FPSチーム結成
「聞こえるか?」
「聞こえます」
「聞こえる」
ヘッドホンの中で、二人の声が帰って来た。
「フレンド申請送った」俺はメールでもらった二人のIDに申請を送る。すぐに承認が帰ってくる。
二人もお互いフレンド登録する。
「部屋立てます」ヘッドホンから男の声が聞こえる。
部屋への招待がきたので承認する。
パソコンの画面の中に、ごっつい男と、可愛らしい女の子の3Dモデルが現れた。
今日はチームの初顔合わせだ。
昨日、公園で岸田洋と吉川結衣と連絡先を交換しておいた。
今日、放課後に結衣が岸田くんの家に行った。その後、彼女から電話があった。
「岸田くんと付き合うことになりました。高坂さんのお陰です。ありがとうございます」
「よかったね。僕も嬉しいよ」本心だ。彼を一人にしておいてはいけない。
早速約束通り、3人でゲームをする段取りをつける。チュートリアルだけ済ませて、夜の8時に集合。
画面をみると、ごっつい男のプレイヤーネームが「YUI」、可愛らしい女の子のプレイヤーネームが「HIRO」だった。
「お前ら本名かよ」
「高坂さんもほとんど本名でしょう」岸田くんが笑いながら言った。
俺のプレイヤーネームは「YOU」にしてある。
「これ、外国の人とマッチングしたとき困らない?」結衣が言った。
そう言われればそうかも。
「とりあえず最低ランク回しますか」
岸田くんもしばらく放置していた間にバージョンが変わって、みんな最低ランクだ。
戦闘開始だ。
「兄さん、うるさい。隣の部屋で騒ぐんじゃねー!」妹の祐実が怒りながら部屋に入ってきた。
今、それどころじゃない。
「弾切れ! ヒロ、弾くれ! あー、死んだ!」
「弾切れダッサ」結衣が笑いながら言った。
「ユイがあっさり死ぬからだろ!」俺は抗議する。
「ボイチャ? ネットゲームしてるの?」祐実が聞いてくる。
俺は無言でうなづく。
「ヨウ、誰かいるの? 声入った」結衣が聞いてくる。
「妹」
ヘッドホンで聞いているので祐実にはヒロとユイの声は聞こえない。
祐実は不機嫌そうな顔をして近づいてくると、ヘッドホンジャックを引き抜く。
「おい」何、勝手に抜いているんだ。
祐実は無視して、画面を見ている。
「岸田と吉川か?」
俺のマイクを通じて、二人に祐実の声が届いたのだろう。二人とも黙る。そして、
「あっ、死んだ」祐実に気をとられたのか、岸田くんが死んだ。
「何こんな奴らとゲームしてんの! そんな暇あるなら、私と遊んでよ! バカ兄貴! 死ね!」祐実はそう怒鳴って、部屋から出ていった。
乱暴に閉められたドアの音が響く。
「妹さん、すごく怒ってませんか?」岸田くんが、困ったように言った。
「ヨウの妹、お兄さんっ子なんだ」結衣が呆れたように言った。
そうだね。




