表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/98

岸田くんは欠席です

 高坂祐実は2年生の教室に来ていた。


 岸田にとり憑いていた悪霊を祓った翌日の事だ。

 昨日は大失敗だった。

 兄の洋介がスムーズに祓いができるように、舞台を整えることが祐実の役割だった。

 それなのに余計なのが2人も紛れ込んでいた。そのせいで失敗した。


 瑠璃姉に迷惑をかけた。何よりも洋介が危険な目に遭った。

 祐実がちゃんと下調べしておけば避けられたはずだった。


 あの時もその後も、洋介は祐実を責めなかった。動揺した祐実が、洋介に暴言を吐いても何も言い返さなかった。

 後から思い出しても恥ずかしさで悶えてしまうようなみっともなさだ。


 祐実は兄に甘えているだけだった。



 教室の中を見る。岸田はいないようだ。

 瑞希が友達と話をしていた。


 岸田の取り巻きが固まってうるさくしている。だが、岸田本人はいない。リーダー格の女子生徒は浮かない顔をしていて、会話を聞き流していた。昨日、叫んで洋介の邪魔をした女だ。たしか名前は……、忘れた。


 祐実はより不機嫌になる。

 手近の女子生徒に呼び出しを頼んだとき、その女子はかなり怯えた顔をしていた。


 呼び出された瑞希が来る。


「妹さん、昨日はありがとうございました」昨日の食事のお礼だろうか?


 そんなことより、また妹さん呼びかよとムッとする。しかし洋介を助けてくれた事を思い、言葉を飲み込んだ。


 私がちゃんとしていれば、瑞希に借りなんか作らなかったのに。


「岸田は?」

「今日は休んでます」


 昨日の事もあるから仕方がない。

 これを予想して洋介は、祐実に岸田の様子を見に行くように頼んだのだ。


「なあお前、放課後、岸田の様子を見てきてくれないか?」ここまでは洋介の指示にある。昨日いた二人、または瑞希じゃない方の女子に、岸田の様子を見に行かす事。


 しかし瑞希は露骨に嫌そうな顔をする。


 ちょっと意外だった。昨日まではあんなに岸田を気にかけていたのに。


「じゃあいいや。もう一人の方に頼むから」

 そう言うと瑞希はホッとした顔をする。

 何か昨日と印象違うな。そう祐実は思った。


「昨日のやつ、名前なんだっけ?」祐実はさわがしいグループを見る。

 瑞希もそっちを見て、「吉川さんですね。吉川結衣」と言った。

「吉川か。呼んできてくれ」

「はい」


 瑞希は結衣の方に歩いていく。

 結衣は祐実に気付いていた。瑞希が声をかける前から祐実を見ている。


 瑞希が声をかけると、結衣達のグループが一斉に祐実を見る。みんな黙り込んだ。


 少しためらってから結衣は祐実の方に歩いてきた。

 瑞希はそのまま、彼女の友達のところに戻る。彼女の友達は意味がわからず、不安そうな顔をしていた。


「呼びだして悪いな、吉川」

「いえ……。高坂さんは洋介さんの妹さんだったんですね?」少し自信無いのか、緊張した表情で確認してくる。

 昨日は洋介が一人で岸田のところに戻った。その時に公園で何をしていたのかを祐実は知らない。


「ああ、洋介は私の兄貴だ」

 そう言うと結衣は緊張した表情をゆるめる。

 どうやら結衣は洋介に好意的なようだ。

 まあ、洋介だからな。


「兄貴から伝言だ。放課後、岸田の様子を見に行ってきてくれ」

「わかりました」


 こっちは即答だった。




読んでくれてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ