家族の食卓
家族で高坂家の食卓を囲んでいた。
一人余計なのがいたが。
父が帰宅し食事の時間となった。母がやって来て、睦瑞希にも食べていくように言った。どうやら祐実の友達だと勘違いしているらしい。同じ中学校の制服を着ているから仕方ないか。
瑞希は押しきられて、自分の家に断りの電話をかけた。
キッチンの食卓を5人で囲む。
いつも長辺に父と母、向かいに俺と祐実が座る。もう1脚違う椅子を短辺に置いて瑞希の席にした。彼女は俺の隣に座りたがったので、俺と父の間に座っている。
母はここで瑞希が祐実の友達ではないことに気付いた。俺を不審な目で見る。
父は何となく察しているようだ。
「今日は荒事があったようだね」父が呆れたように、そして心配そうに言った。俺も祐実も、顔に殴られたあとがある。
「まあな」俺はどうと言うことはない、というふうに答える。いや、心配かけて申し訳ない。
「いただきます」父が1礼1拍手してから言った。俺達もそれに習う。
瑞希が戸惑ったように真似ていた。
「彼女は睦さん。知ってる?」俺は食事をしながら父に尋ねる。
「ああ、この子もうちと一緒か。いや、一族にはそんな名字はいないな。俺は知らない」
父方の親戚は霊能力者だらけだ。そういう一族。本家は宗教団体でもある。今は父の兄が代表責任役員をやっている。
ちなみに父は祐実と同じで、霊感はあるが祓いはできない。母は普通の人だ。
「君も祓えるのかい?」父が瑞希に尋ねる。
彼女は何と答えるか戸惑っている。
「見たこと無い業をつかうけど、たぶん祓える。でも俺とは全然違う」俺が代わりに答える。
「そんなことより。食べて。お腹空いたでしょ?」母が割り込んで、瑞希に食事を勧める。
彼女は小さくうなずいて、食べ始めた。
ほぼ無言の食事が終わった頃に、「睦さんの家族は、みんな君みたいなのかい?」と父が尋ねる。
「いえ、私以外には知りません。見える人に会うのも、今日が初めて」と答え、「家族全員が見れるなんて」と小さく呟く。
「私は見えないわよ」と母が訂正を入れる。
母は本家と血縁はない。
「そういう家系でもないなら、なぜ見えるんだろうね?」父が不思議そうに言う。
「私は前世から引き継いだのだと思います。前世でもこの力はありましたから」
「前世?」
「はい、私はご主人様の、……、洋介さんの従者でした」
まだ言うかよ。
親の前でそんな恥ずかしいこと言わないで欲しい。
「バカなこと言ってんじゃないよ。恥ずかしいやつだな」祐実が不機嫌に言い放つ。
「ホントの事だもん! どうして幽霊は信じるのに、転生は信じてくれないんですか!」瑞希は乱暴に立ち上がる。
俺も祐実も呆れていた。
瑞希はすがるように父を見る。
父は困った顔をして、「転生なんて、そんなオカルトはあり得ないよ」と言った。




