桜と祐実
島崎桜が高坂祐実と友達になったのは、中学に入学してすぐだった。
きっかけは桜が祐実にケンカを売ったから。
桜はケンカが強いけど美人と言われて、入学早々に有名になった。でも桜より注目を集めたのは祐実だった。
祐実は美人だけどケンカが強いと言われていた。
似ているけど違う。「美人」が「ケンカが強い」より先に来るのが祐実だった。
噂によると、祐実は小学生の頃は兄妹そろっていじめられていたらしい。
興味が湧いた。気の強いやつは好きだ。
とりあえず挨拶代わりに因縁をつけてみた。
祐実は桜を見ずに無視をする。ムカついたので殴ってやろうとした。
そこからは一瞬だった。
祐実は桜を見もせず、予備動作無しでいきなり殴ってきた。桜が膝をつくまで連続で3発。
それで桜は膝をついた。
無言のまま、相手が戦えなくなるまで殴り続けるそのヤバさが気に入った。
仲良くなってから祐実は、「弱いやつは威圧して終わる。桜が強いと思ったから先手をとった」と言った。
小学生の低学年の頃は剣道を兄と一緒にやっていたらしいが、兄が中学に入る頃にやはり一緒にやめたらしい。それ以降は兄と二人でケンカの練習をしているとの事だった。
二度となめられるのはごめんだ、と祐実は言った。
祐実より強いという兄は当時3年生だった。学内で見かけたことはあるが、優しそうな人だった。祐実より強いとは思えなかった。
その兄はよく幼馴染みの優しそうな女子といた。祐実が言うには、兄よりもはるかにケンカが強いらしい。
祐実の周りは強いやつで溢れていた。
桜や祐実を生意気だという同級生や当時の2年生を二人で返り討ちにした。男子を連れてくるやつもいたが関係なかった。
当時の3年生に呼び出される事はなかった。祐実の兄や幼馴染みがケンカが強かったのもあるが、人望もそれなりに有ったようだ。3年生は二人に遠慮して、桜たちに手を出さなかったらしい。
その祐実は最近調子が悪い。機嫌が悪かったり、落ち込んでいたり。
原因は兄だろう。兄に彼女ができてからだ。
最近その彼女に会った。嘘つき瑞希で有名な2年生だった。
瑞希はいじめられていると聞いていたが、何かの間違いだろうと思った。なかなかに気の強いやつだった。
気の強いやつは好きだ。桜は瑞希とも友達になった。
「おい、どうしたよ祐実」桜は席に座っている祐実に後ろから抱きつく。
「うぜ、暑いから離れろ」祐実が不機嫌そうにあしらってくる。
「またお兄さんとケンカか?」
「しねーし」
「お姉さんにいじめられたか?」
「いじめられてねー。そもそも会ってない」
でもまあ、調子の悪い原因は瑞希だな。
「お前も彼氏作れ」
「お前もな」
読んでくれてありがとうございます。




