妹の部屋
「ただいまー」
「おかえりー」
家に帰ると、母が夕食の準備をしていた。共働きなので、夕食はいつも遅めになる。
もうすぐ7時になる時間だった。
公園で岸田くん達と別れた。
岸田くんに結衣を家まで送らせた。
スマホを確認すると妹の祐実からメールが入っていた。
瑠璃の母親が帰ってきたので任せて自分の家に帰ったとの事だった。それで俺も自分の家に帰った。
俺はカバンを持って二階の妹の部屋に向かう。
「入るよ」声をかけてからドアを開ける。こじんまりとしているが、片付いた明るい色調の部屋だ。
床に妹の祐実と睦瑞希が座っていた。
「おかえり」
「ただいま」祐実に返事を返す。
瑞希はホッとしたように俺を見上げる。
うん。祐実と瑞希が二人っきりって、居心地悪かったんだろうな。
瑞希は泣いてはいなかったが、涙のあとでくしゃくしゃな顔になっていた。俺が渡したハンカチを握りしめている。
「祐実」ちょっときつめになった。
祐実はびくっとしてから、慌てて立ち上がる。
「命令すんなし」怒っているような、拗ねているような言葉。
「こっち来い」祐実は瑞希を立たせ、連れて部屋から出る。
「お前のせいで兄さんに怒られたじゃないの」と部屋の外で言っているのが聞こえた。
床に座ってしばらく待っていると、二人は部屋に戻ってきた。
瑞希は顔を洗って涙のあとがだいぶ治まっていた。
祐実はベッドに腰かける。俺に近く、真横に陣どる。
瑞希は奥に入って、俺の目の前の床に正座した。
近いな。
祐実が不機嫌なオーラを出す。
「これ」先にカバンを瑞希に渡す。公園に置きっぱなしだった。
「ありがとうございます」やっと瑞希がしゃべった。受け取ったカバンを横に置く。
「睦さん。改めて礼を言うよ。助けてくれてありがとう」
そう言うと、瑞希はまた泣きそうな顔になる。
「睦さん、もう泣かないで」俺は慌ててしまう。ホント、子供に泣かれるとどうしていいかわからなくなる。
彼女は前のめりになり右手を俺の方に伸ばしかけるが、思い直したように伸ばした手を握りしめた。
「睦さんに霊感があるのはわかっていたけど、あんな強い能力があるとはわからなかった」
彼女は少し戸惑った顔。「私も知らなかった。あんなのは初めて」そして少しの間の後、「今回生まれ変わってからは」と付け足す。
それから思い出したように、「これで信じてもらえましたか? ご主人様」と期待に満ちた目をしながら言った。
「ご主人様はやめろ。それから、霊感があることは初めから知ってた」
「生まれ変わりです!」
またそれかよ。
「生まれ変わりなんて、そんなオカルトあるわけ無いだろ」




