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ルルーチィの漂流生活・絶望に染まって

今回でこのエピソード終わらせるつもりだったんですけど、長くなったんで、分断。もうちょい続きます。


 浜辺の波打ち際に押し寄せる魔物の大群。

 モソモソと陸地に上がってくる半魚人型の魔物。

 魚頭でエラ呼吸してるくせに陸上でも易々と行動。

 この世の『コトワリ』その外で活動する忌まわしき存在。それが魔物。


「私が単独で突出します」

「俺達はドコまで出れば?」

「私が見える範囲。そうですね、石を投げつけれる範囲です」

「なるほど、いざとなったら、何かを魔物に投げつけてコチラに誘うと?」

「そうです。それ以上は決して前にでないでください。たとえ、私がピンチになったとしてもです」

「だが?」

「そのピンチを遠くからなんとかして欲しいんです」

「なるほど、そういう感じか。わかった」


 ルルーチィとギイさん、最終打ち合わせ。


「ボ、――オレ、も頑張ります」


 ギグくんも決心した様子。


「お願いします。では……」


 三人、視線を交わし、お互い、うなずき合った。


「いってきます!」


 ピストルの弾丸みたいに飛び出したルルーチィ。

 

 ギイ、ギグ親子も、そそろと静かに進んでいった。







 浜辺、海岸線。

 打ち揚げられたクジラや魚を弄る魔物達。

 その瞳は、赤紫色にまで真っ赤に染まり、破壊衝動の欲求不満を持て余している。

 なぜなら、魔物達は見たのだ。

 人型の生物を。

 だからもはや、こんな魚達では破壊衝動が収まらないのだ。


(人型を壊せないなら、島全てを破壊する)


 それが魔物達の今の衝動だった。


「ギャエエエ!!」


 奇声を上げながら動けない魚を切り刻んでもストレスだ。破壊衝動が増幅する悪循環。


「はーい?」

「ギギィ?」

「こっち、おいで? 遊んであげるよ?」

「ギャアアア!」


 人型がいた! 歓喜の魔物達。


「そうだ、こっちコイ」


 それはルルーチィだ。

 魔物軍団第一陣の先頭に姿を晒し、引き付けながら逃げる。その数、十数体。

 だが浜辺に横たわるクジラの身体を利用して、足でかく乱。

 その数を五、六体に絞る。


(ギイさん達も私を認識してるし、イケル!)


 後方のギイ親子の存在も確認。

 予定通りの戦法だ。


「いざ!」


 ルルーチィ、振り返りながら右手拳に魔力を注ぐ。

 そして、最初に襲い掛かってきたソイツに、魔力で輝く拳を顔面に叩き込む。


「だりゃあ!」


 ど真ん中にヒット。


(よっしゃ! まずは一体)


 だが?


「え!?」


 ルルーチィの攻撃を受けた魔物、微動だにせず逆に反撃!


「げっは……」


 強烈な魔物のボディブローを喰らい、身体をクの字に歪ませるルルーチィ。

 

「なっ! くそがっ!」


 だが訓練された兵士である。咄嗟に左のブローをその魔物の脇腹に叩き込む。


『カキッ』っと甲高い金属音を残して魔物は砕けた。


(二撃、必要なのか? ヤバイ、こいつら強い……)


 怯みながらも距離を測る。


(素手の魔撃なんて何十発も打てないってのに!)


 魔撃は普通、武器を通して発生される。

 でないと、痛い。というか、身体自体にダメージがくる。だから武器を使うし、そのほうが火力も倍増するのだった。


(次が、来る!)


 魔物の一体が捨て身の突進。

 二撃必要な魔物の身体。受け止めるにはリスクがある。

 脇にかわす。


(なっ!?)


 驚愕する。

 次の二体目が魔撃を放ってきた。まるで避けるのを見越したかのタイミングだった。

 コレもなんとか半身を回転させて避ける。普通ならこの時点で直撃だったはず。


「くぁ!」


 声が漏れた。

 続けざま、三体目が金属製のパイプ(棒)を振り上げルルーチィ目掛けて撃ちつけ――


『ぎぃん!』と衝突音。


 両腕をクロスして受け止める。両腕に発生させた魔法壁が衝撃を吸収してはくれたが。


(貴重な魔力を防御に使った。マズイ。でも、こいつら、あきらかに連携攻撃している。こんなの、昔の大魔戦当時の軍隊魔物レベル!? なんでこんなのが?)


 状況さらに悪化。単独でも強固な魔物が連携攻撃してくる。連携は戦力を二乗で増加させる。


(考えてる暇はない!)


 クロスした腕を左脇に武器と一緒に流すように降ろす。と、同時に右足の前蹴り。これは相手のバランスを崩すだけのもの。なぜなら、背後から初撃をかわしたヤツが来る気配。このままこの位置に立っているわけにはいかない。


「!」


 片足でステップ、半歩、身体をズラす。

 突進してきた魔物の身体が自分と擦れながら通りすぎる。

 そして巧い具合に金属棒のヤツと激突した。

 その隙、せっかく出来たの先手の間合いである。

 魔撃を放った魔物に狙いを付ける。

 ただ、相手も手馴れている。

 コチラに魔撃の追撃の動作。


(こっちだって読んでるって!)


 放たれた魔撃をかわし、右手ジャブからの左足キックの二連打で撃破。


(二体目! これを、あと何回――いや、考えたらダメだ)


 相手後方には、騒ぎに気付いた他の魔物も集まって来ている。

 衝突した魔物達も起き上がりコチラに殺気を飛ばしている。


(強固な固体が連携攻撃してくる軍隊レベルの魔物集団? 引き付けながら少数ずつ撃破は無理っぽい)


 目の前の二体がお互いに示しあい、同時に突進してくる。

 左右に別れ、挟み撃ちの同時攻撃だ。


「ぬがぁっ!!」気合の気勢。


 ギリギリまで引き付けたのはタイミングを合わせるため、そのタイミングで両方同時に攻撃を打ち込むため、そして、両方を自分の射程範囲内で確実に仕留めるため。

 左足一本立ちになった瞬間、右手パンチを右足キックを両相手に叩き込む。

 だが、一撃ずつでは倒せない。それも、折込済み。

 弾き返される反動を利用して身体を回転、今度はキックに使った右足を地面の軸にして左手パンチと左足キックを叩き込んだ。


『キキキッーン』と甲高い音を響かせ消滅する二体の魔物。


「はぁ、はぁ……」


 相当な集中力を使用した。死の直前までを意識した。


「ルルーチィさん! すごいです!!」

「バカ、こっちに魔物のヘイトがくる。隠れてろ!」

 

 後方からギグくんのノンキな応援。父親のギイさんに注意されて引っ込む。


(ゴメン。こんな曲芸じみた攻撃、何度もできるわけないから)


 増える魔物。

 両脇に寝転がるクジラの上からもコチラをうかがっている。


(作戦は完全に失敗だ。相手はコチラを包囲しかけている。仕方ない。ゲリラ的に相手を少数撃破できるような弱体ではなかたった。数体倒すのに、こんだけ手こずれば包囲されて当然だ)


 距離を詰めてくる魔物達。

 静かにゆっくりと――

 慎重な動作なのはルルーチィの戦闘力を見極めたからだろう。


(やっぱ、この連中只者じゃない。このままだと全滅する)


 普通ならここまで状況を把握してるのだから、心が折れて絶望するしかない状況である。

 それか、発狂寸前で何もかも捨てて逃げ出し、ギイさん家族を見殺しにして、島の反対まで逃げ出し海に飛び込む?

 海を渡ってきた魔物の領域へ、自ら飛び込むのか?

 正気を失えばそうするのかもしれない。

 だが、ルルーチィには唯一の手立てが残っていた。


(あの時もこんな状況だった。でも、あの時は!)


 ルルーチィにとって魔物に囲まれ絶体絶命の状況は今回が初めてではなかった。


 それは三年前の話しだ。

 魔物の住む崖の底に、仲間三人と一緒に捨てられたことがあった。

 暗殺者失格の烙印を押され、組織の人間によって廃棄処分されたのだ。


 でも、今、ルルーチィは生きている。


(この状況、あの時よりマシか? でも、あの時の奇跡がなきゃ、全員死ぬ、確実にだ)


 その時のことが最後の拠り所。

 でも、彼女自身、それが何だったのか分からない話。

 だから、ギイさん親子にも説明していない。

 もはや、そんな不確定要素にしか頼れるものがない状況。


(神様、今度こそ、仲間を――いや! 家族を救わせてください!)


 ルルーチィの願い。




またルルーチィの設定、オアズケに……すみません。

(でも、気にしてる人なんていないとは思うからどーでもいいんだろうけど。ひゃーはっはははっ)

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