表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/98

祐実の反抗

「祐実ちゃんほど霊力が強い子は思い当たらない」

 従兄弟の一成(いっせい)はそう言った。


 祐実は黙って酒を注ぐ。会話は俺に任せるらしい。


「霊力で選ばなくてもいいだろ?」

「洋介くん、うちの一族で祓える人間がどんだけいる?」

「……さあ?」実際知らない。


「親父と僕と洋介くんの3人だけだよ」

 そうなのか? 少ないのか多いのか?

 一成の言う親父とは、一成の父でこの神社の宮司をしている伯父さんの事だ。


「昔はもっといたらしい。このままでは祓える人間がいなくなる」

「それはそれでいいんじゃないかな?」

「そうかい? 霊障で人が死んだりしても?」

「わからない人には事故や自殺にしか見えない」

「殺人とかね」そう言ってグラスを空にする。無言で祐実にグラスを差し出す。

 祐実は黙って酒を注ぐ。


 どんだけ飲むんだ。


「洋介くんも祐実ちゃんも、それでいいと思ってないよね?」

「良いも悪いも、全部は救えない」

「そうだね。でも、僕たちみたいなのが増えたら救える人も増えるかもね?」

「それでも祐実は関係ないだろ。霊力が強いものどうしの子供だからって、霊力が強いとは限らない。逆もある。俺の父は祓えないし、母に至っては一般人だよ」

「そうかもしれない。でもそうじゃないかもしれない」

「他を当たって」

「んー、残念ながら同年代に祐実ちゃんほどの子はいないな」そう言って酒を飲む。

「祐実ちゃんが美人なのもお嫁さんにしたい理由だね」そう言ってグラスを空にし、祐実に微笑みながらグラスを差し出した。


「飲み過ぎ。酔っぱらい」祐実はそう言いながらもお酌をする。酔っぱらいの戯言で押しきるつもりのようだ。


「一成兄さん。祐実の霊力(ちから)目当てなら反対させてもらう」俺はそう言った。そして祐実を見て、「祐実が美人だからっていう理由だけだったら、祐実次第だったけどね」と続けた。


 祐実は驚いたように俺を見る。そして不機嫌そうな色を浮かべた。

 さっきまでは、軽く流してたのに?


 俺が不思議そうな顔をすると、祐実は突然俺の脇腹をグーで殴った。「一成兄さんと結婚なんかしない!」

「痛てっ! なんだよ祐実」

「ふんっ!」とそっぽを向く。

 なんだよ。


「洋介くんは要らないことを言わない方がいいな」と一成が楽しそうに苦笑する。


「一成兄さん、心配要らないよ。兄さんの子供があとを継いでくれるから」と不機嫌そうに言った。

 何を言い出すんだ。焦る。

「それは?」

「兄さんの彼女は強い霊力(ちから)を持ってるから」

 俺への嫌がらせにしては、たちが悪すぎる。


「彼女さんは祓える人だよ」


 一成の顔から微笑みが消えた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ