞希はたまに校門で待ち伏せしてくる。そして抱きついてくる。
目立つことが目的なんだろうけど、勘弁して欲しい。
「いつもじゃないよ」
「そうね、一度しか見れなかったわ」
わざわざ見に来ていたみたいな言い方するな。
「校門まで見に行ってるんだけどね」そう言って瑠璃は微笑んだ。
いや、怖いんだけど。
「可愛い彼女さんよね」
そうだな、瑞希は可愛い。
「小さくって」
背丈の事か? 年齢の事か?
そっちの可愛いなんだ。
「洋介ってそっちの趣味だったのね」
どっち? ロリ? ロリコンって言いたいの?
やめてくれ。周りからそんな風に見られることは、うすうすは感じてたけど。
「そんなに年は離れてない。あいつはガキじゃない」
いや、無邪気な子供だけどね。ちゃんと相手してあげる限りは。
「洋介らしくないかな。もっと洋介に相応しい娘なら良かったのに。だったら諦めきれるのに……」
それは瑠璃の問題で、瑞希のじゃない。
「子供っぽいし、そんなに可愛くもないのに……」
「瑠璃姉!」言葉を遮る。「俺の彼女の悪口なら許さない。……、それに、瑠璃姉らしくない」
「そう、……ごめんなさい」瑠璃はうつ向く。傷ついたような表情で。
俺に言われたからじゃないだろう。自分の言った言葉が自分を傷つける。
「私らしいって……、何?」




