アスレチック
「洋介! 洋介! もう一回!」睦瑞希は楽しそうに走ってきた。ターザンロープを持って。
以前約束した運動公園に来ている。約束の瑞希手作りのお弁当は、俺の背中のリュックサックに保冷剤と共に入っている。
俺はターザンロープを受けとる。瑞希が遊具の始点のやぐらに登ってくる。俺が持っているロープにしがみついて、落下防止の大きめのボールの上にロープを股ではさんで座る。
「行くよ、瑞希。それ!」俺は彼女の背中をおもいっきり押す。
ロープの上の滑車が勢いよく、張られた索の上を走る。
「きゃー!」彼女が楽しそうに叫ぶ。
つられて俺も笑顔になる。
彼女は終点で止まった遊具から降りて、ロープを持って走って戻ってくる。
これ、何度目だ? 子供を遊んであげる親戚のお兄さんみたいになってるのだけど、瑞希は良いのか? 俺は構わないが。
今日の瑞希は運動できる服装をしていた。短パンにスニーカー、そして、Tシャツと野球帽。こういう服装すると小学生の男の子のようだったけど、それは言わない。
今朝、彼女の家に迎えにいくと、彼女は高そうな服を着ていた。着替えさせた。
ぐずったが、「瑞希とアスレチックで遊びたかったのに。こんないい服じゃ遊べないな」と、残念そうに聞こえるように言ったら、しぶしぶ着替えた。
わざわざ自分から疲れる事もないだろうに。
「洋介! 洋介! これできる?!」
雲悌の前に来ていた。手だけで空中に渡したはしごを渡る遊具だ。
「できるかな?」俺はジャンプして棒を掴む。半分ほど渡ったところで、自重で手が痛くなった。手を離して地面に落ちる。
「これ、手、痛いな」
「やる!」瑞希が昇る用のはしごを使って雲悌に手を掛ける。4本ほど渡ったところで手を離し、「やぁん!」と短く叫んで地面に落ちた。
可愛い叫び声に笑ってしまう。
「もう一回!」瑞希は落ちた続きから始めようとジャンプして手を伸ばすが、瑞希の背では届かない。
「洋介、だっこ!」
瑞希の後ろから彼女の脇の下を持って高い高いする。彼女は雲悌をつかむ。
「離さないで!」そう言って、俺に支えられながら終点まで渡る。
「できた!」瑞希は楽しそうに破顔した。
いや、できてないよ。
運動公園の芝生の上にレジャーシートを敷く。暑かったので木陰を選んだ。
瑞希が作ったお弁当を出す。一人一つではなく、大きめのタッパーが二つ、おにぎりとおかずかそれぞれに入っていた。紙皿と割り箸を渡される。
レジャーシートの上に端座し、一礼一拍手で「いただきます」をした。
「おいしいよ、瑞希」
「えへへ」彼女は嬉しそうに笑う。
瑞希は無邪気な子供だ。従兄弟の一成兄さんは心配しすぎだ。




