ドライブ
父の車の後部座席に俺と睦瑞希が座っている。
夕食のあと、遅くなったからと父が車を出した。瑞希が言った住所をカーナビに入れて出発する。
道はカーナビが案内してくれるので、瑞希にやることはない。
ただしょんぼりとうつ向いていた。
誰にも転生を信じてもらえなかったのがショックだったのか。
父もあれから申し訳なさそうにしている。
「睦さん。霊は見えるんだよね」父が運転席から声をかける。
「はい」
「幽霊はどうやって成るのかな?」
瑞希は質問の意味をとらえかねて、返事ができない。
「幽霊はどうやったら生まれるのかな?」
分かりやすく言い換えたつもりなんだろうけど、幽霊なのに生まれるとは、何だそれ。
「人が死んだら……、ですか?」彼女は自信なさげに答える。
「じゃあ、生まれ変わるってのは、人がどうなったら生まれ変わるのかな?」
「……人が死んだとき」
「さっき、人が死んだら幽霊になるって言わなかったかい?」
彼女は答えられない。
「矛盾だよね」
ま、そうなるよな。
彼女はうつ向く。悔しそうではあるが、薄々はその矛盾に気付いていたようだ。
「私は……。私にはやり残したことがあった。だから生まれ変わったのだと思います」
「例外かい?」
彼女はうなづく。運転している父には見えていないだろうが、気にしていない。
「僕には睦さんの守護霊は見えるけど、前世は見えない」父もそれ以上は言わなかった。
彼女の家はそれほど遠くはなかった。やがて家の前に車を止める。
彼女はすぐに降りずに、俺をすがるように見る。手を伸ばして、そして思い直し手を引っ込める。
「睦さん、今日はありがとう」
彼女はすぐに返事をしない。
俺も父も黙って待つ。
「ハンカチ、洗って返します」
「あげるよ」
「いえ、返します。連絡します。連絡先教えて下さい」
めげない子だね。
父が楽しそうに笑った。
家に帰ると、祐実が祭りの準備をしていた。既に斎戒して白衣に着替えている。
俺も急いで風呂に入り斎戒沐浴する。白衣に着替えて、岸田くんの話を思い出しながら祝詞を書く。
習字嫌い。習ったんだけどな。
「悪い。待たせた」そう言って庭に出た。
庭には外から見えないように、まきの生垣で囲われた邸内社がある。商店街の路地にあるお稲荷さん程度の小さな祠だ。
お社の手前に木で作られた小さなテーブルのような案を置き、更にその上に紙垂をつけた榊が置いてある。
祐実がその前で待っていた。
俺がいつもの場所に立ち頭を会釈程度に頭を下げる揖をする。
祐実も揖をしてから案の前に進み、2回礼をしてから祓い言葉を唱えた。
誤字報告ありがとうございます。
ラブが少ない。
バトル終わったのでラブを増やします。




