従兄弟
学生の正装は学生服らしい。
そんな訳で俺と妹の祐実は学生服で、父親に連れられて親戚の7回忌に来ていた。
宮司である伯父さんが祝詞を奏している間、起立して頭を下げている。
俺の隣で祐実が神妙な顔をして頭を下げている。治安悪い系な見た目で神妙にしているとか、笑える。
祝詞が終わり頭を上げたときに、祐実ににらまれた。何? 俺、顔に出てないよな?
祭式の後、社務所に移り直会と言う名の宴会。
従兄弟の一成の先導で「いただきます」をする。短歌つきの丁寧なやつ。
久々の一族集まっての会食はなかなか盛り上がってる。酒飲みが多いから。父もかなり飲む。
食事が済んだ後、未成年の俺と祐実は端っこでジュースを飲んでいた。
何人かの親戚と話をした後、白衣に浅黄色の袴姿で従兄弟の一成がやって来た。一升瓶を持って。
「洋介くんも飲むかい?」
「未成年だよ、一成兄さん」
「一成兄さん、注ごうか?」祐実が一成が持ってきた一升瓶をとる。
一成は持ってきたグラスの日本酒を空ける。
「一成兄さん、一気に飲むと体に悪いよ?」祐実がたしなめながらも一升瓶から酒を注ぐ。
「んー、これくらいなら大丈夫だろ?」そう言って一口でビールグラスの半分近くを飲む。
従兄弟の高坂一成は去年大学の神道科を卒業したばかりだ。まだ若いが既に酒豪の片鱗が見える。
「祐実ちゃんは会うたびに美人さんになるね」
「はいはい、ありがと」祐実は適当に返事する。
一成は少し黙った後に一気にグラスを空け、祐実にグラスを差し出す。
何か気合いでもいれたのか?
祐実は呆れた顔で、グラスに酒を注ぐ。「からだ壊しても知らないからな」
「祐実ちゃんは優しいねー」そう言って笑いながら、コップに口をつける。
「祐実ちゃん、巫女さんしに来ない?」
「中学生だからアルバイトできない」
「宗教活動だからアルバイトにならないよ?」
「いや、忙しい」
一成は少し苦笑してから、「氏子さんたちに顔つなぎのためだよ」
「何で私が?」
一成はグラスを空け、祐実に差し出す。祐実は何度目かのお酌をする。
「僕と結婚して神社を継ぐためだよ」
祐実のお酌をする手が止まる。
「一成兄さん。祐実はまだ中学生なんだけど。あと、年も一回りは違うだろ?」黙っている祐実の代わりに俺が口を出す。
「一回りも違わないよ。九つ違いだろ?」
確かに一回りも違わないが、九つは大きい。
「大した問題じゃない」
「いや、犯罪だ」九つ下の嫁さんって犯罪だろ?
「祐実ちゃん以外思い当たらない」
「いや、一成兄さんなら相手に困らないだろ?」
一成兄さんは中々の美形だ。祐実といい一成兄さんといい、うちの家系は美形が多い。
何故俺は美形の血を受け継がなかったのか? 霊能力は色濃く受け継いだのにな。
「祐実ちゃんほど霊力が強い子は思い当たらない」
そっちか……。




