ごはんー!
「わっちはこの店の店長、レデーット」
登場した色っぽいエルフのオネーサン、名前はレデーット。
トロイの知り合いらしい。
「ここじゃ、なんじゃし、奥へ来んなし」
促されるまま、一行は店の奥へ進みのだが?
(客のプレッシャーがハンパねーっですが!?)タローの感想。
だって女の子はともかく、唯一男のタローが一緒に? 店のマドンナたる店主のレデーットに連れられて誰も入ったことのない店の奥に入っていくわけです。
(顔は覚えた)
(名前はタローだな)
(あのクソガキ!)
『殺す!!』一同の結束。
その後、タロー達は奥座敷に案内された。
「これは、見事な佇まい……」
奥座敷の風情にタローは圧倒された。
まさか、荒くれ者のたむろする飲み屋の奥に、艶やかでありながら、しとやかで、『動』と『静』が両存する調和の『和』の空間が存在するなど思いもよらなかった。
「コレいいな。この、フスマ絵は?」
「わっちの手書きやんす」
「えっ、へーっ?」
それはただの木の絵。
(実に見事だ。すすけた木の土色を基調として、伸びる蒼いの枝葉。本来なら両具合に色の違いはない。だがその表現。その先にある藤色の枯れ花と反発しながら調和する塩梅、そして偶然なのか? それを古ぼけた背景の砂色が引き立たせる!)
「枯れてるのか? だがまるで、いまにも枝が伸び、花を再び開花させんとばかりの躍動感。この絵には水を撒きたくなる力がある」
「……ただの、フスマ絵でやんす。やめてくんなしね?」
「いや、だって? コレはそんな程度のものじゃないですよ?(百年モノクラスのお宝だぞコレ? ってか、なんでオレはそれが分かるんだ? あれえ?)」
動揺するタロー。だが分からない。だってこの世界に来るまでの記憶がない。
「そうか? 地味だが? タローは、なぜか?」とチィルール。
「ババくせーっ」とリリィーン、こいつはまた余計なことを。
「ははは、君らにはまだ早すぎたかな? 歳を取れば分かるさ、この渋みを」と、トロイ。
「こんな古臭いの、分かりたくもなし。だって私はピチピチだからな」
「チィー様と同感ですし。私もピチピチですし!」
「ん、んん……」
子供と大人の見解の違い。
「ま、ま、よござんす。とりあえず、御もてなしするでやんす」
エルフの店長、パっパンと手を叩いた。
ソレを合図に慌てて料理を運び込むスタッフ達。
瞬く間に部屋のちゃぶ台にはご馳走が並んだ。
「すげーっ」
「ささ、着座しなさんな。わっちもご相伴ですえ。かわりに無料でありんす」
「ヤーっ!」みんな大喜びで着座。和室だから畳の上にアグラ。ここは異世界だから女の子のチィルールとリリィーンもだ。
「いただいきます!」
「……以下略」タローに合わせて食事前のお祈り、はしょったチィルール。
「の名を汚すようなこと……あ、ズルイ、私も以下略ですから!」続くリリィーン。
ご馳走、みんな慌てて頬張る。
『ウマー!』
でも、トロイ。
「なんでかなーぁ? ケチで有名な君が?」
「そっちこそえ?」
「ええ?」
「なんで? こんねチビッコたちね? なんなんやんか?」
「ふふふ、それは言えないよ。だってコトは世界の一大事だからね」
「ああ、なんや――いっつものコトかいや……はああ」
「なぜそうなる?」
「はあああ? 言わせんが、華、やすえ?」
「なぜか?」
困惑のトロイ。
だって、今までが今までだったから、仕方ない話。
「オオカミがキター!」
「キターを引用するなー!!」




