放課後デート
「洋介! 洋介! 何する? 何して遊ぶ?」睦瑞希が嬉しそうに俺に抱きついている。彼女の頭が胸に埋まっている。下を向いても彼女の頭と、背中の通学に使っているリュックしか見えない。
「とりあえず離れて、瑞希の頭しか見えないよ」
彼女は両手を俺の背に廻したまま、上体を反らして離す。
「洋介の顔が見える」そう言ってニカっと笑う。
「瑞希の可愛い顔が見えるよ」そう言って笑いかけた。
さて、
「そろそろ行こうか」こんな所にはとどまりたくない。はやく学校から離れたい。
彼女は背中から手を離すと当たり前のように手を繋いだ。
「お店とか入るか?」
「洋介、待ってる間にアイスクリーム食べた!」
「そう、美味しかった?」
「うん、新作!」
どうでも良いのに、新作フレーバーの解説をされた。
「祐実ちゃんと一口交換したの」
「え? 祐実?」
「えっとね、お友だちと、祐実ちゃんと、祐実ちゃんのお友だちの4人で」
「祐実は何を、買ったんだい?」
「祐実ちゃんにもチョコの新作買ってあげたの」
「……たかったのか?」
「おねだりされたから」
「……甘やかすな。祐実にも言っておく」
「いいよ」
「だめだ」
「待って洋介、告げ口してるみたいじゃない」
みたいじゃなくて、今してるよな。
「わかった」後で言っておく。
「あとはどんな話したの?」
「うーん、いろいろ」
「そう」
児童公園の近くだったので入ってみる。たいした遊具はない。
打ち込まれた杭が段差や幅を変えて並んでいる遊具があった。バランスをとりながら杭の上を歩く遊具だ。
彼女はつないでいた手を離すと、杭の上に飛び乗って軽々と渡る。反対側まで行くと振り返る。
「じゃんけんで負けた方が、スタートまで戻るやつやろ!」
両側からスタートして負けたり落ちたりしたら、スタートまで戻るやつね。
「いいよ」と言った瞬間に俺は杭に飛び乗り、杭の上を飛ぶように走る。
彼女が慌てて、杭の上に乗ったが、数歩で俺とかち合う。
「じゃんけんぽん」俺はすかさずじゃんけんを挑む。
彼女は慌ててグーを出す。いきなりじゃんけんするとグー出すよね。特に子供は。
当然俺はパー。彼女が杭から飛び降りた瞬間に俺は走り出す。
彼女も地面を走って戻るが、それでも杭の上を走る俺の方が早かった。彼女が戻る前にゴールする。
「ずるい! 洋介ずる!」
俺は声を上げて笑った。
「もう一回!」
そのあと何度かやったが、彼女はじゃんけんが弱いことがわかった。そもそも杭の上を走る俺の方が地面を走る彼女より早いので、何回やっても俺の勝ちだった。
いい加減疲れてきた。
「そろそろ休憩」
「だめ! 勝つまでやるの!」
「何回やっても一緒だろ?」
「洋介、大きいから反則!」
「いやいや」それは反則じゃないよね。
「霊力使っていい?!」
はい?
「……ダメだ」
この前のと別の能力が使えるのか?
休憩にイス代わりにブランコに座る。
隣のブランコが空いているのに、彼女は俺の膝の上に座ってきた。
仕方がないのでゆっくりと揺らしてやる。
彼女は気持ち良さそうに俺の胸に持たれてきた。
「瑞希、今度は待ち合わせ場所変えような」人前で抱きつくのはやめて欲しい。
「えー」
「もうマーキングできたからいいだろ」
俺が彼女の男だと、俺の学校の連中に喧伝したかったんだろ。
「……うん」
認めるのか……。
いつもありがとうございます。
平行してもう一つ不定期で連載始めます。本日投稿します。よろしくお願いします。
「可愛い女の子をナンパしたら女装した男の子だったけど、特に問題は無いよね。だって私は女の子だから。」




