待ち合わせ
夕方の公園。いい感じに寂れている。夕暮れの住宅街は人通りも少ない。
高坂祐実はメールをチェックしてから、公園に入った。
辺りが夕焼けに染まる。逢魔が時。
約束の相手、岸田洋は既に来ていた。
一人で夕暮れの公園のベンチに座っている。なかなか様になるイケメンだった。
下の名前が洋と言うことは人に聞いて調べてある。なかなかのイケメンで女の子の扱いが上手く、ガールフレンドは沢山。だが、特定の女子とは付き合っていない。
イケメン過ぎて、中学生とは思えない。
ただ、岸田は中学に入るときに引っ越してきたため、それ以前の情報はなかった。
「待たせたな、岸田」祐実は声をかけた。
「いえ、僕も今来たところですよ」岸田は立ち上がり、そう言って祐実に微笑みかけた。
「悪いな。実はお前に会いたがっていたのは、私の兄貴なんだ」
「? どう言うことですか?」岸田が怪訝な顔をする。
「悪いな、岸田くん」
兄の洋介が、すまなさそうな表情で公園に入ってきた。
もうちょっと、カッコ良く登場して欲しいな。祐実はどうでも良いことを思った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
吉川結衣は恋をしている。
想う相手は同じクラスの岸田洋だ。
彼は中学に入学にあわせて引っ越してきたらしい。
つまり、みんな条件は同じだ。同じクラスの女子のほとんどが彼に夢中になった。彼を好きにならない女子はどうかしていると思った。
2年生になったとき、また彼と同じクラスになった。
ついている。
私は可愛い方だ。つきもある。
そう結衣は信じた。
当然のように、岸田と同じグループに収まる。クラスで一番目立つグループだ。その中でも岸田と結衣は美男美女のカップルに見えた。
だが、見えただけだった。
岸田は結衣とだけ付き合うことはしなかった。
彼は沢山の女子と仲良くなった。違うクラスの子とも。上級生や下級生とも。
だが、誰か一人を選ばなかった。彼はホストのようだった。
もちろんホストが何か結衣は知らない。でもマンガやテレビで見るホストのイメージに近いことは感じた。
結衣の不満は募っていった。
そこに現れたのは、嘘つき睦瑞希だった。
瑞希は霊感があると言って、岸田に近づいた。
岸田はいつものように、瑞希にも良い顔をする。
だが、瑞希は落ちない。お祓いに行こうとか、意味不明な事を彼にいい募る。
落ちない瑞希に岸田は、より落としにかかる。
ここで結衣は間違いに気づいた。
彼を落とすには、気の無いふりをするべきだったのだ。
睦瑞希のように。
嘘つき瑞希はクレーバーだと思った。そして怖くなった。
結衣の取り巻きたちと、瑞希をしめようとしたら、知らない高校生に邪魔された。
挙げ句に今日は、この中学校で一番美人と言われる3年生が岸田を誘いにきた。
高坂祐実である。
彼女は有名だから名前を知っている。
彼女は瑞希の知り合いらしい。彼女が教室に来た後、二人が話をしていたから。
もう一度瑞希を呼び出す。
今度は高坂祐実に邪魔された。
結衣はいても立ってもいられなくなった。
ビビってしまった取り巻きたちを棄てて、一人で岸田の後をつける。
そして夕暮れの公園。
結衣は公園の植木に隠れて、岸田を見ていた。道路側から見たらただの不審者だ。
そして結衣はもう一人の不審者に気づいた。
近くの植え込みの影から、岸田を盗み見る不審者。
睦瑞希だった。




