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吉川結衣の恋

 俺は幼馴染みの三塚瑠璃を両手で抱き上げた。脇の下と膝裏に腕を通す抱き方。俗に言うお姫様だっこだ。


 意識の無い人は、やたらと重い。肩にでも担ぎたかったのだが、やめておいた。俗に言うお米様だっこは、妹の祐実に怒られそうだったから。


 でもお姫様だっこは、膝上スカートのときは、めくれて太ももが露出するよね。


 とりあえず下着が見えるほどめくれ上がる前に、リビングのソファーに瑠璃を下ろした。そしてスカートも直しておく。


「睦さん、入ってきて」俺は玄関先で立ちすくんでいる、睦瑞希に声をかける。


「おじゃまします」小さな声で断りをいれてから、リビングに入ってきた


 妹の祐実は勝手に台所に入って保冷剤とタオルを持ってきた。

 意識の無い瑠璃の頭を冷やす。


「祐実、自分の顔も冷しておいて」

 殴られた左頬は腫れ上がりそうだ。


「祐実、睦さん。瑠璃姉を見ていて」

 女性の看病は女性が良いだろう。

「岸田くんを見てくる」



 公園には岸田くんと女の子がいた。

 岸田くんはベンチに座り、顔を両手で覆いうつ向いている。

 女の子はその横に座り、岸田くんをいたわるように背中に手を添えていた。彼女は涙を流し続けている。それでも岸田くんをいたわっていた。


 もう日が落ちて、街灯が薄く辺りを照らしていた。


「岸田くんはどうなったの? だいじょうぶなの?」

 俺が彼らに近付くと、女の子は不安そうにそう尋ねた。

 彼女にも、悪霊が岸田くんから離れるところを見ていただろう。俺が触れている限り、普通の人にも霊が見れるから。


 しかし彼女は悪霊の事ではなく、岸田くんの心配をしていた。

 俺は少し彼女を見直した。彼女は善良ではないかもしれないが、彼女の恋には誠実だった。

 俺は敬意を表し、「俺の名前は高坂洋介だ」と名前を名乗った。


 彼女は質問と違う答えにわずかに戸惑ったが、「吉川結衣です」と名乗った。


「すでにこっちの問題は片付いた」俺は結衣に告げた。悪霊なんかは結衣には関係ないことだ。「岸田くんと話しがしたい」

 そう言うと、結衣は岸田くんの背中を抱くように寄り添い、俺を睨んだ。


「岸田くんにとって悪いことはしない。むしろ彼の役にたちたいと思ってるんだよ」できる限り優しく言った。

 結衣は小さく頷く。

「悪いんだけど、彼と二人で話をさせてくれないだろうか?」

「私もいます」

 結衣の返事には俺にとって都合の悪いものだったが、それでも俺の彼女への好感度を上げた。


 俺は彼女に微笑みかける。

「吉川さん。僕にまかせてもらえないかな?」


 岸田くんは立ち直れるだろう。




読んでくれてありがとうございます。

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