お菓子づくり
瑞希と彼女の母が食事の片付けをしている。
瑞希は自分用の可愛い柄のエプロンをしていた。
「瑞希は子供っぽいから、大変じゃないか?」
瑞希が片付けをしている間、彼女の父と話をしていた。
「いえ、結構しっかりしていると思いますが」
彼女が子供っぽいのは一面に過ぎない。
「高坂くんのような落ち着いた人に面倒見てもらえて安心だよ」
「僕もそれほどしっかりしているわけでもありませんよ」
保護者じゃないんだから。
「色々不思議なことを言って落ち着かない子だけど、よろしくお願いするよ」
霊感とか転生のことか。彼女の両親は霊感が無いようだし、信じてもいない。
「洋介、洋介」瑞希が片付けを終えて、俺のところにやってきた。そして座っている俺の背中におぶさるように抱きつく。
親の前でも平気なのね。俺は気まずいからやめて欲しい。
「おやつ一緒に作ろ!」
「いいよ」
卵やバターは冷蔵庫の外に出してあったので、早速生地を混ぜる。
プレーンとココアパウダーに分けて二人で作る。二人で一緒に作れるように考えて準備してあった。
「瑞希、上手だね。よく作るのかな?」
「うん」
「昨日、作り方練習していたから」リビングから彼女の母が言った。
「お母さん! 何でばらすのー!」
笑ってしまった。
「洋介も上手だね。作ったことあるの?」
「何度か妹とつくったことあるよ」
「……ふーん」
だからいちいち妹に嫉妬すんなよ。
「冷蔵庫で冷やす?」
「うん」
生地をラップして冷蔵庫に入れる。
暇ができた。
「待ってる間、トランプで遊ぼ!」
「何する?」
「ババ抜き?」
「二人でやっても面白くないだろ」
「スピード」
「いいよ」
二人ゲームで、出せるカードをどんどん出して、カードがなくなれば勝ち。判断力と手の早さが必要なゲーム。
「せーの、スピード!」
何度かやって、全部俺の勝ち。
「洋介、大きいから反則!」
いや、大きさ関係ないだろ。
とりあえず笑っておいた。
「霊力使うー」
「ダメだよ」
親も近くで聞いているのに、何を言い出すのか。
瑞希の両親は何も気にしていない。幽霊話の類いを信じていないから。
それが普通だ。彼らは悪くない。ただ、俺や妹の祐実は恵まれていた。
瑞希の頭を撫でた。
冷蔵庫から生地を出して、麺棒で伸ばしていく。
型抜きでいろんな形のクッキーを作る。スタンプで文字を押していく。
「LOVE」のスタンプだった。
俺はプレーンとココアパウダーの二色でパンダのクッキーを作った。
「パンダさん!」彼女が喜ぶ。「犬さんや猫さんも作って!」
楽しそうで何よりだ。




