アイス屋さん
「この子が、私がお付き合いさせてもらってる高坂洋介の妹で、高坂祐実ちゃん」睦瑞希が友達に祐実を紹介する。
「待って、情報量が多すぎる!」瑞希の友達が嘆いた。
「高坂さんは知ってるよ! 有名人だもの。高坂さんのお兄さんとつきあってるの?」アワアワしている。
「そんなことより、瑞希ちゃんつきあってる人いるの?!」知らなかったらしい。
「この土曜日からね」
今日は月曜日だ。
「何で言ってくれなかったの?!」
「いやー、恥ずかしくって」本当に恥ずかしそうな顔をした。
ムカつく。
「こちらが仲良くしてもらってる早瀬美羽ちゃん」瑞希の友達を紹介された。
「早瀬美羽です」緊張した面持ちで名前を名乗る。
「おう、よろしくな」美羽にはいつも通りにする。2年の後輩には何の遠慮もいらない。
「祐実ちゃん。ちゃんと挨拶して」瑞希がガンガンくる。くそっ。
「高坂祐実です。友達の少ない姉と仲良くしてもらってありがとうございます」毒を混ぜて挨拶し直す。
瑞希がひきつった笑顔になる。
美羽は青ざめた顔でハラハラしている。
これは美羽がかわいそうだな。引けよ瑞希。
「どこ行くところなんだ?」
「アイス屋さん。新作フレーバー試しに行くとこ」和やかに会話を進める。表面上は。
アイスクリーム専門店に向かう間、美羽が瑞希を質問責めにしている。普通の恋ばなが好きな女の子だ。
美羽は祐実を怖がってあまり目を合わさないし、話しかけてこない。普通の女の子だ。
アイスクリーム専門店に着く。瑞希と美羽は楽しそうに新作フレーバーを選んでいる。
美味しそうな新作フレーバーがあった。
「姉さん、これ食べたい」祐実はそのフレーバーを指差す。
瑞希と美羽は、祐実を見て固まった。
「姉さん、これ食べたい」祐実はもう一度言う。
瑞希はやっと意味がわかり、「あ、うん」と小さく言った。
瑞希は二人分のアイスをコーンで注文して会計する。美羽も自分の分を注文した。
アイスを受け取ってから、店内の4人掛けテーブルに着く。瑞希と美羽が隣に座って、祐実は瑞希の前に座った。
いきなり後頭部を殴られた。
「下級生にたかってんじゃねーよ!」
友人の島崎桜だった。
瑞希と美羽はビックリして固まっている。
「お前、弱いやつには手を出さないと信じてたのに、なんだよこれは!」桜は激怒していた。
「いや、待って」誤解だ。あまりの剣幕に言葉がでない。
「待ってください」瑞希が慌てて止めようとする。
「おい、祐実。表でろ!」桜は聞いていない。
「二人とも静かにして!」瑞希が怒鳴る。
冷たい目をしていた。背筋が凍る。
桜もビクッとして、口を閉じた。
「祐実ちゃん、騒いじゃダメよ。お友だちにも静かにしてもらって」瑞希は優しく微笑んだ。
目は全く笑ってなかったが。
「「あ、はい」」何故か桜も返事をしていた。
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